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Newsletter - July 7, 2010
国際大学GLOCOMニューズレター(10号)
July 7, 2010 [ Newsletter ]
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2010年5月24日発行
国際大学GLOCOMからのニューズレターをお送りします。
このニューズレターでは、GLOCOMの研究・活動のハイライトをお伝えしています。
- ウェブ: [http://www.glocom.ac.jp/]
- Twitter: [http://twitter.com/iuj_glocom]
- Ustream: [http://www.ustream.tv/channel/glocom]
目次
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1. GLOCOMの研究・活動から
1.1. CGMサービスの市場規模調査
1.2. アジアのIT産業政策に関する調査
1.3. 学校の第三者評価の評価手法等に関する調査研究(文部科学省からの受託)
2. 研究ワークショップのご案内
3. 書籍紹介
3.1. Thomas Bleha, Overtaken on the Information Superhighway
3.2. Anil Gupta and Haiyan Wang, Getting China and India Right
4. 出版・パブリシティ
1. GLOOCMの研究・活動から
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1.1. CGMサービスの市場規模調査
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国際大学GLOCOMでは、昨年度、総務省の情報通信政策研究所(IICP)が実施したCGMサービスの市場規模の調査・推計に協力しました。本調査では、IICPが2008年度に実施した「ブログ・SNSの経済効果に関する調査研究」を拡張し、ビデオ共有サイトも含めたサービス事業の収益基盤を、広告収入、物販などの仲介収入、有料サービスの提供収入、コンテンツの売上などプラットフォーム事業者の収益源の規模を推計しています。GLOCOMからは、庄司主任研究員、井上研究員、渡辺主任研究員の3名が調査設計、データ分析に関するアドバイス、報告書執筆などの協力を行いました。近年は、主要のCGM事業者の中にもこうしたCGM事業を中止する動きがあったほか、米国発の金融・経済危機の影響で景気が落ち込んだ時期ではありましたが、CGM市場の成長したことが伺われる結果で、その詳細は現在推敲中の最終報告書で近日公開の予定です。
1.2. アジアのIT産業政策に関する調査
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2009年10月から2010年3月にかけて、民間のIT系企業と共同でアジアのIT産業政策に関する調査を実施しました(プロジェクトリーダー:砂田薫主任研究員)。中国、ベトナム、シンガポールの政府・大学・業界団体のIT産業およびIT産業政策の現状と課題について調査を行いました。シンガポールは、政府主導でIT産業やコンテンツ産業のグローバルハブをめざす戦略に特徴があり、グローバル化を課題とする日本にとっても参考とすべき点が少なからずあることがわかりました。また、中国は、日本をはじめとするオフショアリングの拡大だけでなく、IT内需の増加や独自技術の開発に力を入れていることがわかりました。
1.3. 学校の第三者評価の評価手法等に関する調査研究(文部科学省からの受託)
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国際大学GLOCOMでは、文部科学省初等中等教育局の平成21年度「学校の第三者評価の評価手法等に関する調査研究」を受託し、学校関係者評価委員に対する情報提供に係る調査研究を実施しました(プロジェクトリーダー:豊福晋平主任研究員)。
