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【ダイジェストレポート】『ソーシャルゲームの真実 -歴史・ビジネスモデル・国際競争-』

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2015年7月3日に行われた公開コロキウムの内容をまとめたダイジェストレポートです。
5月29日に刊行された書籍『ソーシャルゲームのビジネスモデル: フリーミアムの経済分析(amazonページ)』の著者2名に加え、識者を招き、ビジネスとしてのソーシャルゲームの現況を明らかにしました。産業の歴史、競争構造、課金システムとして主流となったフリーミアム、国際展開と政策的支援等が、データや実証分析に基づいて語られ、参加者から積極的な質疑が投げかけられました。ソーシャルゲーム産業の現在の課題や今後の展望を横断的に議論する場となり、参加者からも今後のさらなる産業研究を期待する感想が多数寄せられました。ぜひご覧ください。

日時:2015年7月3日(金)午後7時~9時30分
場所:国際大学GLOCOM
後援:日本オンラインゲーム協会(JOGA)
講師:川口洋司(日本オンラインゲーム協会事務局長)
   井上明人(関西大学総合情報学部特任准教授)
   田中辰雄(慶応義塾大学経済学部准教授・国際大学GLOCOM主幹研究員)
   山口真一(国際大学GLOCOM助教・研究員)

【概要】

今や一兆円を超える規模の巨大産業となったゲーム産業だが、特に近年はソーシャルゲームの進展が目覚ましい。そこで今回のコロキウムでは、ソーシャルゲームの現況に詳しい四人の論者による講演が行われた。
まず川口講演では、オンラインゲームの歴史を五つの主要イノベーションという視点で切り分け、その変遷を振り返った。次いで井上講演では、ネットワーク効果が強く影響するはずのソーシャルゲームにおいて後発組が先行者を覆すケースがあることに着目し、その理由をデバイスの変化やフロー効果という概念を用いて読み解いた。田中講演ではソーシャルゲームの主要なビジネスモデルである「フリーミアム」に関して経済学の見地から分析し、価格差別や課金誘導の方法について検討が行われた。山口講演では、日本のゲーム産業が国内外において占める位置が検討され、海外展開を図る日本のゲーム産業の今後の課題や政策支援のあり方について議論された。
最後に、各講演で出た論点や会場からの質問に関して登壇者全員によるパネルディスカッションが行われた。

