IECP Intelprise-Enterprise Collaboration Program

4回連続シリーズ「日本ソフトウェア産業の再生」
第1回「激変するソフトウェア産業-SaaSのインパクト」

講師:前川 徹氏
所属:国際大学GLOCOM主幹研究員/サイバー大学 IT総合学部 教授
時間:午後3時~午後6時 終了しました

 

日本のIT産業とりわけ情報サービス・ソフトウェア産業は衰退してしまうのではないか。最近、このような懸念の声を耳にすることが増えてきました。IT産業の国際競争力の向上、ソフトウェア産業の多重下請構造からの転換、高度IT人材の育成は今や産官学が力を合わせて取り組むべき国家的課題と位置づけられています。その背景には、情報システムが経済・社会のインフラとなった現在、技術力の低下や人材の不足はIT産業だけにとどまらず、日本の産業や社会全体に関わる問題と認識されるようになったことがあげられます。ソフトウェアのサービス化やオープンソース化が進むなかで、日本のソフトウェア産業の再生は可能なのか。それを実現するために今何を考えて、どのような取り組みをすべきなのか。IECP研究会ではこれらの議論を深めることを目的として、「サービスとしてのソフトウェア」「ソフトウェア開発のオフショアリング」「ITエンジニアの仕事とキャリア」「オープンソースと人材育成」という4つの観点から連続4回の研究会を企画いたしました。モデレーターとして小林寛三氏(ITコーディネーター協会事務局)をお招きし、講師と参加者との間での活発なディスカッションをリードしていただきます。産官学の知的結節点である国際大学GLOCOMの本研究会に、是非ご参加ください。

IECP研究会4回連続シリーズ「日本ソフトウェア産業の再生」
・第1回:「激変するソフトウェア産業-SaaSのインパクト」
・第2回:「ソフト産業のグローバル化とオフショアリングの戦略的展開」(7月11日)
・第3回:「IT人材育成はどうあるべきか-技術者の満足度分析より」(7月18日)
・第4回:「オープンソースの今:プログラマーの地位向上のために」(仮)

概要

従来、パッケージソフトやカスタムソフトが行っていた情報処理をネットワー ク経由でサービスとして提供するSaaS(Software as a Service)が、徐々に普 及しつつある。SaaSは、ASPの一種であると考えることは間違いではないが、 SaaSがもたらすインパクトは従来のASPのそれとは異なり、かなり大きなものに なるだろう。今回は、SaaSの具体的な事例を紹介しつつ、SaaSのメリット、デ メリットを整理する。さらに、ソフトウェアの世界は、OSS(オープンソース・ ソフトウェア)の普及、オーバーシューティングという2つの大きな変化が進 んでいるが、この中で、SaaSがソフトウェア・ビジネスにどのような影響をも たらすのかを考察したい。

講師プロフィール

前川 徹(まえがわ・とおる)
国際大学GLOCOM主幹研究員。1955年生まれ。1978年3月、名古屋工業大学情報工 学科卒、同年に通産省に入省、機械情報産業局情報政策企画室長、JETRO New York センター産業用電子機器部長、情報処理振興事業協会(IPA)セキュリティ センター所長(兼、技術センター所長)、早稲田大学 大学院 国際情報通信研究 科客員教授、富士通総研経済研究所上席主任研究員などを経て、2007年4月1日か らサイバー大学 IT総合学部 教授。早稲田大学客員教授などを兼任。主な著書と して『ソフトウェア最前線』(アスペクト)などがある。

速報

2007年6月18日のIECP研究会は、「日本のソフトウェア産業の再生」をテーマに、4回連続シリーズとして行われる研究会の第1回目として開催された。前川氏はまず、多くの企業や行政機関が、SaaSのサービス提供や研究に取り組み始めている事について紹介。また、SaaSと従来のASPの違いについて、両者の一番の違いは、ASPはシングルテナントであったが、SaaSはマルチテナントである点だと説明した。次に、米国と日本国内でのSaaSの事例について、多様なサービスの存在する事を紹介した。 更に、前川氏はSaaSの及ぼすメリット・デメリットについて言及した。利用者側からみたメリットとして、業務データが信頼性の高い機関で管理される事を強調。デメリットとしては、システム障害・ネット障害のリスクなどを挙げた。ベンダー側にとっては、信頼性・可用性の高いサービスを保証するリスクがデメリットとなる。しかし、コストパフォーマンスの良さや、顧客のデータから新しい付加価値を生み出せる点が大きなメリットとなる。最後に前川氏は、現在のソフトウェア産業は、「コモディティ化」と「オーバーシューティング」の問題を抱えていると説明した。つまり、ソフトウェアは今後、新規開発の案件や更新需要が減っていき、メンテナンス業務だけになっていく。このような状況において、長期的な収入が保証されるSaaSは、ソフトウェアビジネスの救世主になっていくと、前川氏は講演を締め括った。 1時間の講演を終えると、会場の参加者からは質問や、参加者の感じているSaaSの現状や課題に対する意見などが相次ぎ、1時間半にわたって熱心なディスカッションが続けられた。

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