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kumon_can_newslette - August 1, 1999

1.大きな歴史の流れ:産業化を越える情報化

August 1, 1999 [ kumon_can_newslette ] このエントリーをはてなブックマークに追加

 私は予ねてから言っておりますが、最も大きな流れ、これまでの産業社会、産業化を超えるような意味での社会変化が起こっているということを改めて強調したい。これは何度強調してもし過ぎることはないと思いますが、適当な言葉がないので仮に情報化、インフォーマタイゼーション(Infomatization)と呼んでいるわけですが、その情報化を担う人々のあり方が、これまでの市民あるいは国民から、「智民」、英語で言うとネティズン(Netizen)という人々に変わってきつつあるということであります。
 商売をするわけでもない、国の役職を務めるわけでもない、兵士でもないという人々の活動のしかたを通常ボランティア活動と呼んでみたり、それから政府でないからNGO、企業でないからNPOという言い方も日本でも普及しておりますけれども、もっと積極的に、私は「智業」という言葉を使っています。これは知的なエンパワーメントをきっかけとして知的な影響力の拡大を求める動きの台頭の中で起こっているわけです。
 そして、アメリカでコミュニティネットワーク運動を行っているエミー・ボーグストローム(EMY BORGSTROM)さんがある論文の中で言っておりますが、アメリカでもボランティアの活動は、これまでのようないわゆる慈善運動、フィランスロピーから、もっとしっかりした意味を持ったソーシャル・エンタープライズへ、それこそ一種の智業とでも言いましょうか、そういう「業」にならなければならないということを言っています。これもやはり同じような社会変化の流れを反映しているのだと思います。
 繰り返しになりますけれども、何と言っても一番大きな変化は、われわれの力の増大、つまりエンパワーメントが、軍事力や経済力だけではなく知力の面にも拡大しつつあるということです。その結果として、自立型であり分散型であり協調型であるような知のグローバルなシステムがいたるところに作られて、それら相互の間やそれら自身の中でのネットワーキングに人々の関心が集まってきています。ネットワーキングとは、別の言い方をするとコミュニケーションとコラボレーション、つまりお互いに情報あるいは活動の交流をし、また共同して同じ目的を実現していこうとして努力をすることであります。そういう中では、これまでのような仕事と遊びを区別すること自体が、あまり意味がなくなってきている。つまり、仕事と遊びが融合する、あるいは遊びが仕事に拡大していくのではないかというのが、私の基本的な認識です。

 そういう仕事と遊びの融合の中で、智業的な活動をする主役は誰かというと、これまでの産業社会の中では2次的な役割しか果たさなかった人たちが、いまあらためて主役として活発に登場し始めているように思います。とりわけ、子供たち、若者、しかも女子中高生など、ポケベルで育ち、そしていまは携帯電話を使いこなしてコミュニケーションを行い、ファミコンやゲームボーイで育ってきた人たちが、おそらくビジネスがゲームになる時代においては主役として活発に活動するでしょう。  そして、中でも女性の役割は大きいと思います。すでにインターネットの新しいユーザーの半分以上が女性になりつつあると言われていますが、この流れは今後も変わることはないと思います。やはり、女性がコミュニケーターとしては一番向いている面があります。そして、中高齢者の人たちも、インターネットの世界には原則として参加可能だろうという気がするわけです。

 しかも、単に新しいタイプの活動が既存の活動と切り離れて生まれてくるだけではなく、むしろ活動範囲そのものが非常に拡大し、さまざまな形でこれから台頭してくる智業あるいは智民たちと、既存の企業や政府とのコラボレーション、協働が進んでいきます。ここが非常に重要で、特にヨーロッパ的な対立の文化からすると、ともすれば新しいものは既存のものに対立してこれと戦うというふうに考えがちです。事実、たしかに対立する側面がないとは言えませんが、協働し協力する側面も非常に強いはずです。そうであればこそ、私たちはそういう協働活動あるいはコミュニケーション活動を効果的に推進していくためのインフラやプラットフォームやアプリケーションが欲しい、そういう気持ちを痛切に持つようになるわけです。これが現在の日本の問題状況ではないかと思います。



発行日:1999/8/6 発行人:公文俊平 編集人:関 陽介
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