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「ウチら」世代のケータイ・ツナガリ
- 講師:中村泰子 : 株式会社ブームプランニング代表
- 講師:米村佳奈子 : 株式会社ブームプランニング企画・広報 他
ごくフツーの女子高生たちの日常について、彼女たち自身の口から率直に 語ってもらえる機会なんて滅多にないかもしれない。9月13日のIECP研究 会は、(株)ブームプランニング代表の中村泰子さん、同社スタッフの米村 佳奈子さん、それに今年の春まで女子高生だったという大学生お二人を講師 に迎え、女子高生と携帯電話(ケータイ)のかかわりについて、彼女たちか ら直にお話を聞ける楽しい研究会となった。 マーケティングから見た女子高生の魅力
講師の中村泰子さんは、女子高生ビジネスのパイオニアと言われる方であ る。1986年に企画集団「スキャットクラブ・オブ・ジャパン」を設立、88 年に(株)ブームプランニングを立ち上げて、女子高生の意見や感性、情報 力を生かした商品開発やセールス・プロモーションに取り組んでこられた。 現在、ブームプランニングのネットワークは、未就学児から小・中・高・大 学生、OL、主婦へと広がっている。
中村さんはマーケティングという観点から見た女子高生の魅力について、 次のように語った。
(1)感性が鋭い。
物があふれている中で育っており、商品を見抜く目のレベルが高い。物の良し悪しに敏感で、好き嫌いを瞬時に判断できる。同じ商品を見せても、大人が 思いも付かないような反応を示す。思ったり感じたりしたことを遠慮なく言ってくれる。
(2)口コミ力。
おしゃべりの速さと情報量の多さでは、女子高生を超える層はない。ケータイでメールをやり取りする量も半端ではない。周辺情報も豊富で、家族関係、 親、きょうだい、学校、塾、バイト先のことなども、彼女たちに聞くとよく分かる。
(3)マスコミへの影響力が絶大。
女子高生が注目することをメディアがおもしろがってくれることで、テレビや雑誌がよく取り上げてくれるので波及効果が大きい。
中村さんによると、いまの女子高生の三種の神器は「ケータイ、プリクラ、 カラオケ」なのだそうである。今回のテーマは、このうちのケータイについ てである。研究会は、GLOCOMの鈴木謙介研究員が講師の方々に質問 をし、それに答えていただきながら、随時会場からも質問を受けるという形 で進められた。
通話とメールのどちらが多い?
これは圧倒的にメール。ブームプランニングが今年8月、首都圏の高校に 通う女子高生100人に聞いた調査では、「通話の方が多い」と答えたのはわ ずか3人。料金に占める通話とメールの割合は、1:9が3人、2:8が42人、3: 7が23人、4:6が20人、5:5が9人であった。
メールが多い理由は「通話料が高いから」。通話中は1秒、2秒、…とお 金がかさんでいくから、「早く切らなきゃ」と気になる。メールは「お風呂 の中でもず~と打てるから、暇つぶしに友だちとメールで話したりしてい る」。湯船に落としたことも何度かあるそうで、「これからのケータイは防水 加工して、落ちてもいいようにしてもらいたい」。
では通話料が定額制になれば、通話の割合が増えるのだろうか。中村さん によると「メールは授業中にでも送れる。相手の都合を気にせず、いつでも 送れるということも大きいようです」。
一カ月の携帯電話料金はいくら?
前記の調査によると、彼女たちが一カ月に使う携帯電話料金は、5千円未 満5人、5千~ 1万円38人、1万~ 1万5千円33人、1万5千~ 2万円18人、 2万円以上6人であった。
料金を支払っているのは誰かというと、中村さんによると全部親がかりと いうのは少数派で、「一定額(基本料金とか一万円までとか)は親、残りは 自分」という家庭が多い。「全部自分のお小遣いから」という子も三分の一 以上いて、だから通話料にも敏感にならざるをえないということらしい。
一日にメールを打つ回数は?
メールを打つのは普通、一日三十~四十回で、多い日は百~二百回。彼氏 ができると「『うん』だけでも返信するので、すごく増える」。文化祭などの イベント・シーズンや、友だちに悩みを聞いてもらうときにも増える。メー ルが速く打てるように、ボタンにシールを貼ったり、定型文を自分風にアレ ンジしたりして工夫しているそうである。
一回のメールの長さは、すごく長くても一画面分ぐらいで、一行~数行の 短いメールをポンポンとやり取りすることが多い。別に用がなくても、「い まバイト終わったよ~」とかメールするのは「誰かとつながっていないと不 安だから」。
どんなときにメール・アドレスを変える?
