IECP Intelprise-Enterprise Collaboration Program

シリーズ「テレビの明日、動画ビジネスの明日をどう描くか」地上アナログテレビ放送停止(停波)』の経済分析

■講師:鬼木 甫(大阪学院大学経済学部教授)終了しました

概要

2011年7月24日に、「アナログ停波」が予定されている。これは、地上波テレビ放送のデジタル化のため、アナログ放送を停止(停波)し、デジタル放送と重複して使われているアナログ放送用電波を解放して他用途に振り向けることである。停波が予定どおり実施されれば、同日以降アナログ受信機ではテレビを見ることができなくなる。テレビ視聴を続けるためには、デジタルテレビ受信機あるいはデジタルチューナーを入手しなければならない。同日までに古いテレビを買い換える予定のない視聴者にとって、そのために必要な支出は余分な負担になる。また停波の直前にデジタル受信機・チューナーの品不足や価格の高騰が生じる可能性や、停波日以降テレビ視聴ができなくなってしまう人が出ることも考えられる。 本研究会での発表では、このように国民生活に大きな影響を与えかねない「停波」について経済的側面から分析を加える。まず停波をめぐってどのような事態が起きるかを予測し、これについて政府を含む関係者がとるべき対策について論ずる。

講師プロフィール

鬼木 甫(おにき・はじめ)1933年生、東京大学経済学部卒業、スタンフォード大学大学(1968Ph.D.)、東北大学助教授、ハーバード大学助教授、クイーンズ大学准教授、大阪大学教授等を経て、1996年より大阪学院大学経済学部教授。研究テーマ: (1) 情報通信の経済学:産業構造と規制、(2) 新しい広帯域通信技術と日本経済、(3) 「日本型組織」における分業・協業の情報的特色、等。近著『電波資源のエコノミクス』(2002年、現代図書)。

速報

10月27日のIECP研究会では鬼木甫大阪学院大学教授を講師に迎え、日本のアナログテレビ放送の停止に関する展望、問題と対策を扱った。 日本のアナログ停波は2011年7月に予定されているが、これまでのデジタルテレビの出荷台数データを元に今後の予測をした場合、2011年時点で少なくとも3000万台程度のアナログテレビ等が残ることになることを指摘した。また、アナログ停波の根拠となっている電波法は、いわゆるアナアナ変換というデジタル放送への移行に伴う一時的な放送チャンネルの再配置の都合によって決められたという経緯を述べ、必ずしもアナログ停波にとって理想的な時期を選んだとは言えないことを示唆した。時間の経過と共にテレビ受像機の買換えが起きるため、ある程度後の時点での移行は消費者にとっての負担を軽減することになる。この事情を考慮すると、理想の停波のタイミングは、2014年から16年頃であると推定されるという。一方、今回のデジタル化に伴って、従来は放送用に割り当てられていた電波帯域の一部が別の用途に利用可能になるが、無線事業者にとっては早いタイミングで電波が利用できるようになることに利益がある。ここから、鬼木教授は、理想と想定される時点よりも早い2011年の時点で停波する場合には、そのことで無線事業者が得る受益分を、電波オークションあるいは電波利用料の増額を通じて政府が調達し、消費者に再配分することで消費者の負担を軽減するという政策を提案した。
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