○岡崎参考人 国勢に責任をもたれる先生方に直接お話しできるチャンスを与えられまして、光栄に存じます。
時間が限られておりますので、日米安保条約に関連することを中心に申し上げたいと思います。
まず、情勢判断でございますけれども、これはもう既に、佐久間参考人、渡邊参考人から詳しく御説明があったので詳しい事は申し上げませんが、結局、冷戦は確かに終わりまして、ヨーロッパ、あるいはアフガン撤兵後の南アジア、あるいはベトナムのカンボジア撤兵後の東南アジア、これは全部終わりました。ところが、極東では余り変わっておりません。特に、朝鮮半島、台湾海峡は全く変わっておりません。むしろ逆に、過去30年間は、これは客観的事実でございますが、比較的安定期でございます。これから10年、20年は変動期に入るのだ。これは世界のいかなる専門家といえども反対できないわけでございます。
そうなりますと、むしろ安保条約というものは非常に、冷戦が終わったから安保条約は要らないということはあり得ないのでありまして、これから変動期に際して最も重要になるということでございます。
むしろ安保条約をつくった、要するに朝鮮休戦後の時期あるいは沖縄返還後の時期によく似ております。当時、ソ連の海空軍というのはアメリカの第七艦隊の前で微弱でございまして、安保条約の主な目的は朝鮮半島と台湾海峡でございました。冷戦の最後の10年間、ソ連の脅威が非常に強かったものでございますから、その記憶ばかり非常に強いのでございますけれども、それは、そういう時期があったということでございまして、安保条約が初めにできたころの目的から考えますと、今こそ安保条約が最も必要な時期が来ている、そういうことでございます。
それからもう一つ、歴史的に申しますと、確かにソ連は今軍が弱体化しております。ただ、これはわからないのです。1917年の革命のときから15年たって、32年ごろにソ連はまた強くなってまいりました。辛亥革命の後、大体15年して蒋介石の北伐が始まりまして、その間日本は全く心配しなくていい時期があったのです。そのときに日英同盟の破棄を許してしまった。それで、日本は孤立して漂流するのでございます。こういう中間的な時期こそ、今までの態度を非常に堅持しなければいけない、そういう極めて大事な時期でございます。
15年と申しますけれども、ソ連革命からもうこれで7年目に入っておりますので、あとちょうど半分しか残っていない。確かに、この半分でロシアというのは非常にしっかりするだろうと思います。
情勢というのは、今は一番ロシアが弱い時期でございますけれども、これはどうなるか全く将来の事はわからない。中国の軍備強化もございますし、将来はわからないのでございますけれども、将来どうするということを考えます場合に、むしろ基礎となるのは日米同盟の力でございます。
日米同盟というのは圧倒的に強い力を持っておりまして、軍事力を合計すれば、それは問題なく強い。経済力も、アジアが全部必要とする市場、技術、資本、これは全部ほとんど独占的に持っております。ですから、日米同盟がしっかりしますとアジアというのは安定するのだというか、ほかの変動要素が、選択肢が減ってくるわけでございます。
ですから、対中関係、対ロ関係、対朝鮮あるいは統一朝鮮関係、これをどうするのだと聞かれますと、第一の方策は日米同盟を強くすること。これによって非常に関係は安定いたします。
そこで、日米同盟強化の方策というのは、非常にはっきりしております。これは、沖縄の基地問題を解決することと集団的自衛権の問題を解決すること、この二つさえ解決すれば、恐らくこれから我々の孫子の代まで数世代にわたって日本国民は平和と安全を享受できると思います。これは必ずしも優しいことではないのでございましょうけれども、これだけ先行き不透明な世の中で、これさえすれば済むというものが見えているということは希有なことであろうと思います。
そこで、米軍基地の問題でございますが、米軍基地は、冷戦後のアメリカによる世界秩序維持には大変重要なことでございます。アメリカの今持っております基地は、沖縄と、それからあとはインド洋の真ん中のディゴガルシア、これも沖縄の支援を受けております。ですから、これを失いますと、アメリカはヨーロッパ以外の地域については介入能力を失うのでございますね。要するに、世界秩序維持の責任を失ってしまう。ということは、むしろ日本の基地がないとアメリカはもう世界政策ができない。そういうふうになっております。
