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往復書簡シリーズ 設計未来 : ポスト情報化社会を展望する

鈴木崇弘×庄司昌彦

日本民主主義を再設計する
オープン・ガバメントへの道筋

1990年代以降、政治改革や行政改革が何度も叫ばれながら、霞ヶ関の官僚機構の主導による「親方日の丸」の硬直した政策形成の仕組みを更新できず、日本の政治システムにはいまだ「真の民主主義」が根付いていないと言われている。

一方で、インターネットをはじめとする情報技術の急速な進展や「新しい公共」などのスローガンに代表される世界的な機運の高まりで、現在は市民の新たな社会参加の道筋もまた拓かれつつある。

こうした変革の芽をいかに繋いでいきながら、これからの日本の政治システムとその背後にある社会風土を変えていくべきか。

真に民意に沿った政策形成を行うための欠かせないアクターであるシンクタンクの役割や、自らの手で社会統治に責任を持つためのシチズン・リテラシーという観点から問題点を洗い出し、これからの日本民主主義の在り方を展望する。

庄司昌彦/第1信 (1)

2011年2月28日

鈴木崇弘 先生

このたびは、本往復書簡企画をお引き受けいただき、大変ありがとうございます。まず、なぜお相手として鈴木先生をお呼びしたかという意図から、説明させて下さい。

私は、中央大学の総合政策学部を卒業しておりますが、学部ができて間もない頃、設立者の一人である渥美東洋先生の元で学んだ4期生にあたります。ちょうど慶應や立命館にも似たような学部が立て続けに設立されて、新しい学際的・総合的な政策学を立ち上げようという進取の機運に満ちていた時期でした。そんな空気にどっぷり浸かって、他の大学の学生たちとも交流をしながら、自分がそうした総合政策研究のムーブメントの中で何をなすべきかを考えながら、学部・大学院とその道を突き進んできたわけです。

そして、このGLOCOMという一種のシンクタンクに入り、昨年の9月からはIT戦略本部のタスクフォースのメンバーに誘っていただいて、実際にIT政策に携わる立場になりました。


そこで、こうした道を切り拓いてきたのは誰かと考えたときに、鈴木先生のお名前が思い至ったわけです。ご著書の『日本に「民主主義」を起業する 自伝的シンクタンク論』に記されているように、私から見て、鈴木先生はずっと日本に政策シンクタンクというものを根付かせようと孤軍奮闘されてきた大先達に当たります。私が知ってるかぎりの来歴としても、鈴木さんは、最初に東京財団にいらっしゃったり、その後は大阪大学を経て自民党に政党シンクタンクを立ち上げたりと、小泉構造改革から政権交代に至るまで、目まぐるしく風向きが変わる中で、八面六臂のご活躍をされてきていますよね。

さらには、本の中にも書かれている竹中平蔵さんや鈴木寛さん、大田弘子さんといった方々からも私は大学に入りたての頃にいろいろお話をうかがう機会があり、やがて政権の中枢に入られていく過程をずっと注視していました。

そうした皆さんの歩みに勇気づけられながら、ちゃんとした政策研究をして民間の知恵を政府の中に入れていく仕組みを作っていくにはどうしたらいいか、今度は自分なりの問題意識で取り組んでいくべき番になりましたので、ここで一度鈴木先生からいろいろなご示唆をいただければと思った次第です。


先生がずっと取り組まれてきた「日本に民主主義を起業する」というミッションは、少しずつですが進んできているのではないかと思います。私はインターネットの進歩を中心に、情報化の面から政策研究に取り組んでいますが、そうした情報化の波と並行して情報公開法やNPO法ができたことによって、我々民間の人間が政府の情報を手に入れやすくなったり、非営利の活動で公のことに関わろうという人が増えたりと、少しずつ状況が変わってきているという感触もあります。最近ではソーシャルビジネスという言葉も出てきたように、ビジネスの方法で公的な活動にアプローチしようとしている人たちも増えているようです。

あるいは、オバマ大統領の選挙から最近のジャスミン革命に至るまで、インターネット上のソーシャルメディアが政治を変える力として注目を浴びているという状況もあり、そういう観点から、広く議論をしていければと思っています。

日本民主主義を再設計する
オープン・ガバメントへの道筋

[プロフィール写真]庄司昌彦
庄司 昌彦
(しょうじ・まさひこ)
1976年生まれ。国際大学GLOCOM講師/主任研究員。内閣官房IT戦略本部電子行政タスクフォース構成員。中央大学大学院総合政策研究科修士課程修了。おもな関心は情報社会学、政策過程論、電子行政、地域情報化、ソーシャルメディアなど。共著に『地域SNS最前線 Web2.0時代のまちおこし実践ガイド』、『クリエイティブ・シティ 新コンテンツ産業の創出』など。
[プロフィール写真]鈴木崇弘
鈴木 崇弘
(すずき・たかひろ)
城西国際大学大学院国際アドミニストレーション客員教授。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団研究事業部長、大阪大学特任教授、「シンクタンク2005・日本」事務局長などを経て現職。中央大学大学院客員教授も兼務。著書に『日本に「民主主義」を起業する 自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』など。