【ダイジェスト】

●オンラインゲーム産業の変遷

まず、一般社団法人日本オンラインゲーム協会事務局長の川口洋司(敬称略、以下同)が講演を行った。川口は定義が混乱しがちな「オンラインゲーム」をソーシャルゲーム等も含めた「ネットでつながるゲームの総称」と緩く定義し、その歴史を概観した。
Mr. Kawaguchi オンラインゲームにおける最初の大きなイノベーションは1997年に起こった。海外で、「ディアブロ」や「ウルティマオンライン」といった、従来の一人で遊ぶゲームとは異なる、購入後ネットへつないで他のプレイヤーと遊べるパッケージゲームソフトが登場したのである。日本でも2000年には、「ファンタシースターオンライン」(ドリームキャスト)が同時接続者数約3万人に達するなど、一定の成功を収めた。
続いて1990年代後半、第二のイノベーションが起こる。ゲーム自体はダウンロードで無償提供、支払いは月額課金というビジネスモデルが確立されたのである。韓国発の「風の王国」や「リネージュ」が代表例で、2001年には日本にも上陸している。これらは韓国や中国をはじめとするアジア諸国で人気を博し、現地のICTビジネスが成長する起爆剤となった。また、このころからPCゲームはパッケージ販売の衰退とサービスへのシフトが始まったともいえる。
さらに、2003年には第三のイノベーションとして、アイテム課金モデルが登場した。「メイプルストーリー」など、月額定額課金ではなく基本的に全て無料で提供、一部の人のみが支払うという「フリーミアム」モデルを採用したオンラインゲームが登場し、急激に普及したのである。2006年以降は、PCのオンラインゲームにおいてアイテム課金が定額課金を抜いてオンラインゲームの主要ビジネスモデルとなった。
この時期はニンテンドーDSのブームがあり、オンラインゲームの複雑化に伴う開発費の高騰と相まって、日本における国産オンラインゲームの開発は総じて低調だった。そこで、韓国や中国、台湾で開発されたオンラインゲームを輸入することになり、この分野における海外企業の優位が確立された。そのうち数社は自国の市場や米NASDAQでの株式公開を敢行、それぞれの国のIT業界を活性化していくことになる。また、2004年は「ガチャ」が登場したという点でエポックメイキングな年となった。
こうしたアジアの動きを敏感に察知した米国では、Facebookが2007年からSNSサービス上でのオンラインゲームの提供を開始する。これが第四のイノベーションである。
Zyngaの「Farm Ville」などがヒットしたが、これらは従来型の個々のオンラインゲームにコミュニティ機能を搭載するのではなく、Facebook等のSNSをコミュニティとして使いゲームへ連動させるという点に特徴がある。
一方日本においては、同時期にフィーチャーフォンがゲームプラットフォームとして浮上した。GREEやモバゲーで提供される「ソーシャルゲーム」がヒットして大ブームとなり、フィーチャーフォン向けゲームの開発費が低いこともあって、コンソールゲームを含めた様々な業界が一気にオンラインゲームへ参入することとなった。しかし2012年5月から夏にかけ、いわゆる「コンプガチャ」が社会問題化し、成長に冷や水が浴びせられることになる。
オンラインゲームに第五のイノベーションをもたらしたのは、スマートフォンの普及である。国内外のアプリ市場で売上のほとんどをオンラインゲームが占めるようになり、2013年には「パズル&ドラゴンズ」が大ヒット、世界の売上ランキングで首位に立った。2014年には、日本が世界最大の市場となっている。
スマートフォンがゲームの主要デバイスとなると、AppleのApp Store、GoogleのGoogle Playという、海外事業者が運営して国内事業者が関わらない、全世界共通のプラットフォーム上でゲームが提供されるようになった。ということは、ゲームの原産地がどこかということが意味を持たなくなるということでもある。実際、現在日本で売上上位を占める「キャンディクラッシュ」はデンマーク(今はイギリス)産のゲームであり、「クラッシュ・オブ・クラン」もフィンランドで開発されたものである。
このような変遷を経て、オンラインゲームは市場規模という点でも急激な成長を遂げつつある。もともと数百億円程度だったのが、今ではPCが1000億円弱、フィーチャーフォンが1000億円弱、スマホ・タブレットが7000億円程度と、トータルで9000億円~1兆円の市場規模に達している。これは、日本の雑誌の総売上に匹敵する額であり、さらに加えてコンソールゲームも2千数百億円の市場規模となっている。最近日本のゲーム産業は元気がないといわれているが、それでも日本ではゲーム産業は一兆円を超える産業となっている。