アメリカというのは非常に特殊な国家でありまして、アジア諸国全部、アメリカの駐屯を望んでおります。これは一種理想主義的な国でありまして、過ちも大変犯すのでありますけれども、結局は私心がないことをみんな知っている。ベトナムで5万5千の兵を失って、初めから寸土も得る気持ちはない。韓国もそうでありますし、湾岸もそうである。そういう極めて不思議な国でありまして、アジアの国が結局は信頼しております。北朝鮮でさえも、アメリカとだけは仲よくしたい、そういう国でございます。ですから、日本がアメリカの基地を維持しているということは、日本のためでなしに、これはアジアに対する最大の貢献であります。これが揺らぎますと、アジアの国が一斉に不安定になります。
そこで、また沖縄の基地なのでございますけれども、それだけの重要な基地、これはだれかが負担しなければいけない。それをたまたま沖縄が最も大きく負担している。これはだれかが負担しなければいけないのはやむを得ないことでございますけれども、沖縄に特殊事情があることは認めなければいけません。
沖縄について同情すべき点は多々ございます。古くさかのぼれば、かつて独立国であった。それから、戦前は差別さえもあった。それから、戦争中に最大の被害を受けた。これは大田中将の言葉でございますけれども、沖縄県民には「後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」と、そういう歴史的経緯がございます。それから、戦後は外国支配。それで、単に戦略的重要性でアメリカ軍がいるというのではなしに、そういう経緯があっているという特殊な事情がございまして、これについてはやはり同情すべき点はございます。
それについては、基地の国内移転、それから沖縄開発プロジェクト、そういう面でもって政府が全面的に協力すべきものでございます。
ただ、一坪地主とか無責任な反基地、反米闘争、これと沖縄の民意とは違うものでございます。これに対しては、やはり殻然たる態度をとらなければいけない。これは既に最高裁判所の判決が出ておりまして。条約に基づく国家の義務履行のために必要かつ合理的なものだとそれが認められておりますので、しかも、争って負けた側がいまだに最高裁の判決の趣旨に従わない。これはちょっと法治国家としては遺憾なことであると思います。
今言っているこの無責任な反米、反基地闘争、これは非常に60年安保、70年安保と似ておりまして、60年安保、70年安保では、こういう無責任な反米、反基地闘争を殻然たる態度を通して押し切った、それによって現在の日本があるわけなのでございます。それは当時の自民党政権、自民党の先人がそれをなさったわけでございます。私は、現在の自民党も、党の先人に恥じないように措置していただくことを希望いたします。
それから社会党も、これは安保堅持をおっしゃった、国家に責任を持つ正当である以上、政策と論理の整合性がなければいけない。安保堅持の整合性に従って行動されれば、無責任な反米、反基地運動とはやはり一線を画さざるを得ない。でなければ、政策の論理が崩れてまいります。
そこで、今度は海兵隊の問題でございますけれども、ここ十日ぐらい、新聞だけでございますけれども、私は何となく腑に落ちませんのは、海兵隊縮小を政府から言い出す、そういうニュースがしばしば流れております。これも、橋本・クリントン会談、これを引き継いだSACOの結論がございまして、在日米軍の能力及び態勢を十分に継持するということを合意しております。
もちろん、それを実施することの困難はわかるのでございます。それは、基地を移転と申しましても国内でいろいろ反対もある。それはわかるのでございますけれども、それが難しいからといって、半年もたたないうちにまたこの問題をアメリカに持ち込む、これは日本として大変恥ずかしいことであろうと私は思います。
