グローコムフォーラム2005
グローコムについて

| TOP (Japanese) / projects / GLOCOM Forum2005 / program / / symposium / / paper / / suzukiken | |
なめらかな社会の設計 ~その一例としての伝播投資貨幣PICSY~情報革命は、今後数百年かけて進展する長いプロセスの総称であり、ひとことで言うとコミュニケーションの革命に他ならない。より具体的にいえば、なめらかな社会へ向かっていくものと考えられる。 なめらかな社会とは、いったいなんでないのかを説明しよう。なめらかでない社会の例として、ステップな社会とフラットな社会を挙げることができる。ステップな社会とは、切り立った二者関係、つまり二元的なものと考えてよい。たとえば消費者と生産者の関係は二元的でステップなのに対し、それに対してプロシューマーはすごくなめらかな感じがする。 ここで重要なのは、ステップを拡大していくと、なめらかになるということである。つまりステップなものは実際には存在しない。スケールを変えていくと、どのようなものもなめらかに見えるということであり、ことは認知的な問題なのである。 内側と外側を分ける切り立った二元的な関係を、通常はよくないものだと私たちは考えがちである。つまり、敵と味方を区別するのはよろしくない、と。しかしかといって、フラットにも問題がある。というのも、フラットな世界には非対称性・差異がないため、ここには文化が発生しない。逆に、世の中はフラットだといってしまう欺瞞も存在してしまう。たとえば完全市場というのは公平でフラットな社会だといわれますが、実際にはフラットじゃない。完全市場なんぞどこにも存在しないわけだから、そういう欺瞞性がフラットにはある。 そこで出てくるのが「なめらか」である。「生と死」、「人工と自然」など、本当はなめらかな関係だけれども、なめらかではない概念がこの世の中にはたくさんあり、組織の内側と外側を分けるという概念はそのひとつである。 なめらかな社会を設計し、実現するためのひとつの方法として、貨幣レベルから組織を仮想化してしまう貨幣を発明してみた。伝播投資貨幣(PICSY)は、すべての取引を投資としてしまうことによって、取引価値が組織を超えて伝播する貨幣システムである。 このような貨幣を導入することによって、組織の仮想化や公平性の向上の他に、コミュニケーションのダイナミクスが変化することが期待される。 組織境界に対して、透過して貨幣価値や情報が伝播する仕組みを採用することによって、「異なったインタレストを持ったアクター」の合意形成の仕方が変容するはずだ。なぜならば、「異なったインタレストをもったアクター」という概念自体がなめらかでない社会の産物に他ならないからだ。 貨幣のように社会のOSに当たるレイヤーを差し替えるには、数百年スパンで考えていく必要があるが、いまわれわれにはそのような議論が必要である。 |
|