●ソーシャルゲームにおける先行者利益はいかにして破られたのか

次いで、関西大学総合情報学部特任准教授の井上明人が講演を行った。井上はまず、ゲームにおける「フロー体験」の重要性を指摘する。フロー体験とは、ちょうど良い難易度が与えられ、達成感がほどよくバランスされた状態のことを意味する。プレイヤーは難しすぎるとくじけてしまい、簡単すぎると退屈してしまう。よってフロー体験は、ゲームの魅力を決める重要な要素となる。また、ゲームの面白さにはフロー体験に加え、ユーザインターフェースの使いやすさやソーシャル要素も強く寄与しているとされる。
Mr. Inoue ソーシャルゲームにおいては、ネットワークにつながるものの数が財の価値を左右するという「ネットワーク効果」が極めて重要である。一般にソーシャルゲームには様々なユーザ層が混在し、異なった欲望を追求している。それを反映して無課金ユーザ、重課金ユーザ、微課金ユーザといった区別が存在する。マネタイズ手法もそれぞれ異なるが、無課金ユーザであっても、参加者増によるネットワーク効果の上昇や広告チャネルとしての価値がある。
ところで、ソーシャルゲームにおいてネットワーク効果が重要であるならば、ソーシャルゲームでは先行者利益が大きく作用するはずである。にもかかわらず、ソーシャルゲームではMMORPGと比べて頻繁な「覇権交代」が発生している。この疑問を解明すべく、井上は最近の研究を引用し、ガラケー時代に覇を唱えたGREEの競争優位について検討する。GREEの強みはデータ分析力の高さであり、テレビCM効果の測定や、ユーザに複数のインターフェースを見せてコンバージョンをリアルタイムで測定するABテスト、それらの結果に基づいたリリース後のテストと調整など、様々な手法を駆使して売上高の向上を図っていた。こうしたノウハウの蓄積自体も先行者利益の一環となり、2011~2年ごろは日本でかなりの競争優位を築いたGREEだが、その後の米国進出では苦戦し、さらにはパズドラ等の後発に地位を脅かされることとなる。その理由として、ブラウザで完結していたガラケー時代に比べ、ネイティヴアプリとして端末にインストールされているスマートフォンではABテストがやりにくくその影響力が落ちたこと、ガラケーで可能だったプラットフォームのコントロールがスマートフォンでは困難だったこと、データ分析に落としこむ手続きが複雑化していることなどが挙げられるが、加えて井上は、ゲームの場合商品の性質として「飽き」とそれに続くフロー体験の低下が避けられないこと、いわゆる「SNS疲れ」のようなネットワーク効果の負の影響が想定されること、プレイヤー間で濃密なコミュニケーションがあるMMORPGに比べ、ソーシャルゲームのコミュニケーション構造にはロックイン効果が薄い可能性があることを指摘した。

●これからのビジネスモデルとしてのソーシャルゲーム

三人目の講演者は慶應義塾大学経済学部准教授の田中辰雄である。田中は、ソーシャルゲーム市場が近年急成長していること、スマートフォンアプリの売り上げの大半はゲームであり、利益率も3~40%と高いこと、その一方で世の中のソーシャルゲームに対する印象が芳しくないことを指摘した。
Mr.Tanaka standing ソーシャルゲームへの代表的批判として、健全なビジネスモデルではない、ユーザの弱みにつけこんでいる、ゲームとして質が低い等といったものが挙げられる。しかし、一般的なソーシャルゲームのビジネスモデルは無料を基調にしてユーザ数を拡大し、ネットワーク効果で需要曲線を上にシフトさせるとともに、価格差別によって支払意思額の高いユーザから収益を得るという、いわゆる「フリーミアム」である。これはデジタル化とネットワーク化の進展に伴い他分野でも目立ってきたビジネスモデルで、扱う財の限界費用がゼロに近い、ネットワーク効果が働くといった条件が整えば維持可能であり、社会全体としては大きな便益が得られる可能性がある。ゆえに、ソーシャルゲームのビジネスモデルが一過性の不健全なものとは言えないと考えられる。
一方で、価格差別や課金誘導の具体的なやり方には細心の注意を払う必要がある。田中は現実にユーザの離反を招いた失敗例を紹介しつつ、無課金ユーザには時間(たとえば金で買えない重要アイテム探し)を、重課金者には金を投入させ、ユーザ間で「金と時間の貿易」を行わせることで両者の調和的共存を図る、KPIに代わる指標を考案するなど、ゲームの運営には長期的視野に立った工夫が必要であることを指摘した。また、ソーシャルゲームでは次第に長期寡占化が進んでおり、新規参入が困難となってアイデアが枯渇する恐れがあるとの懸念も示した。

