国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)

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DISCUSSION PAPER_No.14(19-002)「プラットフォーム事業者のデータの収集・活用に対する人々の評価 ―CVMによる支払い意思額の推計―」

プラットフォーム事業者のデータの収集・活用に対する人々の評価
―CVMによる支払い意思額の推計―

山口真一(GLOCOM主任研究員・講師)
佐相宏明(国際大学GLOCOMリサーチアシスタント)
青木志保子(GLOCOM主任研究員)

要旨

近年、GAFAなどのプラットフォーム事業者によるデータの収集・活用に関する議論が活発になってきている。そこで本研究では、アンケート調査データを利用し、人々がデータ収集・活用に対してどのように考えているのか、支払い意思額の分析を行う。

まず、主要20サービスでCVMによって支払い意思額を推定した結果、全てのサービスについて、90%程度の人はデータ収集・活用への支払い意思額が0円となった。次に、このような支払い意思額について、モデル分析から支払い意思額決定要因を定量的に検証した結果、年齢が最も大きな影響を与えており、年齢が1歳増えると支払い意思額(月額)が0.537円減少した(減少=データ収集・活用に不利益を感じる)。最後に、年間の主観的便益評価を推計した結果、全国で約-300億円となった。そして、10代と20代では約100億円の便益を得ていると評価している一方で、30代以上では約400億円の不利益と評価している状況が明らかになった。

このことから、次の3点がいえる。第一に、ほとんどの人はデータの収集有無にかかわらず無料でサービスを利用したいと考えているため、データの収集・活用が一律に規制された結果としてサービスが有料化した場合、人々にとって大きな負の効用が生まれる可能性がある。第二に、データの収集・活用は人々に不利益を与えており、プラットフォーム事業者がそれを行わない方が消費者の便益は増加する。しかしながら、政策決定者世代と、これからの情報社会を担うデジタルネイティブ世代で、データの収集・活用に対する評価が大きく乖離している。若い世代の価値観に十分に配慮し、かつ、企業活動を損なってイノベーションを阻害しない範囲で、データの収集・活用のルールを検討する必要がある。第三に、データの収集・活用に対する考え方は、その人の属性などによって大きくばらつきがある。そのため、より読みやすいサービス利用規約の検討を行う、啓発活動を行うなどをとおして、データの収集・活用に対する認知を向上させることが重要である。

キーワード

データ利活用、プラットフォーム、CVM、支払い意思額、個人情報

2019年3月発行