1995年7月3日
公文俊平
大分での地域情報化実験の準備が進められる中で、「コミュニティ・ネットワーク」とでも呼ぶことができる新しい形の地域に密着した情報通信システムの構想が、しだいにはっきりした形をとりはじめてきた。
コミュニティ・コミュニケーション
もっとも密度の高い情報の交流は、遠隔地 (たとえば「東京」や「海外」) との間にではなく、それぞれの地域自身の中での各種の生活情報の交流の中にある。それが「コミュニティ・コミュニケーション」に他ならないが、これには、自分が公開したいと思う情報を各人が提供する (コアラのホームページ等) 一方で、他人の公開している情報を積極的に取りにまわるという「パブリック・コミュニケーション」の側面と、行政・企業・ボランティアなどさまざまなグループが、集団としての協働活動を効果的に進めていくためにさまざまな情報をやりとりする「グループ・コミュニケーション」の側面とがある。地域の情報化の狙いは、これまでの「マス・コミュニケーション」 (新聞や放送) と「パーソナル・コミュニケーション」 (手紙や電話) に加えて、こうした「コミュニティ・コミュニケーション」を活発に行うための情報通信システム、つまり「コミュニティ・ネットワーク」を、構築し利用していくことにある。
コミュニティ・ネットワーク
コミュニティ・ネットワークは、電話のように双方向性をもつと同時に、放送のようにコミュニティのいたるところと常時交信可能な、しかも大量の情報の伝達を許す広帯域のデータ通信のネットワークでなければならない。もちろん、コミュニティの外にも、開かれていることが必要だ。つまり、地域情報化の進展と共に、電話でも放送でもない、別の形の情報通信システムが、全国に拡がっていくことになるだろう。
すべての商店街や団地に、行政部局や学校や病院や企業に、光ファイバーの情報ループがはりめぐらされ、それらがお互いにつながっている。それぞれの情報ループのいたるところに情報コンセントがあって、いろいろな情報機器をそこにさしこんでそのまま使うことができる。同時に無数の携帯型の情報機器が、無線で情報ループにつながっている。これが、コミュニティ・ネットワークの物理的なイメージである。
コミュニティ・ネットワークの建設には、多種多様な主体が参加できる。電話会社も、電力会社も、建築会社や電気工事会社も、それぞれがいろいろな場所に情報ループを作って、それらを相互に連結しあえばよいのである。
NTT がこのほど発表した「オープン・コンピューター・ネットワーク(OCN) 」構想は、ここでいう「コミュニティ・ネットワーク」に非常に近いものだと思われる。これから大分での地域実験が進む中で、その大きな柱の一つとして、「コミュニティ・ネットワーク」の構築と運用が取り上げられることを、願ってやまない。