文部科学省委託による調査研究は平成21年度で3年目になりますが、これまで私達は学校評価と積極的情報提供との関連性に着目し、我が国ではなじみが薄い「学校広報」に関する知見を深めてきました。
学校関係者評価委員会とは、校長が指名した関係者によって構成され、学校評価(主に学校自己評価)の妥当性を検討し、承認を与えることを目的として開催される会議です。直接内部の事情を良く知らない保護者や地域住民が会議検討に参加することから、正しい評価を行うために学校側からの情報提供が極めて重要であり、そのための方法や成果の示し方について調査研究を行いました。
この結果、評価委員の多くは、学校を評価する行為やその具体的な手立てに関して不安を抱きやすいため、構造的な評価観点や評価指標とあわせて、学校活動での具体的な姿の提示が必要であることが判明しました。また、日常的な学校広報記録(学校ブログ記事)から要約資料を抽出するシステムモジュールを開発し、協力校にて学校評価用要約資料の作成支援を行いました。学校関係者評価および保護者によるアンケート実施では、この要約資料を配付したことで、学校に対する肯定的回答が増加し、要約情報提供の効果が確かめられました。
さらに、学校広報に関する研究成果をもとに教育委員会・学校向けの学校広報入門ガイドブックとして「これからはじめる学校広報ガイド」(A4判64頁)を作成、全国自治体教育委員会向けに冊子配布(2500部)されるほか、GLOCOMのサイトでもデータダウンロード提供を行う予定です。
※ 教育関連では、このほかに中学生の保護者約1,800名を対象とした子どもの携帯電話やインターネット利用、学校非公式サイトに関する意識調査のアンケート設計、調査分析、考察を行いました。
2. 研究ワークショップのご案内
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【これから開催のもの】
+ 電子書籍の現在を考える~kindle、ipad、googleが切り拓くメディアの新たな可能性~
- 日時:2010年5月28日15時~17時
- 講師:仲俣暁生(編集者)、楠正憲(マイクロソフト株式会社法務・政策企画統括本部技術標準部部長/国際大学GLOCOM客員研究員)
+ ソーシャルイノベーション企業への変態(Transform)~社会問題解決型のイノベーションでアジアをリードする企業を創る~
- 日時:2010年6月3日15時~17時30分
- 講師:野村恭彦(国際大学GLOCOM主幹研究員/富士ゼロックス株式会社KDIシニアマネジャー)、服部篤子(CAC-社会起業家研究ネットワーク代表/国際大学GLOCOM客員研究員)
【開催済みのもの】
+ エレクトロニクス産業における特許戦略 -知識基盤経済におけるビジネスと法-
- 日時:2010年4月15日15時~17時
- 講師:玉井克哉(東京大学教授(先端科学技術研究センター・知的財産法)
3. 書籍紹介
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3.1. Thomas Bleha, Overtaken on the Information Superhighway
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GLOCOMを拠点に取材・調査活動をしていた米国のジャーナリストThomas Bleha氏が、著書『Overtaken on the Information Superhighway: How theU.S. Lost Internet Leadership and What to Do About It』を出版しました。ブロードバンドにおける日本の成功を米国人の視点から分析したものです。元となる論文は2005年に『Foreign Affairs』誌に掲載され、ブロードバンド分野における米国の遅れを指摘するものとして脚光を浴びました。
+ Bleha, Thomas. Overtaken on the Information Superhighway: How the U.S. Lost Internet Leadership and What to Do About It. BookSurge Publishing. 2009.
