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lc - June 1, 2003
ローカル通貨研究会報告書
June 1, 2003 [ lc ]
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1. 共貨の理念と構想 ―日本再生の突破口に―
1.1 文明の転換期
われわれの近代文明はいま、さまざまな面で転換期を迎えている。
最大の転換は、近代文明からその次の文明(ポスト・モダン文明)への転換である。近代文明の最大の特徴は、目標を実現するための手段や能力が不断に増進する点にあることから考えると、ポスト・モダン文明の特徴は、目標や価値、意味に関する知識の増進に見られそうだ。もちろんそのような大転換がただちに実現するはずもなく、早くても数百年といった長期間にわたって徐々に進んでいくと思われる。
その意味では、われわれが当面より注目すべき転換は、近代文明内部での転換である。
16世紀の後半に軍事力の増進によって“出現”し、18世紀の後半以来経済力の増進によって“突破”した近代文明は、20世紀の後半にいたって、知力の増進が集中的に進む“成熟”の局面に入っている。
近代化のこれら三つの局面では、それぞれ独自の新しい社会組織が生まれ、それらを主たるプレヤーとする独自の社会ゲームが普及する。すなわち、“国家化”と呼ばれる近代化の出現局面では、“主権国家”の形成と“威のゲーム”(脅迫・強制力としての国威の増進・発揚ゲーム)の普及とが見られた。“産業化”と呼ばれる突破局面では、“産業企業”の形成と“富のゲーム”(取引・搾取力としての富の蓄積・誇示ゲーム)の普及とが見られた。“情報化”と呼ばれる成熟局面では、近代第三の組織形態としての“情報智業”とでも呼ぶことができる新しい種類の組織の形成と“智のゲーム”(説得・誘導力としての智の獲得・発揮ゲーム)の普及とが見られるようになっていくだろう。
これらの社会ゲームの普及に伴って、それまでは分譲や交換など考えられなかった社会的資源も、そのあり方を変えていく。戦争と外交のプロセスからなる威のゲームは、土地と人民を、その保有者がゲームの結果に応じて交代しうる“領土”や“植民地”に転化した。生産と販売のプロセスからなる富のゲームは、財とサービスを、対価を支払えば取得できる“商品”に転化した。同様に、創造と通有のプロセスからなる智のゲームは、知識と情報を、自由に通有される“通識”に転化するだろう。
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