そういうことをしますと、これは国内の基地移転にいたしましても、ここにおられる臼井前長官、現長官も誠心誠意を持って地方自治体とお話しになって、着々と進んでいるわけでございます。こうした努力が無になってしまう。それから、何よりも大事なのは、アメリカの基地を持っている、これが日本の最大の貢献になりますけれども、アジア諸国に対して動揺を与えるわけでございます。これは日本の責任を果たさないことになります。
それからまた、少しぐらい削減して、例えば有事駐留のようなことをして歩兵部隊を千人、二千人減らしたところで、沖縄の将来にとってはどれだけのプラスがあるかというと、それ自身も疑問でございます。ということで、海兵隊縮小は、これは軽々にアメリカに持ち出す問題ではないと私は思います。
そこで、最後に、集団的自衛権の行使の問題でございます。
これはアメリカも最近はいろいろ考え方が固まってまいりまして、昨年以来のアメリカの軍事専門家の意見はほとんど一致しております。集団的自衛権の行使を日本が認めないと、日米同盟というのはひび割れがしてしまうということを言っております。これは政府関係者は違います。政府関係者は、いや、それは日本がお決めになることである、憲法を尊重すればいい、そういうことを申します。それ以外は一言も言えないわけでございます。それ以外を言えばアメリカが日本の内政に干渉している、そういう非難を受けることは明らかなので、これは口が裂けても言えないことなんです。ところが、そういう人たちが一度政府を離れますと、非常にはっきり申します。それは、昨年の夏のカール・フォード、それからことしの冬のトーケル・パターソン、それからジム・アワー、そういう方の論文をお読みになれば非常にはっきりするわけでございます。
これは、また実際の問題として、アジアの軍事バランスというのはこれからだんだんと変わっていくわけでございます。例えて申しますと、昨年の3月のような台湾海峡事件が起きる、台湾海峡は平和的に解決されるべきだ、これには日本もアメリカも合意しております。これは、アメリカが空母機動部隊を二つ出して、その結果、中国が軍事上手も足もでないで引っ込んだ、そういう状況です。ただ、これがどんどん変わってまいります。そのうちに、何年か先でございますけれども、空母機動部隊が二つではどうにもならない、そういうふうに軍事バランスがだんだんと変わってまいります。
アメリカはまだまだ余力がございますけれども、余力を使う場合に一つ一つハードルを超えていかなきゃいけない。その場合に、一体日本はどうしているんだ、この声がでてくるのは、これは避けがたいことでございます。また、日本は大変力を持っております。これは堂々として築き上げてきた力がございまして、それで、アメリカと協力すればいろいろな使える力があるのでございますけれども、今のところ、アメリカと共同行動するという意味ではゼロになっております。ゼロの力が使えるようになることでアジアの軍事バランスというのは一挙に変わるのでございます。
例えばアメリカが空母機動部隊二つではとても守り切れない、そういう状況が10年後あるいは7、8年後に起こるとする、それまでに日本が態度を変えている、集団的自衛権の行使を認めるということになっておりますと、あと10年、15年、アジアは全く平和になります。安定します。我々の子供や孫の代まで安定した平和な生活が楽しめるようになると思います。
実は、これは不思議な話でございまして、もはや日本の政治がアジアの平和の安定を決める、そういう状況にまでなってきております。これは、別に日本が軍備を増強する必要はございません。日本が軍備を増強したらどうなるかとか軍事大国化したらどうなるかとか、そういうことはございますけれども、現在の防衛力整備を続けていくだけでも十分でございます。同じものが、ゼロだったものが使えるようになる、それだけの差でございます。
それからまた、いざという場合はどこに出兵するというコミットメントは全く必要ございません。これはむしろ、兵を動かすということは国の大事でございますから、これは100のうち99はしないことでございます。ただ、ひょっとしたらできるかもしれないという法律的な可能性を残すだけでアジアが一挙に安定いたします。