[http://www.amazon.com/Overtaken-Information-Superhighway-Internet-Leadership/dp/1439223858]
■概要
本書は、2000年以降の日米間のインターネットに関する主導権争いに焦点を当てている。2000年当時、米国はインターネットの勝利国であり、日本の森首相の「2005年までにインターネット分野で世界のリーダーになる」という主張は、国内外で真剣に受け取られなかった。
だが2001年以降、日本は大胆な計画を実行した。インターネット技術者を産み続け、何万もの外国のIT専門家を招いた。ITを政府の研究開発資金の焦点として米国と同規模にまで投資を増やし、商業志向のユビキタスITや特許製品を増大させた。大学の研究成果を市場に導入する回路を整え、ベンチャー投資も促した。一方、ブッシュ政権ではIT分野が後退し、2005年時点で米国は、超高速ブロードバンドと携帯電話インターネットという重要領域で日本に遅れた。
米国は、電子政府では今も世界のリーダーだが、日本は電子商取引でリードしており、携帯電話ベースのモバイル商取引で急成長している。さらに、あまねく通信サービスを供給することで成功し、米国の10年先をいっている。日本は、これらを8年間の集中的な努力で達成した。
両国の違いは、インターネット分野でのリーダーシップに影響する。クリントン政権が実証したように、技術の進展は持続的な経済成長を促す。インターネット接続は、雇用創出、エネルギー、医療福祉、教育、国防といった問題を解決に近づける。技術進歩はまた、イノベーションの機会をもたらす。
(1)高速ブロードバンド、(2)超高速ブロードバンド、(3)第三世代携帯、(4)第四世代携帯、(5)ユビキタスネットワークという巨大で新たな市場のうち(1)(2)(3)はすでに日本に存在し、日本はこれらの市場のイノベーションで先陣をきる。日本は(4)(5)も2010年に開始し、さらなるイノベーションの機会を手にするだろう。インターネット分野でのリーダーシップの確保は、米国にとって決定的に重要である。
なぜ米国は遅れたのか?要約すると、2001年の日本政府は、米国政府以上にクリントン時代の経済的成功を真剣に受け止めたということだ。日本政府は、インターネット技術が国家の福祉にとって決定的に重要であることを理解し、また政府がインターネット分野でのリーダーシップを達成するために果たすべき本質的な役割を認識したのである。
3.2. A. Gupta and H. Wang, Getting China and India Right
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急速な経済拡大を続ける新興国の中でも、中国とインドはその圧倒的な人口から来る潜在性から特に注目されています。2009年に出版されたGupta and Wang, Getting China and India Right: Strategies for Leveraging the World's Fastest Growing Economies for Global Advantageは、中国とインドを、(1)巨大市場、(2)コスト削減のプラットフォーム、(3)イノベーションのプラットフォーム、(4)次の時代のグローバル企業の発射台として捉え、今日のグローバル企業が、それぞれの可能性とリスクを踏まえ両国の優位性を自社の優位性に結びつけるために取るべき戦略について記しています。
本書では、従来のグローバル企業のビジネスが、先進国向けの商品を似たような購買力・消費性向をもつ先進国の消費者や、途上国にも一定割合で存在する富裕層向けに売るに留まっていたと指摘し、この巨大市場を相手にするためには消費者の所得水準、言語、文化、あるいは宗教的な違いを考慮した全方位戦略が求められると述べます。
また本書は、今日のグローバル企業がもつ技術・人材、ブランド、既存顧客、グローバル経営力といった優位性は、次の時代のグローバル企業に対する優位性でもあると述べています。これからの10年のグローバルな企業活動を考える上で大変示唆に富んだ一冊と言えます。
+ Gupta and Wang, Getting China and India Right: Strategies for Leveraging the World's Fastest Growing Economies for Global Advantage, Jossey-Bass, 2009.
4. 出版・パブリシティ
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GLOCOMの研究員の業績のうち、最近のものをご紹介します。詳しくは、GLOCOMのウェブページにある研究員の業績・パブリシティの情報をご覧ください。
+ 豊福晋平「学校広報のための戦略的学校広報モデル」(日本教育工学研究報告会)
+ 井上明人「ユーザー・クリエイティヴ・ネットワーク」(情報社会学会シンポジウム「多様な情報社会と組織の適応」)
+ 庄司昌彦「米中におけるTwitterの受容と「多様な情報社会」」(情報社会学会シンポジウム「多様な情報社会と組織の適応」)
+ 渡辺智暁「ネットワーク中立性におけるマルチステークホルダー・ガバナンスの役割」(情報社会学会シンポジウム「多様な情報社会と組織の適応」)
+ 猪狩典子「ICT利用先進国デンマークに学ぶ ~行政、医療、教育の情報化~」(情報社会学会シンポジウム「多様な情報社会と組織の適応」)
→出版・パブリシティのページ [http://www.glocom.ac.jp/ised/publicity/]
※ 今号の「注目の海外動向」は休載です。
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【発行】国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
(編集責任者:上村圭介)
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