Research Area

研究領域

情報社会研究における3つの軸

GLOCOMでは、知識・情報社会において我々がどのように進化していくべきか、「テクノロジー駆動型社会」「イノベーション創造社会」「グローバル社会変動」という3つの軸で研究領域をとらえています。

情報社会研究における3つの軸

テクノロジー駆動型社会研究

加速する技術革新は人々の日常生活からビジネスまで様々な影響を与えています。テクノロジーの変化が社会にどのような影響を与えているか、また我々はどのようにテクノロジーを活用して社会の課題を解決していくことができるか、技術と社会の両面から研究を推進します。

イノベーション創造社会研究

既存の事業が飽和し、また変化が激しく先を見通すことが難しい現代、自ら新しい価値を生み出すイノベーションはますます重要になっています。イノベーションを生み出す仕組みはどのように変わりつつあるのか、企業や社会においてイノベーションを推進するためにはどのような取り組みが必要なのか、実践的な研究を進めていきます。

グローバル社会変動研究

世界経済の重心の変動、先進国における格差の拡大、技術的失業への懸念など、グローバルな規模での経済的な相互作用は新たな段階に入りつつあります。国際貿易、地域経済から、組織形態や価値観まで様々なレベルでの変化と相互作用を統合的に捉え、新たなグローバル社会像の理解を深めるとともに、課題解決の方策を探ります。

中期重点研究テーマ 2023~

情報社会において生じている広範囲なテーマを、現在のGLOCOMが特に知見を有する分野を切り口にして、Public(公:公共政策)またはPrivate(私:ビジネス領域)、あるいはその両方に資するものとして下図のように整理しています。

中期重点研究テーマ 2023~中期重点研究テーマ 2023~

1.オープンデータの政策と活用

政府・自治体などのデータを一般に開放するオープンデータ政策を継続的に後押しし、企業のデータ活用、行政・民主主義の高度化などにつなげます。政策の評価や国際比較、データをめぐるニーズの掘り起こしなど多面的に研究を展開しています。

2.SNS時代の社会と民主主義

ネット炎上リスク、フェイクニュース、社会の分断など、SNS時代には様々な課題が指摘されています。そして新型コロナウイルスで社会全体が不安を抱え、SNS利用時間が長くなる中で、それらの問題が加速しています。SNSのメカニズム・実態をデータ分析から明らかにし、人々・企業・政府がどのように活用・対処していくのが良いのか導きます。

3.デジタル技術を用いた文化振興

文化に関連する産業や政策へのデジタル技術導入を促進し、日本文化のさらなる振興と世界への発信をサポートします。海外動向や国内実態の調査研究や、国内外のステークホルダー連携の支援、アフターコロナ時代の文化産業像の提示を行います。

4.2030年代の公教育像とデジタルトランスフォーメーション

不確実な未来を前提とした世界的な教育・学習観の転換と教育情報化を展望します。コロナ対策に伴う学校教育の要素分解と再構築、学習者中心の文具的ICT利活用、クラウド活用による学習効率化と知的生産能力の向上、デジタル・シティズンシップ教育、教育ステークホルダー間の信頼形成を扱います。

5.スマートシティの実践と価値創出

スマートシティの実践は、幅広いサービス分野におけるIoTやパーソナルデータの利活用を軸とした新たな段階です。国内外の事例に基づき、データ共有や市民参加のインセンティブ、データ共有がもたらす新たな価値創出について研究します。

6.デジタル災害対応の可能性と課題解決

災害やパンデミック時の市民へのコミュニケーション、災害に備えた備蓄などについては、自治体・企業・市民など関係者間の連携や役割分担が重要になります。研究を通じて課題とあるべき姿を模索し、具体的な制度を設計します。

7.情報社会における観光のあり方

情報化の進展は観光のあり方を大きく変化させました。モバイル機器を通じ、GPSやソーシャルメディアを使いこなす今日の観光客の振る舞いを分析し、そこから感染症対策のような喫緊の課題を含め、今の時代に必要な観光産業のあり方を導出します。

8.デジタル・シティズンシップ

デジタル社会で活躍し、よりよい社会の実現を担う新しい市民のあり方を構想し、そのような市民の醸成、支援のために官民が用意できる教育、制度やサービス、各種政策、などを明らかにします。

9.COVID-19を受けた「ニューノーマル」とICTの役割

COVID-19により、ワークスタイル、教育、医療、娯楽のあり方など、私たちの生活様式は大きな転換点を迎えています。また、国際的にも経済活動や国際協力などの領域で、コロナ後の新たなパラダイムが生まれつつあり、各国でその具体化が進められています。こうした新たな状態・常識が求められる「ニューノーマル」時代にICTが果たすべき役割を明らかにし、社会への実装を目指します。

10.XR・デジタルツインと日本の戦略

現実の複製や架空のリアリティの構築など新しく切り拓かれつつあるデジタル技術の応用諸領域について社会課題や利用者ニーズとの関連から評価し、企業や政府・自治体にとって有益な戦略の形成に貢献します。

11.データ活用と組織・事業戦略

ビッグデータ活用、プラットフォームの巨大化など新しい経済環境下で変革が求められるビジネスモデルに関わる実証研究と戦略の提示を行います。加えて、デザイン思考に根差した新たな企業文化の醸成、新しい顧客体験や価値の創出を可能とする組織変革などDX戦略の課題、さらにはリスクに対応するためのトランスフォーメーションについて、事例に基づき考察します。

12.モノづくりのデジタル化とイノベーション

モノづくり分野のデジタル化の進展と共に高まるイノベーションのポテンシャル(試作の変容、オープンイノベーション、利用データ取得等)について把握、政策提言や未来ビジョン策定、オープンイノベーション支援などを行っています。

13.成熟社会の幸福と豊かさの再考

テクノロジーによる失業の可能性や定年を迎える世代の増大、巨大災害やCOVID-19をはじめとする感染症、そして気候変動など、これまでの成長経済型の社会を見直す契機が増えてきています。関連研究の蓄積からは、友人との交流、自律性の発揮、社会参加とつながり等、情報社会が果たす役割が豊かさを左右する経路も明らかになってきています。こうした成熟社会においてICTが担う可能性や経営の示唆を探ります。

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