そこで、集団的自衛権の問題でございますけれども、これは、私は憲法改正の必要は全然ないと思っております。実は、憲法は集団的自衛権を認めているんです。これはいかなる場で、総理にお聞きになっても外務大臣にお聞きになっても、そういう返事が出るわけでございます。憲法ができまして、それから日本が講和条約を結びまして、それから安保条約を結んで、国連憲章に加盟する、それで正式な批准手続を経ております。そのすべての条約に、日本は集団的自衛権があるということがはっきり書いてございます。
これを、集団的自衛権を行使しないというのは、国会答弁でそういう答弁があって、それをただ踏襲しているというだけのことでございます。憲法は集団的自衛権の権利を認めている、ただし憲法は集団的自衛権の行使を認めていない、これは非常に不思議なことでございまして、こういうことをもし私がはっきり言うと、後で速記者がこれは間違っているんじゃないかと聞きに来るぐらいの間違いだと思います。
本来憲法は集団的自衛権を認めている、ただ、今政府は方針としてそれを行使しない、これは当然でございます。それは正当防衛権と同じで、泥棒が金を出せと言ったら私は出すわけでございます、危険でございますから。ただ、それが自分の子供を殺すとか妻が犯されるというような場合は、これはやむを得ない。それが権利というものでございまして、権利があるけれども行使できない、そういうことはあり得ないことでございますね。つまり、通常、取引をして、金を払えばその物を私はもらえるわけなんです。金を払ってもらおうとすると、確かにおまえはそれをもらう権利がある、だけれども権利を行使していいとは言っていないと。相手は渡す義務があるので、おまえは義務があるだろうと言うと、いや、確かに私は義務があります、だけれども義務を履行するとは言っていない、これでは社会というものは成立しないのであります。
今までそういうような答弁をしたというのは、これは一つの知的退廃でありまして、これは解釈とかそういう種類の問題ではないのであります。でありますから、今後、憲法改正の必要は全くない。それから、解釈の改正といっても−解釈の変更と言うと、今までまともな解釈があったかのごとき誤解を与えます。まともな解釈というのはなかったわけでございます。だから、要するに、今後は、集団的自衛権はあるか、ある、これはだれでもそう言います。これをいつ行使するのかと聞いた場合に、集団的自衛権の行使というものは国家の重大事項である、だから国民の安全と平和、繁栄、それだけを基準にして、慎重の上に慎重に考える、その答弁が私は正しいと思います。その答弁一つで、もはや憲法の改正とかそういう問題ではないと私は存じております。(拍手)
○伊藤委員長 どうもありがとうございました。次に、小川参考人にお願いいたします。
[目次へ]このような重要な場で意見を延べさせていただくことを大変光栄に存じます。
国際情勢に関しましてはこれまで佐久間参考人、渡邊参考人の方から極めて適切なお話がございました。私はやはり岡崎参考人と同じ日米安保、とりわけ沖縄の米軍基地問題に関して若干の意見を述べさせていただきたいと思います。
この委員会のテーマ設定からまいりまして、東アジアにおける我が国の安全保障問題ということになっておりますので、まず、お手元のレジュメにありますように、Aについてはその第一項目、アメリカから眺めた日米安保ということを若干踏まえまして、Bにあります沖縄米軍基地問題の解決ということでお話を進めさせていただきたいと思います。
私自身、この問題に触れます問題意識といたしましては、とにかく日米安保体制を、日本なりの平和主義でもよろしいのですが、それに沿って健全化することによって国際平和を実現すること、そして沖縄の米軍基地問題に関してはやはり解決の方向に大きく全身すること、それをも問題意識とさせていただきたいと思うわけであります。
そこにおいて、レジュメのAにございます東アジアの安定における日米安保体制の役割ということで若干のお話を申し上げたい。岡崎参考人の方からもお話がございましたけれども、アメリカから眺めた日米安保ということで議論を整理してまいりたいと思うわけであります。
