コンピュータ・メディアとインターネットの普及によって、
人々の生活が決定的に変わり始めて15年余。
もはや情報技術は人為的に築いてゆく「インフラ」の域を越え、
ほとんど「自然」と区別できないほどの自生的な環境として、
私たちの認識と行動を規定しはじめている。
このように古典近代的な予測と統御のモデルが機能しえないほどの
複雑高度な情報化が達成された後の社会にあって、
私たちは何を能動的に「設計」しうるのか?
様々な知が交錯する先進対話から、
望ましい未来に向けた原理の在り方を改めて問う、
最先端の往復書簡シリーズ、連載開始―――!
テレビの完全地上デジタル化にともなうアナログ放送の停止も、いよいよ目前。そこで、空いた周波数帯を市場メカニズムによって有効利用するための手法として導入を検討されているのが、自由な競争入札方式で事業者に周波数帯域を割り当てる「電波オークション」だ。
去る12月14日には、総務省が将来の4G(第4世代移動体通信)向けの周波数を電波オークションで割り当てる方針を示すなど、いよいよ議論は活性化しているが、官民それぞれのプレイヤーの利害と思惑が錯綜する中で実現へのハードルは高く、いまだ道筋が見えたとは言いがたい。
はたしてその導入は、未来の放送と通信の基盤を築く制度改革として、あるいは日本経済再生のための新たな成長戦略として、有効性を持つのか否か。
日本における導入推進の議論を先導してきた情報通信政策の第一人者・鬼木甫氏と、有限の公共資源としての電波の配分問題を研究する立場から慎重な見方を示してきた湧口清隆氏による対話から、改めてその可能性を根本的な視点から探っていく。
15年間にわたるコンピュータとインターネットの一般普及がもたらした多くのもののうち、最も根本的なものが、人々のコミュニケーションの変容だろう。それは、単に物理的な距離や時間の制約を越えて人々を結びつけるのみならず、見知らぬ人同士を見知らぬ人同士のまま協同させ、我々がかつて経験したことのない規模での「集合知」を産生させつつある。
学術、経済、政治など、様々な場面におけるその導入は、人類の知をどう変革し、いかなる力をもたらすのか。ネットにおける様々な価値創造や意思決定の諸相を研究する山口浩氏と渡辺智暁氏が、よりよい「集合知」の在り方やコーディネートの手法をめぐる議論を深め合う。
1990年代以降、政治改革や行政改革が何度も叫ばれながら、霞ヶ関の官僚機構の主導による「鉄の三角形」と呼ばれた硬直的な政策形成の仕組みを更新できず、日本の政治システムにはいまだ「真の民主主義」が根付いていないと言われている。
一方で、インターネットをはじめとする情報技術の急速な進展や「オープンガバメント」「新しい公共」などのスローガンに代表される世界的な機運の高まりで、現在は市民の新たな社会参加の道筋もまた拓かれつつある。
こうした変革の芽をいかに繋いでいきながら、これからの日本の政治システムとその背後にある社会風土を変えていくべきか。
霞が関の官僚機構の外部で政策形成を行うために欠かせないアクターであるシンクタンクの役割や、自らの手で社会統治に責任を持つためのシチズン・リテラシーという観点から問題点を洗い出し、これからの日本民主主義の在り方を展望する。