IECP Intelprise-Enterprise Collaboration Program

広がる情報社会学

2006年 6月 7日 (水)

課題図書「地域情報化 認識と設計-新しい『地域づくり』へ」

講師:丸田 一(*1)、公文 俊平(*2)、その他執筆者
所属:国際大学GLOCOM所長代行/教授(*1)、国際大学GLOCOM代表、多摩大学情報社会学研究所長(*2)
日時:2006年6月7日(水) 午後2時~午後5時
終了しました

概要:

ローカルな出来事にすぎなかった「地域情報化」が、社会的に大きな影響力を持ち つつある。本書は、散々に進められていた地域情報化研究の最新成果を棚卸して、タ イトルの通り、認識と設計という枠組みで編集したものである。というのも、私たち が設計科学を標榜しているからであり、すべての人々に「認識を深めて、(自分達の 地域の)設計を始めてもらいたい」からである。
 1970~80年代の地域情報化は、開発主義的な政策の一つとして全国展開されてき た。その中で、コアラを初めとして80年代後半に起こったパソ通仲間の地域活動が、 今日の地域情報化の始まりである。90年代後半になると、インターネットを活用した 「プラットフォーム」が各地に誕生し、それが地域課題を解決する「地域づくりの道 具」として水平展開される。地域は多くの難問に直面しているが、これまでは中央政 府や大手企業の道具に頼りきりで、自前の道具を使うことは稀であった。
 また最近では、地域メディアを活用した「地域イメージ」戦略が重視されつつあ る。我々は誰でも、実生活を支える物理的な広がりを必要としているが、現在では、 その空間をまとまりある「地域」とは意識しない。地域を規定するのは行政域だけで ある。このように希薄化する地域の実体を回復するために、「地域イメージ」という 地域共有情報を地域内外の人々が共働で作り込む作業が有効なのである。
 こうして地域は、活動の場として、さらに主体として台頭するようになり、情報社 会(共働型社会)を形成していくのである。
 本書には15名の執筆者がいることから、本読書会では、できるだけ多くの執筆者か ら直接、地域情報化という一大社会変化を説明していただこうと思う。

講師プロフィール:

丸田 一(まるた・はじめ)
国際大学グローバルコミュニケーションセンター所長代行/教授
1960年さいたま市(旧浦和市)生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。UFJ総合 研究所主席研究員、国際大学グローバルコミュニケーションセンター副所長などを経 て現職。関心領域は地域情報化研究、情報社会学、情報文明論。地域情報化活動の支 援団体であるCANフォーラム事務局長も努める。著書は、『地域情報化の最前線―自 前主義のすすめ』(岩波書店、2004年)、『「知の創造」の進化システム―原型とし てのインターネット空間』(東洋経済新報社、2001年)、『2005年日本浮上』(共 著、NTT出版、1998年)など。

公文 俊平(くもん・しゅんぺい)
国際大学グローバルコミュニケーションセンター代表/多摩大学情報社会学研究所長
1935年高知生まれ。東京大学経済学部、同大学院をへて、米国インディアナ大学経済 学部大学院修了(Ph.D)。1965-1988年東京大学教養学部に勤務。1980年代には、第二 次臨時行政調査会専門委員や臨時教育審議会専門委員として行政改革に関与。 1993-2004年国際大学グローバルコミュニケーションセンター所長。現職の他にも、 情報社会学会会長、CANフォーラム名誉会長を兼ねる。著書に『社会システム論』 (日本経済新聞社、1978年)、『情報文明論』(NTT出版、1994年)、『情報社会学序 説』(NTT出版、2004年)、『文明としてのイエ社会』(共著、中央公論社、1979 年)など。

速報:

6月7日、「地域情報化 認識と設計」(編著・丸田一+國領次郎+公文俊平)を題 材としたIECP読書会が開催された。本書は15人の地域情報化の研究者・実践家が 集まって共同執筆されたものだが、研究会にはそのうち丸田氏、公文氏を含む8 名が参加した。公文氏の「歴史の中の地域情報化―ラストモダンと設計の時代」 を皮切りに、各著者が担当章を説明し、最後に丸田氏が「地域情報化の可能性」 として全体をまとめるとともに、地域情報化研究の最新の知見を披露した。大変 盛りだくさんの会であった。


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