とにかく、同盟関係と申すものは、その国の国益にかなっているというところから選択されるものであります。ですから、日米安保というものは日本の国益にとっても極めて重要である、そのような立場というのは当然あるのだと思います。しかし、アメリカから眺めた場合、お情けで日本と同盟関係を結んでいるのか、さにあらず、アメリカの国益にとって極めて重要であればこそ日米安保を維持しているのだというところは、私どもは認識をもう一度改めてみる必要があるのではないか、そのような感じがするわけであります。
私自身は、13年前に、アメリカ政府の正式な許可を得て、北は三沢基地から南は嘉手納基地まで、実際に米軍基地を歩き、基地司令官に聞き取り調査を行い、また、アメリカ側から資料の提供を受け、また、ブリーフィングを受けたわけであります。
その中で、私自身のささやかな分析を報告書の形で公にしたわけでございますけれども、その結果を申し上げますと、それまでの俗論でありますところの、在日米軍基地などは韓国にある米軍基地の数10分の1の位置づけしかない、あるいは当時フィリピンにあったスピックの海軍基地と比べて日本の基地などは50分の1以下の重要性しかないといったものに比べて、逆であります。例えば朝鮮半島にある在韓米軍基地というのは、朝鮮半島の戦争にのみ備える格好で展開をしてきた。それに対して、在日米軍基地は、アメリカ第七艦隊の任務区域であります西経160度、これはハワイでございます。それから東経17度、これはアフリカ最南端の喜望峰でございますが、つまり、地球の半分で行動する米軍を支えるような機能を担っているということが明らかになったわけでございます。
つまり、軍事基地の性格として、韓国にある米軍基地、あるいは当時フィリピンにあった米軍基地が第一線の野戦基地であったのに比べ、在日米軍基地はアメリカが世界のリーダーであり続けるための戦略的根拠地である、そのような位置づけにある。それを日本国民が認識をし、みずからの税金で維持をしているという自覚のもとにアメリカとの同盟関係を健全に維持することが極めて重要ではないかという思いを持つに至ったわけであります。
いかに日本がアメリカとの同盟関係において重要な役割を果たしているか、これは日本国民の国民性からいいますと、アメリカ側の議論に振り回される傾向がありますので、アメリカ政府の要職にかかわった方の発言を御紹介する中で若干の御説明を申し上げたいと思います。
昨年の11月15日のことでありますが、東京で沖縄問題に関する研究会が開かれました。これは霞が関ビルであったのですが、主催をしたのは東海大学の平和戦略国際研究所であります。司会をしてくださったのは自民党の参議院議員武見敬三さんです。アメリカ側のスピーカーは、アメリカ国防総省の前のジャパンデスクであったポール・ジアラ氏、そして、その横にアメリカ国防総省の国防分析研究所の研究員でありますマイケル・グリーン氏が同席をする。日本側のスピーカーがたまたま私であったわけであります。
私は日本側の出席者の方に聞いていただきたいということがありまして、ポール・ジアラ氏に確認を求めた、これは当時の記録にちゃんと書いてあります。「日米安保抜きにアメリカは世界のリーダーでいられますか。」まさしくこれは、シンガポールが陥落した後、山下奉文将軍がパーシパール中将に対してイエスかノーかと迫ったような雰囲気で私は聞いたわけであります。そうしたら、すぐさまアメリカ側は答えた、リーダーではいられませんと。アメリカにとってもそれだけ重要であるということなのです。
その話の流れの中で、ポール・ジアラ氏は、とにかく湾岸戦争のときの日本の貢献というものも、お金を拠出する以前に、軍事力の出撃拠点として極めて重要な役割を果たした、最大の貢献をしたということを向こうが言ったわけであります。私は、私のこれまでの調査でありますし、持論でございますけれども、とにかくその56万余りの米軍を湾岸において支えたのは戦略的根拠地である日本列島であり、特に、燃料と弾薬の八割以上は日本から運ばれたものであるというような御説明を申し上げたとあります。
とにかく、日本は、アメリカの同盟国の中で、もちろん軍事力の提供ということにおいては大きな制約を抱えておりますけれども、極めて大きな役割分担をしている、その自覚が極めて重要であろう。
