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kumon - July 1, 1999

ネットワークが拓く新情報システムの夢

July 1, 1999 [ kumon ] このエントリーをはてなブックマークに追加

1999年07月06日

『日立評論』 1999年7月号巻頭言

公文俊平

1990年代の終わりになって、情報通信革命は、メーンフレーム・コンピューターとそのタイム・シェアリング・システムに代表された第一段階と、パソコン/ワークステーションとそのクライエント/サーバー・システムに代表された第二段階に続く、第三段階に入った。

 この第三段階では、情報通信機器は多様化し特化しつつ、ネットワークを通じて互いに常時相互接続して、ワールドワイド・ウェブという共通のプラットフォームの上でコミュニケーションやコラボレーションを行うようになる。すなわち、「ウェブ・コンピューティング」の時代がやってくる。そこでは、かつてのメーンフレームとその端末、あるいはサーバーとクライエントといった固定的な役割分業は姿をひそめ、それぞれの機器が必要に応じてその役割を交代したり、共に協働したりするようになるだろう。

 通信ネットワークの面では、インターネットの標準であるIPプロトコルがほとんどのネットワークにとっての共通標準となる、「IPネットワーキング」の時代がやってくる。テキストだけでなく、音声も、画像も、動画も、また電話も放送も、すべてIPネットワーク上を流れるようになるのである。

 その結果、MTTH(メガビット・ツー・ザ・ホーム)からさらにはGTTH(ギガビット・ツー・ザ・ホーム)が可能になり、日本全国のあらゆる地域に、広帯域のCAN(コミュニティ・エリア・ネットワーク)が構築・利用されることになるだろう。

 このような情報通信新時代の先導役をつとめるのは、ファミコンやゲームボーイで、またポケベルや携帯電話で、育ってきた若者、とりわけ女性たちになるのではないか。そうだとすれば、ウェブ・コンピューティングがもたらすウェブ・ライフスタイルの当面の姿は、ワイアレスでウェアラブルな各種の「デジタル家電」をその不可欠な用具とするものになるに違いない。またそこでは、遊びが仕事と融合し、ビジネスやボランティア活動が、あるいは政治や行政活動も、ゲーム感覚で進められることになりそうだ。

 これまでの日本の情報化は、パチンコ、ゲーム、カラオケ、アニメなどに代表されるような遊び志向が強く、そのビジネス利用という面ではアメリカに大きく遅れをとってきた。情報通信革命の第一段階と第二段階は、圧倒的にアメリカ主導で進んできたのである。しかし、これからの第三段階では、日本のもっている潜在的な強みがいよいよ本格的かつ全面的に発揮されるようになるのではないか。新しい世代の活躍に期待したい。