国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)

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DISCUSSION PAPER_No.7(17-005)「著作権集中管理団体の功罪をめぐる論争について ―JASRACの「音楽教室からの料金徴収問題」を題材に―」

DISCUSSION PAPER No.7(17-005)

著作権集中管理団体の功罪をめぐる論争について
―JASRACの「音楽教室からの料金徴収問題」を題材に―

田中辰雄(国際大学GLOCOM主幹研究員/慶應義塾大学准教授)

要旨

著作権集中管理団体は、一括許諾を可能にすることで著作物の取引コストを下げ、零細な著作権者の利益を守る組織として、通常は肯定的にとらえられる。しかしながら、日本のJASRACに関してはなぜかその活動に批判が多い。たとえば2017年2月に音楽教室からの料金徴収方針が伝えられると、多くの批判が起こった。批判はネット上の一部の限られた人の意見というわけではない。サーベイ調査をしてみると7割程度の人が徴収に反対しており、しかも反対なのは消費者だけでなく、クリエイターもその多くが徴収に反対する。このように批判が多いのは、JASRACによる料金徴収が法的には妥当でも実態としては行き過ぎており、著作権保護の最適水準を超えているからと考えられる。著作権の保護には最適水準があり、それを超えて保護を強化すると著作物の利用が妨げられ、社会全体の利益が低下する。JASRACは音楽文化を振興させているのではなく、むしろ音楽文化の発展を阻害しているのではないかという感覚が人々の間に広がり、これが多くの批判を生んでいると考えられる。
これを解決する方法としては、JASRACの組織変更あるいは著作権法の改正が考えられる。実践的には著作物を利用する側の権利を守るように著作権法を改正することが望ましいだろう。比較的実行可能な案としては、フェアユースの導入がひとつの候補である。

キーワード

著作権、集中管理団体、取引費用、外部効果、権利制限、音楽教室、フェアユース、JEL コード O34, K24, L31,L82

2017年7月発行