このレジュメのBの一番したにeの(8)とありますが、片務性という議論が日本でしばしば日米安保に関する議論を屈折させている原因になっていると私は考えますので、若干の考えをお聞きいただきたいと思います。
とにかく日本はアメリカから守っていただいているのだ、だから、アメリカに何か物を申すとアメリカを怒らせてしまうのじゃないか、アメリカを怒らせるとアメリカが日米安保を切ってしまうのじゃないか、そうすると、日本は裸同然になってとにかく大変なことになるのじゃないか、だから、ひたすらアメリカの言うことを聞くのだというような議論が戦後一貫して日本の中にかなり大きなものとして存在してきたわけであります。
ただ、同盟関係の常識ということを前提にこの片務性の問題を考えたとき、戦後51年間を眺めましても、アメリカの同盟国の中で、果たして軍事的に見てどの国がアメリカと対等であったことがあるのでしょうか。
さまざまなかかわり方をしておりますが、軍事面で見たとき、アメリカの同盟国はやはりアメリカの軍事的リーダーシップのもとにあるわけでありまして、アメリカから見ると、すべてが片務条約であります。中には、アメリカから軍事的に丸抱えになっている国もございます。そこにはアメリカ国民の税金が使われ、場合によってはアメリカの若者の血が流されるかもしれない。それが片務条約であるがゆえにアメリカにとってむだだということになりましたら、アメリカ国民がそれを許すはずはありません。
アメリカの国益にとって重要であればこそ、丸抱えの片務条約でもアメリカは維持しているわけであります。ですから、片務的だということだけで肩身の狭い思いをするというのは、国際常識に欠ける議論であろうということをまず申し上げたい。
ただ、同時に片務条約をそのまま放置していいのかという問題もございます。とにかく外交は対等が前提であります。ですから、軍事面では対等になれないにしても、同盟国は、例えば重要な基地の提供あるいは資金の提供などによって対等な関係、つまり双務性を高めることが極めて重要でございます。
その面から日本を見た場合、戸問えば戦略的根拠地である在日米軍基地を提供している、これは金銭に換算できないほどの重要な役割分担であります。また、金銭面でも、このレジュメの三枚目、データの5にございますけれども、平成8年度で見た場合の在日米軍経費は総額6389億円であります。同時にまた、我が自衛隊の役割分担というものをアメリカから見た場合は極めて重要である。自衛隊は日本の国を守るために存在しているわけでありますが、私どもの防衛費で維持されている自衛隊は、アメリカが世界のリーダーであり続けるために必要不可欠な戦略的根拠地である日本列島を守る戦力として認識されている。ですから、年間5兆円余りの資金的分担も行っているという議論を基本的には行わなければいけないわけであります。
私自身のささやかな体験で言いますと、このような議論をアメリカ側とこれまでやってきて、一度も反論などを受けたことはございません。そのとおりだというような認識でございます。ですから、これはやはり民主主義国である日本側としても、納税者にこたえるために明確にしていくべき問題であろうかと思います。
とにかく、先ほど岡崎参考人のお話にもありましたように、国際情勢に対する分析などは同時に重要でございますけれども、私はここで申し上げたいのは、日米安保を、日本なりにでよいのでありますけれども、健全に維持することの中でアジアの安定が相当進むのだ、それが確保されるのだということを申し上げておきたい。
我々がそういう自覚を持ち、日米安保を健全に維持しようとしているかどうかの試金石が、このレジュメのBにあります沖縄米軍基地問題の解決であろう。
そこで、若干のお話を申し上げたいわけでございます。このレジュメのBのa、b、c、dというところで若干お話を進めたい。
