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GLOCOM_Review - March 1, 1998

別冊2号(第39号) 「西暦2000年問題対応状況関連情報の開示に関する法律」(アメリカ合衆国第105回議会第2会期議事)

March 1, 1998 [ GLOCOM_Review ] このエントリーをはてなブックマークに追加

『GLOCOM Review』 別冊2号(第39号)

「西暦2000年問題対応状況関連情報の開示に関する法律」(アメリカ合衆国第105回議会第2会期議事)

解説

この文書は、アメリカ合衆国議会が1998 年に制定した法律「An act to encouragethe disclosure and exchange of information about computer processing problems, solutions,test practices and test results, and related matters in connection with the transitionto the year 2000(省略名 Year 2000 Information and Readiness Disclosure Act)」の日本語訳である。日本語訳自体は、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターのウェブサイト(http://www.glocom.ac.jp/proj/y2k/)から入手できる。  この法律は、2000 年問題関連では9本目の立法にあたり、1998年10月19日にクリントン大統領の署名をうけて成立した。俗に、この法律は、その性格から「善きサマリア人(Good Samaritan)立法」と呼ばれることがある。「善きサマリア人」とは、キリスト教の新約聖書に出てくるエピソードだが、この趣旨は、善意の救済者が救済行為を行なう場合には、その救済過程で過失があっても責任は問わないという精神である。つまり、善意の救済者の過失を免責するという精神の立法一般をグッド・サマリタン立法と呼んでいるのである。  この法律の特徴は二つある。第一の特徴は、開示した情報を根拠に訴訟を起こされることがないことを保証し、企業対し必要な情報開示を促進させることを目的とする点である(製品サービスの欠陥から企業を守るものではない)。第二の特徴は、独占禁止法の一部を2000 年7 月14 日まで一時的に適用停止するという点である。  さて、この法律は、産業界が2000 年問題に対して協力的に対応することを促進するという点では高く評価できる。訴訟社会といわれているアメリカにおいては、この2000年問題は、ことによればコンピュータ産業を壊滅させる影響力をもちかねない。訴訟の結果によっては、メーカは、直接的損害の賠償請求だけでなく懲罰的な賠償請求というものを課せられる危険性があり、このまま2000 年問題関連の訴訟が発生すれば、アメリカのコンピュータ産業は、賠償の負担に耐えられず壊滅してしまうおそれすらある。現在、アメリカは、情報産業分野でも世界を席巻しており、2000 年問題はこのアメリカの国益を損なうものでもある。したがって、2000 年問題に関する損害を全産業、全経済界が平準化して負担する仕組みを作り出さなければ、アメリカの経済が危機に陥ることにもなりかねない。この法律は、そういう状況の中で編み出された実に巧妙な仕掛けであるとの見方も可能であろう。  コンピュータ産業は、このような立法措置を受けて積極的に情報開示をすることが期待される。それは社会的にも強く求められていることである。企業は情報開示をしたことを根拠にして訴訟を起こされることはないため、少しでも製品に問題や欠陥がある場合、あるいは製品に対して心配がある場合、それをインターネットで情報開示していくことになる。2000 年問題は、いずれにしても時間切れになってしまい完全対応が難しい。ユーザはそれぞれ独自に対応を進めていかなければならない。例えば、メーカが、これはこういう問題点がありますよと情報開示をしたら、ユーザはただちに対応をしなければならなくなる。判っているにもかかわらずユーザが即座に対応をしなければ、ユーザ側の過失になるため、後で仮に損害賠償が請求できても過失相殺で大幅に減額されてしまう。そのような事情により、アメリカのコンピュータ産業、電子機器メーカにとっては、技術的詳細を積極的に開示していくことが自分たちを救う唯一の方法になっていると言えるだろう。

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