彼女たちは相手をよく知らなくても、とりあえずメアド(メール・アドレ ス)を教え合う。だからアドレス帳に登録してあるメアドの数は多く、家 族、彼氏、仲良し、地元、高校、バイト先、……とグループ分けして管理し ている。赤外線通信は自分のメアドを教えるのに便利で、文化祭でかっこい い子がいたら、「赤外線で送って」となるから、一気に三十~四十件増える ことも。誰が誰だか分からないようになるので、アドレス帳のメモにはしっ かり書き込んである。
一方で、頻繁にメアドを変更する。メアドを変えるタイミングはいろいろ で、クラス替えや卒業のとき、彼氏ができたり別れたりしたとき、それから 大事なイベントがあるときに「がんばろうね」というメッセージを込めたメ アドに変えることもあるし、何もなくてもヒマなときに変えたりもする。「メ アド変えました」とメールすることで、しばらく連絡がなかった子から「久 しぶりじゃん」と返事が来るのも楽しい。そのとき、もう絶対に連絡をと らないだろうな、という子には知らせない。また、メアド変更のメールをも らったときも、相手によっては登録しないで放っておくのだそうだ。
中村さんによると、彼女たちは「緩やかにはたくさんの人とつながってい たい。でもいつでも切れるぐらいがいい。リセットすれば、また新しい自分 が始められるみたいな感覚」なのだそうで、メアド変更は、人間関係をリ セットするちょうどいい機会ということらしい。
ケータイに欲しい機能は?
彼女たちがケータイを選ぶ基準は、なんといってもデザイン。多少軽くて 画像や音が良くても、見た目がごついのはバツ。ストーンやプリクラを貼っ て自分らしくアレンジしたいから、シャープでかわいくて、ピンクか白でデ コレーションしがいがあるものがいい。気分に合わせてデコレーションを変 えるのに、カスタム・ジャケットは便利だという。
ケータイとセットになるとうれしい機能は、マンガ・雑誌・映画が見られ ること。それから、定期券や家の鍵になったり、時間になるとテレビの録画 ができたり、ペットに餌をあげたり、お風呂をわかせたりできるのも便利か もしれないと思っている。
現在ある機能で絶対使わないのは、テレビとテレビ電話。テレビを見ない 理由は「電池をすごく消耗するから」。中村さんによると、「メールがすごい 子だと、四カ月もすると電池がガクッとくる」そうである。それでも他の一 円ケータイに乗り換えられるまでは必死で使うから、充電器をセットで持ち 歩いている子が多い(電話番号が変わるのは平気なので、あまり機種変や電 池パックの買い替えはしないそうである)。教室のコンセントはいつも誰か が使っていて、マックでも駅でも街角でもコンセントを探して充電する。
テレビ電話は「ありえない」。電池のこともあるが、みんな中学生ぐらい からお化粧しているから、「すっぴんの時にかかってきたら困る」。
女子高生にヒアリングした米村佳奈子さんによると、おサイフケータイに ついては、「使ってみたいとは言うけれど、あまり乗ってこない感じ」だそ う。これについて米村さんは「女子高生にとってお財布は結構大切なものだ からでは」と分析する。初めて買ってもらったブランド物がお財布というこ とも多くて、いつもケータイと一緒に持ち歩いているから、おサイフ機能を それほど必要だとは感じていない。おサイフケータイの読み取り部分のデザ インがいま一つ、というのも不人気の理由のようである。
女子高生にとってパソコンとは?
最後に、女子高生とパソコンのかかわりについて質問があった。パソコン を使い慣れた側からすると、ケータイ・メールは打ちにくいし画面が小さい し、メモリーは少ないしで、使いづらいが、彼女たちの感覚では全く逆。ケー タイは取説も見ずに「いじり倒して」使いこなしているが、パソコンはほと んどの女子高生にとって「ワケ分かんないもの」。だから、iPodを持ってい る子は少なくて、音楽はMDで聴いている。
答えてくださったお二人は、大学生になって調べものやレポートでパソコ ンを使うようになったそうだが、使って終わると電源を切ってしまってお く。いつも一緒のケータイとは全く別ものだという。この世代の方たちは小 学校からパソコンに触れる機会があるし、高校でもパソコン授業が必修にな りつつあるが、家ではパソコンがリビングや父親の書斎にあるということも あって、あまり使わないものらしい。
ただ中村さんによると、最近は女の子でもパソコンに強い子が増えてきて いて、文化祭や体育祭のときにクラスのホームページを作って練習日を知ら せたり、掲示板で意見を出し合ったりしているそうである。「自分のホーム ページの掲示板に友だちがカキコしてくれるとうれしい」が、あくまでもク ラスとか友だちとか内輪で見ることが前提で、全く知らない人が見ることは 意識していないということであった。
2005年9月13日開催(編集部)