とにかく沖縄の人々に大変重い、しかも偏った差別的な米軍基地の重みが加えられてきたということに対して、私どもが戦後一貫して無自覚な状態にあったということは、大きく反省し、改善に向けて努力をしなければいけない。これは、現在、国を挙げて進められていることであろうと信じたいと思います。ただ、その場合に、やはり議論を進める前にさまざま整理をしなければいけないポイントがあるだろう、そこをここに述べたわけでございます。レジュメのBのaにありますように、白紙的に見た場合の沖縄米軍基地問題の解決における選択肢は大ざっぱに言って三つあると思います。
つまり、米軍基地問題全体をなくしてしまおうと思ったら、日本から日米安保をやめてしまえばなくなるのです。こういう選択も白紙的にはあるでしょう。ただ、私は、それは日本の国益にとって望ましいことではないと思いますし、日本国民の恐らく半分以上は、日米安保の解消というものは望ましくないと選択するでありましょう。ですから、これは、ここでは私は消させていただきます。
結果的に言いますと、この(3)にあります米軍基地の再配置、縮小などを図る中で、沖縄に加えられている過重な米軍基地の負担というものはなくしていくという方向に行きたいわけでありますが、もし日本国民を挙げてそのようなことに取り組む姿勢が生まれてこなければ、沖縄としてはみずからその問題を解決せざるを得なくなる。それが、この二番目にあります沖縄独立という選択肢であります.
これはリスクは伴いますが、沖縄が例えばシンガポール並みの通商国家として生きていく将来を保証するものかもしれません。ただ、日本全体から眺めた場合、国内問題にすぎない沖縄米軍基地問題を良好な形で解決できないとなりますと、国際的な信用を失います。これも国益の問題から見て甚だ好ましくない。ですから、ここでは消去法で消させていただく。
三番目の再配置、縮小ということを前提に、このレジュメのBのbの問題に入ってまいります。沖縄米軍基地問題を基地の再配置や縮小などによって解決していくためには、この(1)から(3)までの条件を同時にクリアしていくことが必要になると私は思います。
一つは、米軍基地の再配置、縮小であります。この中には、沖縄における戦後処理という問題がまず第一になければいけないと思います。
とにかく沖縄戦が終結した後、米軍が上陸をし、そこに居座る形で現在の米軍基地は存在しております。これは、沖縄の主要な部分を占め続け、沖縄の自立というものを阻んできた。これは、沖縄復帰後も、その根本的な部分においてはいささかも変わることはなかったわけであります。とにかく沖縄の復興、繁栄というものを考えるとき、沖縄県内においてまず基地をどこかに移すという作業は正面から取り組まなければいけないだろうということであります。同時に、これはやはり日本本土にも分散しなければならないし、アメリカと交渉する中で、縮小するあるいは整理統合するという作業を進めなければいけないと思います。
これと同時に、アメリカとの交渉を行う中で、二番目の沖縄の経済的自立を可能とする抜本的復興策というものを本来的に望ましい形で描くことが重要であろう。
しかしながら、この三番目にありますように、これを可能をする条件は、アメリカの軍事的プレゼンスを維持してやるということであります。とにかく軍事的プレゼンスが維持されているとアメリカが認める限り、日本の要求をアメリカは相当受け入れると私は乏しい体験の中で感触を得ております。しかし、そのための条件を整え、日本なりのカードを揃えない限り、これは無理であります。ですから、議論を最初から整理していくことが極めて重要になるだろうと思っております。
そういう条件を前提として、このレジュメのBのcでございますが、日米両国が沖縄の米軍基地問題の解決のために目指すべき到達点というものを明らかにし、そこへ向けての歩みを始めることが重要であろうと思います。これも私は三点ここに書きました。当面の目標としては一番目と二番目であります。そして、三番目が継続的目標となってまいります。
一番目は、沖縄復興策の主な柱とした、アメリカ空軍嘉手納基地をアジアのハブ空港にしていくという問題でございます。