●ソーシャルゲームの国際競争力と政策的支援

最後に登壇した国際大学GLOCOM研究員の山口真一は、まず近年の国内ゲーム市場動向やプラットフォームの国際競争力に関するデータを示したソーシャルゲームの主戦場がスマートフォンとなり、プラットフォームがAppleとGoogleの寡占となる一方、2つのプラットフォームに乗せるだけで自社のゲームを全世界のユーザへ届けられるというメリットも生じている。不調と言われる日本のゲーム企業の国際競争力は、ゲームアプリの2013年における国内市場売上高が約3000億円であり、かつ、世界でも約4800億円を稼いでいて、さらには各国や世界市場の売上高ベスト10に日本企業が何社もランクインするなど、かなり健闘しているといえる。ダウンロード数は少ないが売上高が高いという点で、日本企業は手堅い運営と、ユーザに支払わせるノウハウ、マネタイズに優れているという特長がある。
tes このような現状認識から、山口は今後日本のゲーム企業がさらに国際展開していくには、顧客解析能力とマーケティング力を高め、地域ごと、あるいはユーザ層ごとの嗜好差を意識した開発を行うことが必要だと指摘する。特にカジュアルユーザ向けのゲームはヒットの成否が読めないので、ミドルコアユーザ向けの開発が好ましいと考えられる。
さらに政府の役割としては、海外における知的財産保護へのコミットや、信頼できる海外パートナーの紹介、トラブル発生時の支援などが望まれる。従来のJETROベースの支援は海外拠点の設立時アドバイスに留まっているため、今後は設立後の運営もフォローする支援策を設けることが好ましい。最後に、今後の研究課題として、このような国際展開に関する実証研究や、長期的視野に立ったゲーム運営評価指標の開発などに触れて、山口の講演は締めくくられた。

