94年度著作へ

1994年2月16日

「地域情報化 方策−米国の例−」 

公文俊平

新着のアメリカの業界雑誌に、ノースカロライナ州情報ハイウェー建設計画がいよいよ始動したという記事がのっていました。アメリカでは、民間企業の大々的な投資計画や買収計画とならんで、地方政府(州・郡・市等)が、地域情報インフラの建設に乗り出そうとする試みがあいついでいます。ノースカロライナ州では、州全域にわたる“情報ハイウェー”の構築に踏み切ることになり、このほど、州議会はその基幹部となるSONET/ATM ネットワークのために410 万ドルを支出することを議決しました。このネットは今年の八月から運用が開始される予定で、ジェームス・B ・ハント知事がこのほど、最初の106 サイトを発表しました。来年一月にはもう80サイトを追加し、最終的には3400サイトにまでもっていく予定です。

企業の投資としては、地域電話会社のベル・サウスが69百万ドル、日本でいえばNCCにあたるスプリント/カロライナ電話が60百万ドル、GTE サウスが30百万ドルを投入する計画が発表されています。また、州内長距離電話通信部分については、長距離会社の入札を考慮中だといわれます。

こうした構想は、州がいわば最初の呼び水を出し、それに各企業が乗っていくという形で推進されようとしているといっていいでしょう。また、財政的には、「ユニバーサル・サービス」のための負担金を、情報通信企業が拠出し、それが、ユーザーに対する補助金として使われることで、結果的に万人が比較的安い費用で情報革命の利便を享受できるという仕組みが、作られようとしています。 (ゴア副大統領は、先週開かれた全米情報インフラ諮問委員会の第一回会合の席上で、ユニバーサル・サービスについて自分は真剣に考えていると強調し、2000年までに学校や公共機関は、情報インフラに無料でアクセスできるようにしたいと思っているという抱負をのべました。)

私は、日本にも似たような仕組みができるといいなと思います。ただし、日本の場合は、直接個々のユーザーを支援するというよりは、地方自治体レベルへの補助金という形で支援が行われる方が、より望ましいと思います。どんなものでしょうか。また、地域での情報インフラの仕組みや運営方法については、何か情報通信サービスのさまざまなユーザー (団体や個人) を中心にした情報インフラ建設・運営協議会のようなものを作って議論できるようにするのがよくはないかと思われます。 (増田米二さんの“情報市民公社”にあたるような組織です。) もちろん、幹線網をどうするかといったことは、NTT や第二電電のような企業が、自分で考えて決めることです。ここでは、その足まわりの部分のことを考えているわけです。その部分は、それぞれの地域で、きっと何社もの企業が協力して建設し、相互接続することになるでしょう。また、その回線も、光ファイバーだけでなく、同軸ケーブルや通常の電話線、さらには無線 (衛星、セルラー電話用等々) などを、それぞれの地域のニーズと事情に応じて、さまざまに組み合わせていく形のものになるのではないでしょうか。少なくとも、全国一律に中央で決めることはおかしいと思います。

どんなものでしょうか。