とにかく日米安保をどのような形にしろ続けるということになりますと、アメリカが嘉手納基地を返還するということは通常では考えられません。ほうっておきますと、沖縄の中心部を占めるあの基地が、軍事的にのみ使われるわけであります。これは沖縄にとって大変不幸なことであります。しかし、日米安保を日本の努力によって健全に維持する中で、アジアの平和が保たれている限りあるいは世界の平和が保たれている限り、嘉手納基地は民間用に使用することは可能になってまいります。ですから、とにかく条件をきちんと整理をし、嘉手納基地をハブ空港にしていく、これが沖縄復興策の極めて重要なポイントになると思います。
いま一つ、当面の目標としては、海兵隊地上部隊をアメリカの領域に動かすという問題なんです。
ただ、後ほど申し上げますけれども、現在、与野党を挙げてあるいはマスコミを挙げて行われております削減とか撤退という言葉は、定義を明確にしない限りアメリカとの交渉の場には出せないのです。ですから、私は、新しい概念として、即応後方配備ということを出しております。即応性の高い形で海兵隊の能力を維持し、そして沖縄県民が望んでやまない海兵隊地上部隊のアメリカ領域への駐留というものを実現していくという話であります。
同時に、この三番目の継続目標としては、日本安保による国際的軍縮を実現しつつ、アメリカと協議をしながら軍事基地を縮小していく、それを追求していくことであろうということであります。
この到達点を実現するためのステップ、つまり、日本側で申しますと、日本が備えるべきカードというものは、このBのdの(1)、(2)、(3)であろうと思います。
とにかく普天間基地の返還が決まった後、代替航空施設につきましては海上へリポート案が去年の9月に浮上し、それをめぐって決着がつかない状況が続いております。しかし、昨年4月2日の段階まで、アメリカ政府は普天間基地を返すということは言っておりませんでした。4月2日の段階で、政治的な決着をつけようということを橋本総理が決断をされまして、とにかく普天間基地は返還という方向に動いたわけであります。
ただ、その中で条件になったのは、普天間基地と同等の能力を持つ陸上基地を沖縄県内につくるというステップ、それを踏まえるということであった。これは密約とかそういう話ではありませんが、そういうことは前提にして、初めてアメリカは普天間基地を返すということに同意をしたわけであります。
これは、県内移設ということに反対しておられる沖縄県民の気持ちはわかりますけれども、一つのステップとして考えた場合、海兵隊地上部隊の即応後方配備を実現するためにも必要な段階ではないかなと思っているわけであります。海上ヘリポート案では、とにかくフル編成した海兵隊航空部隊を有事に受け入れるためには不十分過ぎます。つまり、アメリカと交渉するカードにはならないということであります。
二番目の軍民共用空港の新設と那覇空港の閉鎖、これは嘉手納基地の空軍部隊をとにかくほかの基地に分散をし、ハブ空港として使うための対案でございます。沖縄県内に軍民共用の空港を建設する、そこに嘉手納の戦闘機部隊と那覇空港の自衛隊航空部隊を収容する、また、嘉手納基地の大型機の部隊は北海道千歳基地に移駐をさせるということであります。そういう中で、初めてアメリカ側は海兵隊地上部隊の即応後方配備を受けとめるであろうという感触を私は受けております。
そのような議論をしていくことが沖縄の基地問題を解決の方向に動かしていく上で極めて重要なことになってまいりますが、あと一分でお話を申し上げたいのは、レジュメの一番下、従来の議論の問題点のうち、一番目と二番目でございます。
とにかく定義が不在であるという問題をもう一度整理しよう。削減という言葉を使いますと、兵力構成全体を変更するという問題になりますから、アメリカは受けません。撤退ということになりますと、軍事基地の撤去という問題が本来的に入ってまいりますから、日米安保を解消しようとするのかということになりますので、受けません。これは違う定義をしなければいけない。日米安保を解消するということを前提にしないというのであれば、やはり県内移設というステップを踏まえるという議論も、いま一度沖縄県民の皆様としていくことが重要ではないかと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
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