国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)

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山口真一研究員論文「コンテンツ産業におけるフリー型ビジネスモデルの有効性 ―音楽産業の実証分析―」が情報通信学会論文賞を受賞しました

『情報通信学会誌』に掲載された、山口真一(GLOCOM主任研究員/講師)による論文「コンテンツ産業におけるフリー型ビジネスモデルの有効性 ―音楽産業の実証分析―」が、情報通信学会論文賞を受賞しました。山口研究員は、昨年も同賞を共著論文で受賞しており、今年で2年連続の受賞となります。



~山口真一研究員のコメント~

昨年に引き続き再び情報通信学会論文賞をいただけたこと、大変光栄に存じます。賞をいただいた論文は、音楽産業において一部または全部を無料で提供する戦略について、売り上げに与える影響を定量分析したものです。分析の結果、無料ネット配信は音楽CDの売り上げを増加させている(弾力性0.19)ことや、長時間公開しないと効果がみられないことが明らかになりました。このことは、無料ネット配信は代替効果より補完効果が上回っていることを示しています。
本学会賞をいただけたのは、元の博士論文を指導してくださった中嶋亮先生、田中辰雄先生、河井啓希先生、石橋孝次先生(いずれも慶應義塾大学)、そして分析の一部を手伝ってくれた坂口洋英君(同大学院生)、さらにはいつも研究活動を支えてくれている国際大学GLOCOMの皆さんと家族のおかげです。すべての人たちに、心より深く御礼申し上げます。


情報通信学会第19回論文賞受賞

タイトル:「コンテンツ産業におけるフリー型ビジネスモデルの有効性 ―音楽産業の実証分析―」(英語タイトル:” The Significance of a Free-Business Model in Creative Industries: An Empirical Study of the Music Industry in Japan ” )

受賞者:山口真一(国際大学GLOCOM 研究員/講師)

掲載誌:『情報通信学会誌』第35巻3号(124号)P.29-40(情報通信学会編、2017年)

要旨

近年における IT 技術の急速な進歩によって、コンテンツ産業において、コンテンツそのもの(あるいは一部)をフリーで提供し、それに付加価値を加えたコンテンツを有料で販売するフリー型ビジネスモデルが普及してきている。しかしその一方で、フリーで提供された無料財が有料財の代替材となってしまうという、いわゆるカニバリゼーションの問題も指摘されている。そこで本研究では、そのようなフリー型ビジネスモデルの有効性を検証するため、音楽産業における無料ネット配信が、有料財である CD の販売数にどのような影響を与えているか、内生性に配慮した実証分析によって明らかにする。
分析の結果、無料ネット配信視聴者数は CD 販売数に有意に正の影響を与えており、その弾力性は約0.19であった。また、動画時間によって区別した分析を行った結果、長時間無料ネット配信では有意に正の影響が見られた一方で、短時間無料ネット配信では有意な影響がなかった。さらに、無料ネット配信を行うコンテンツの方が、行わないコンテンツよりも約 13%、CD 販売数が多いことが分かった。以上のことから、曲の多くの部分を公開する長時間の無料ネット配信はCD販売数を増加させるため、企業はそのような販促型フリー戦略をとるべきといえる。

キーワード

フリー型ビジネスモデル、コンテンツ産業、音楽産業、実証分析、ネット配信、計量経済学


  • 情報通信学会ウェブサイトにて本論文PDFが公開されています(情報通信学会誌 J-Stageのページへ移動します)
  • 2018-07-03