2.第3次産業革命との結合:手段の供給

 そのような動きに加えて、日本に限らず世界的にこの何十年かで新しい産業革命も起こってきています。つまり産業化自体もまだ終わったわけではなく、むしろ新しい産業革命を伴いながらいっそう進展しているわけですが、この第3次産業革命は、先ほど言いました情報化という大きな歴史の流れの中では、情報化のためのさまざまな新しく強力な手段を供給する、そういう歴史的な役割を果たすだろうと思われます。
 例えば、まずインフラで言いますと、言うまでもなく私どもはパソコン通信の時代からインターネットによるコミュニケーションの時代に移行しています。また、使う機器もパソコンからウェブ的なモバイル機器、あるいはさまざまな情報家電、デジタル家電と呼ばれているような種類の機器に変わってきつつあります。
 すべての家庭やオフィスに光ファイバーを引いてしまおうという、いわゆる「FTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)」は、いささか先走った考え方であったかもしれません。少なくともその実現には、まだしばらくは時間がかかるでしょう。いずれにせよその前に、機能的に言えば「MTTH(メガビット・トゥ・ザ・ホーム)」を実現する必要があると思います。まずわれわれは、手段はどうあれ、このメガという速度をオフィスや家庭で使えなければ意味がないではないかということです。それには何も、必ずしもファイバー(光)を使わなければならないとは限らず、無線や赤外線、電話線であってもいいわけです。
 そして、その先に「GTTH(ギガビット・トゥ・ザ・ホーム)」がある。この時代になると、主役は当然光になるでしょうけれども、しかし無線でもギガビットを実現できる可能性はあります。
 そして、手っ取り早いという点でいえば、当面は広帯域無線の利用に関心が集まっています。日本はアメリカと違い、同軸ケーブルの普及度がはるかに低いですし、残念ながら電話線にDSL技術を適用しようという動きはそれほど強くないようですので、無線に関心が集まるのも当然だと言えます。
 さらに、情報通信機器はモバイルでウェアラブルな方向へ向かっていますが、ここに、ひょっとすると日本がこれまでの情報化の遅れを取り戻すチャンスがあるかもしれないのです。
 私は最近、あらためて痛感しているのですが、過去を否定的に見ると、この10年間日本の情報産業がやってきたことは、これまでの家電の延長線上にものを考えることでした。従って、ハイビジョンが開発され、あるいは応用分野で言うとカラオケの大変すばらしいソフトが生まれ、それからゲームについてはこれはもう世界に冠たる地位を確立しています。そして、何と言ってもパチンコは日本最大の産業です。ここに投入されている情報技術者の数は非常に多いと考えられます。
 その結果として、狭い意味でのビジネス利用では大変出遅れてしまいました。私どもが普段の業務に使っているパソコンは、ハードにせよソフトにせよ、ほとんどがアメリカ原産のもので、それを日本語化して使っているわけです。
 しかし、情報化のこの次の時代を考えると、先ほど言いましたように、主役が全面的に交替するわけではないにしても、新しい主役が登場してくるわけです。その人たちが、新しいタイプの情報機器をどんどん使って、仕事と遊びが融合したような活動をするようになれば、これまで培ってきた携帯電話の技術、あるいはゲームやアニメのソフトの技術、またそれを使いこなしてきた、特に若い女性たちの果たす役割というのは非常に大きなものになり得るのではないかと思うのです。
 そうだとすると、いますぐとは言いませんが、今後5年、10年の間に、もう1度日本が積極的な貢献を情報化の面で行う可能性が出てくるのではないかということを、いささかウィッシュフル・シンキングであるかもしれませんけれども、1つの見通しとして挙げておきたいと思います。



→次のページ
発行日:1999/8/6 発行人:公文俊平 編集人:関 陽介
Copyright(C)1997-2001, CAN Forum, All rights reserved.