●パネルディスカッション「ゲーム産業のこれから」

シンポジウムの最後には、登壇者全員によるパネルディスカッションが行われた。 Panel まず、上位ゲームタイトルの固定化、市場の硬直化をどう打開していくかという問題提起がなされた。これに対し、ゲームのシリーズ化、タイアップが増え、コアゲーマーのゲーム離れをもたらしたのは事実だが、一方で開発費が高騰する中、これらがゲーム会社の運営を安定させた側面もあるとの指摘があった。アメリカのほうが意欲的なオリジナルタイトルが多いということからも、結局は日本のビジネスモデルや雇用環境をどう変えていくかという問題に帰着するのではないかとされた。
次に、既存ゲームのアイデアを盗んだコピーのほうに人気が出てしまった例が挙げられ、権利保護にリソースが回せないインディのゲームメーカーを念頭に、救済するにはどのような手段がありうるのかが議論された。オンラインゲームは国をまたがった国際レベルの活動であり、単に国内の法律を変えるだけでは意味が無く。海賊版の取締りと同様、現地の人間が問題と思わなければ解決しないこと、よって、国際的な枠組みを作るか、現地のユーザにアピールするしかないのではないか、との意見が出た。また、ゲーム・システムの規制の困難さに関しても議論が行われた。
話は戻り、市場の固定化、硬直化が進む一因として対人のネットワーク効果が議論された。例えば「パズドラ」は、ゲーム内の交流要素が既存のゲームに比べて少ないにもかかわらず大ヒットを達成したが、その理由のひとつは対人のネットワーク効果である。画面を知り合いに見せ合って自慢したり、大会に参加したりすることで、プレイヤー間の一体感が得られる。このような現実空間での体験に基づくネットワーク効果を重視する必要があるとの指摘があった。
さらに、日本の映画産業を例として新規参入の促進策が検討された。かつては映画会社が映画館を押さえていたので参入が難しかったが、シネコンやサポート体制が出来て変わった。同様に、同人ゲームの作者などにも金が入るような道筋をつけることが必要ではないかとの意見が出た。
次いで、国際展開におけるローカライズの重要性について議論が行われた。ゲームは文化の違いが大きく出ること、アメリカのゲーム企業も日本ではなかなか勝てないことが議論され、ゆえに絵柄や音楽等も検討する必要があるとの指摘があった。例として、あるゲームにおいてアメリカで人気のキャラクターが「トカゲ男(リザードマン)」だったことが挙げられ、この種の日本の企業では捉えにくいニーズに関する知見を蓄積しないと海外では勝てないとの意見があった。また、人気の「キャンディクラッシュ」に相当なローカライズが施されていることが指摘されたが、これは日本法人の社長が元々電通出身で、広告戦略も含めて日本の事情に精通しているのが奏功したのではないかとの意見があった。
さらに、ソーシャルゲームが抱える問題としてSNS疲れが言及された。これに対し、SNSにリアルの知人に発見されるなどのリスクがあるのは事実だが、ソーシャルゲームは匿名性が高いので、そこまで疲れることはないのではないかとの反論があり、むしろ問題は強いユーザと弱いユーザの乖離にあり、既存ユーザの居座りを排して、レベル1とレベル99の差を不可視化する工夫が求められているとの指摘もあった。
ゲーム産業の社会的評価が低いという問題に関して、ゲームの社会貢献の低さが議論された。日常行動にソーシャルゲームの要素を入れるというゲーミフィケーションの試みは、日本ではあまりうまくいっていないが英語圏では伸びている。一方、社会的貢献とはそもそも何か、例えば映画の社会的貢献は第一義的に面白いということであり、ゲームも面白いことが一番の社会的貢献であろうとの意見もあった。脳トレや任天堂のWiiスポーツなどのように、ゲームが家族のコミュニケーションに役立つというアピールをもっとしていくべきではないか、との指摘もあり、漢字学習に役立つ「漢字 & ドラゴン」や、孫と祖父母がいっしょに楽しめるゲーム、ゲームセンターを高齢者の交流の場にする、実生活に役立つ工夫をゲームで教育するなどのアイデアが挙げられた。このような試みを通じて、社会的認知を高めていく必要がある。
さらに会場から、今後ゲーム産業の基本的な構図が変わるとしたらどのような事態が考えられるか、これからも日本が優位に立てる産業であってほしいのだが、との問いがあった。これに対し、音楽がクラウド化してストリーミング配信が主流になったことを踏まえ。今後3~5年のうちにゲームもアプリやPCソフトではなくクラウドで配信するのが完全に主流となり、それが転換点になるのではないか、との指摘があった。一方で、最後に残るのはコンテンツ力であるとの主張もなされた。
次いで、オンラインゲームの開発費高騰の問題が指摘された。これはゲームのリッチ化によってもたらされたものだが、かつてコンソールゲームでも同じことが起こった。体力勝負では結局米国などの大企業が勝つので、企業規模が小さい日本は不利となる。よって、リッチ化以外の要素で強みを出すことを考えたほうがよいとの意見があった。
さらに、eスポーツ等ゲームの裾野の拡大に関して議論が行われた。まず、eスポーツのようなものが盛り上がる条件として、長期間に渡り相当数のユーザを巻き込んでいること、多くの人が同じゲームをやっていて遊び方を理解していることを挙げられ、例えば1985年ごろの高橋名人の大ブームは、みんなが同じゲームをやっていて、テレビで放映されたことが鍵となったことが指摘された。その意味では、現状ウメハラやときどといった著名プロゲーマーは存在しているのは確かだが、一般的な広がりを欠く。その点現在最も影響力を行使しているのはマックスむらいのようなユーチューバーであり、彼らによるパズドラ実況が小学生に愛されていること、ゲーム実況文化のようなものが確立されてきたことが指摘されたよって、狭義のeスポーツにこだわらなければ、こうしたものも裾野の拡大と言えるのではないか、との主張があった。
さらに、産業振興策に関して議論が行われた。アメリカでは草の根レベルを育てる政策がある、という会場からの指摘に対し、日本のコンテンツ政策でゲームが語られることは少なく、クールジャパンにゲームが入っていないことが指摘された。京都のビットサミットなど行政からインディへの支援はあるが、規模は韓国やアメリカに見劣りするとの意見もあった。また、アメリカの強みとして企業買収でどんどん拡大できることが指摘され、裾野育成は日本もいろいろやっているが、うまくいっていないとの主張がなされた。一方で例えばアニメではアメリカもディズニーやピクサーしかなく裾野の広がりを欠いているので、韓国の政策を見習う価値があるとの指摘もあった。
さらに、ゲームのイメージアップや社会貢献に関する議論が行われた。これに関しては、いわゆる「聖地巡礼」などコンテンツで地域活性化を図る事例が増えたものの、成功例と失敗例がかなり分かれてきたことが指摘され、現状では効果に関してまだあまりはっきりしたことは言えないとされた。

【書籍】

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フリーミアムとは、基本無料で多くのユーザーを集め、その一部のユーザに課金するビジネスモデルで、いまやアプリをはじめ多くのネット上のサービスがフリーミアムである。基本無料のフリーミアムでどのように収益をあげていくのか。フリーミアムの最大の成功例であるソーシャルゲームを題材にする。成功のカギはネットワーク効果と価格差別を巧みに組み合わせることである。

2015-08-14