2007年 1月 24日 (水)

講師:エリオット・E・マックスウェル(Elliot E. Maxwell)氏
所属:元アメリカ合衆国商務長官特別顧問、ジョンズ・ホプキンス大コミュニケーションプログラム・フェロー、ペンシルバニア州立大eビジネス研究センター特別研究員
時間:午後2時~午後5時
終了しました
インターネットの出現と、デジタルプロダクトの創作と再利用に資するツールの普及は、我々の文化と経済の多くの分野におけるオープンネス(openness)を増進し、「参加の時代」への道を開いた。オープンネスは、プロセス、プロダクトまたは組織へのアクセス可能性と応答性と定義されるが、これはイノベーションのあり方を本質的に変化させ、それをさらに分散的で協力的に、言い換えればさらに「オープン」なものにしている。オープンスタンダードはオープンネスを容易にする。オープンソースソフトウェアは、組織、プロセス、また法体制においてオープンネスを具体化する。オープンイノベーションは次第に世の中で顕著になりつつある。ボランティアによるオンラインのウィキペディア百科事典の創設から、インターネットオークション市場、Flickrのタグ付けシステム、YouTubeに見られるような動画投稿サービスにも見て取れる。
オープンネスは価値の創出法さえ変えつつある。創造物をしっかりと囲い込み、他者へのアクセスに課金するというモデルから、その価値を広く共有し分かち合うというモデルへと変わりつつある。この「参加の時代」において鍵となる課題は、入手した情報からどのように判断を下すか、その信用性をどのように決定し、情報と情報源をどのように評価するか、ということである。すなわち、信頼に値するものは何かということを、どのように決定するかということである。
情報を整理する新しい方法が発展し、情報評価のために新しい基準が採用され、情報セキュリティへの新しい脅威が現れ、ユーザの貢献を基とした新しい経済活動が生まれるにつれて、信頼性をどのように確保するかということは重要性を増してきている。
エリオット・E・マックスウェル(Elliot E. Maxwell)氏は作家で講師でもあり、公的、私的セクターのクライアントに、ビジネス、テクノロジー、インターネットとE-コマースに関わる公共政策などの戦略的問題に関して、助言を行っている。
1998年から2001年まで、マックスウェル氏は米商務長官ウィリアム・ダリー(William Daley)およびノーム・ミネタ(Norm Mineta)の下で、デジタルエコノミーに関する特別顧問として活躍した。この職において、マックスウェル氏はインターネットと電子商取引に関する主要顧問であった。彼は商務省において、電子商取引の為の法的枠組みの創設、プライバシーの保護、知的所有権の保護、インターネットセキュリティの強化、ブロードバンド普及の促進、インターネット参加の拡大、および経済のあらゆる側面に関する電子商取引の持つ影響などの分析に尽力した。彼は電子政府活動の発展にも深く関わり、電子商取引に関する連邦政府省庁間ワーキンググループの創設メンバーの一人でもある。
政府の職を辞した後は、アスペン研究所の「コミュニケーションと社会プログラム(Communications and Society Program)」において、デジタルエコノミーに関する上級フェローおよびインターネット政策プロジェクトのディレクターを務めた。コミュニケーションと社会プログラムは、民主的な機関、経済、個人行動、およびコミュニティ生活におけるコミュニケーションと情報技術の与える影響に焦点を当てている。彼はまた、EPC Global(RFIDの電子プロダクトコード実施機関)の顧問も行っている。
1月24日、国際大学GLOCOMにて「オープンイノベーション:単なる心のあり方から、価値創造への新方策への転換」と題してエリオット・E・マックスウェル氏による講演が行われた。マックスウェル氏は、デジタル社会においては、創作者がコントロール権を有する従来型モデルより、物・情報・プロセスを共有により付加価値を組み込んでいくオープンなモデルが適すると述べ、OSS、ウィキペディア、SONYのAIBO、P&Gなどの事例を交えてオープンネス(openness)による新たなイノベーションや社会的利益の拡大、新たな価値創造について解説した。また、オープンネスは二者択一的な議論ではなく、アクセス可能性と応答性を尺度とした適正なバランスを考慮することが重要であると主張した。質疑応答では、ネットワーク中立性や、政府・公共機関におけるオープンネスの概念などについても活発な議論が行われた。
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