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従来、Y2K問題におけるボランティア活動に関しては、ボランティア自体からも、それをニーズとする現場からもほとんど関心が持たれていないという状況でありました。一部に関心が向けられていたとしても、それは市民レベルの食料備蓄等の自己防衛という範囲のものに留まっていました。一般市民として生活するボランティアの方々にとってY2K問題とは、「政府も企業も、しっかり準備して大丈夫といっているから大したことは起こらないだろう。また、地震のような災害ではないから、ボランティアも活動する場がないようだ。」という印象を持っているのではないでしょうか。 しかしながら、現実に"大丈夫"を保障してくれる人はどこにもおりません。また、起こり得る災害の規模を正確な根拠をもって予測してくれている人もおりません。このような不透明・不確実なY2K問題だからこそ、準備しておく必要があるのではないでしょうか。 Y2K問題を少し掘り下げて考察すれば、ある程度の社会的混乱が生じることを前提にした場合、「数万戸の停電、物がなくなるかもしれないという恐怖感からのスーパーなどへ殺到するパニック、鉄道の管理システムのトラブルによるダイヤの混乱、信号機のトラブルによる渋滞、化学工場の制御機器の停止による汚染排煙・排水のたれ流し」等のY2K問題による1次的混乱に起因して、連鎖的に多くの大変な事態が生じることが容易に想像できます。 これらに対してボランティアが取り組む活動も、大気・河川・海水等の汚染監視、地域の寝たっきり老人ヘルパーの支援、特別養護老人ホーム・重度身体障害者施設等の支援、インターネット等による整理された地域情報の提供等、考えたらいくつでもあるように思えます。 本「Y2K問題に関するボランティアのQ&A」は、上記のような状況を考慮して、ボランティアの方々が感じられる素朴な疑問に対する答えの一例を示し、意義のあるボランティア活動の促進を願って記述させていただいたものです
《 Q&A 》 1. 2000年問題が、ほんとに起こるかどうかよく分からないのですが? 「2000年問題が、ほんとに起こるかどうかよく分からない。」という疑問は、最もなことだと思います。専門に研究している人の感覚も、ほとんど同じものだと思います。 私は、2000年問題によって生じる社会的混乱に関しては次の理由から、規模・態様を明確にすることは困難だと思っています。
私の2000年問題のイメージは、幽霊のようなものです。実態をつかもうとしても、それは不可能です。ですから、世界中の専門家で、2000年問題が発生したら社会的混乱はこのようになると、根拠をもって具体的かつ係数的に予測している人は一人もおりません。たとえ予測していたとしても、根拠のないイメージにしかすぎません。 しかしながら、2000年問題の特性は、「@起こる時期は明確。A起こる災害の規模・形態・地域の予測は困難」という厄介な代物です。でもよく見ると、時期が決まっていることを除けば、地震や洪水、津波のような災害そのものではないでしょうか。地震や洪水も、起きる規模・地域等は分からないのです。 だから、備える必要があるのです。大きな地震か小さな地震か分からないけれども、1月1日に起こると分かっていたら、誰でも物心両面の準備をするでしょう。ここが、一番大切なことではないでしょうか。これが、前提なのです。ここに疑問を持っていたら、最後まで2000年問題に対する答えは見つかりません。 <目次に戻る>2. 2000年問題で起こる災害のイメージは、どういうものでしょうか? 2000年問題によって生じる社会的混乱を、強いてイメージアップするとすれば、ある程度の混乱が生じるという前提に立った場合、修正されていないプログラムや埋め込みシステムが社会全般に複雑に存在するため、次のような様相が考えられます。
<目次に戻る>3. 何故、一般市民やボランティア団体は意識が低いのでしょうか? 米国などに比べて2000年問題に対する危機意識の低さは、一般市民に共通する認識です。これに反して、生き残りをかけている企業の熱心さは大変なものです。 多くのインフラを担っている大企業は、2000年問題に関する修正作業を相当高い完成度にまで引き上げ、かつ、年末には都内のホテルは満員と言われるほどの態勢で準備しているようです。小さな倉庫会社では、2000年問題に対応していない倉庫システム(重量のある材料を種類別に区分して保管し、要求に応じて出荷するというもの)の修正に1000万円以上も出費する必要が出てしまい、頭を抱えてしまっているところがテレビ報道されていました。毎月の資金繰りに苦しんでいるところに、予想していない、かつ、何の利益も生み出さない2000年問題対応に大変な出費をしなければならない中小企業にとっては、2000年問題は死活問題なのです。 ボランティアを含め日本の一般市民の危機意識は、4ヶ月を残す現在においても極めて低いと思います。「2000年問題による社会的混乱で大変な思いをする人たちのために、ボランティアがどのように役に立てるのか。ボランティアが動けば、多くの人たちが不幸な目に会わなくてすむかも知れない。」ということを、まず考えてみる必要があります。ボランティア団体、特に災害救援ボランティアの今までの活動は、基本的に災害が起こってから動くというパターンでした。また、2000年問題では、地震・洪水・重油災害のような従来のイメージを持った災害の発生は想定しにくいという理由から、そこで思考が止まってしまった感があります。一般的意識として、「2000年問題は起きるか起きないか分からない。政府は、大丈夫だと言っている。(7月下旬までは「全く大丈夫」、下旬以降は「3日ぐらいの準備は必要」に変わってきていますが。)」という認識に相当引っ張られているようです。 この問題は、全く新たな問題であり、自分で情報をしっかり集め、自分でしっかり判断する必要があります。何時起きるか分からない地震に対しては随分敏感ですが、何時起きるか分かっている2000年問題には随分鈍感のようです。私は、この意識が理解できません。結果的に起ころうと起きるまいと起きる可能性のある災害には準備すべきだと思うのですが。多くのボランティア団体は、2000年問題に対する深い考察が欠如していると言わざるを得ません。 <目次に戻る>4. Y2K勉強会に参加することで、誰もが意識がかわるのでしょうか? 2000年問題は不透明・不確実な要素を含むため理解しにくく、正しい認識と問題意識をもって真剣に取組んでくれるボランティアの方は、極めて少数だと思います。でも、その人たちがリーダーであったら、ボランティア活動の実動に一部の望みがあるかも知れません。また、Y2K勉強会を機会に少しでも関心を向けていただくことができたら、回数を重ねることによって多くのボランティアの大きな関心になるかも知れません。少しでも可能性があれば、最後まで勉強会等の努力を続けることが必要だと思っています。 厳しい状況の中でうれしい発見もあります。あるボランティア団体の200m隣に特別養護老人ホームが最近建ち、重度身体障害者施設が近くにあるそうです。そして、市の社会福祉協議会から、その地域には350人ほどの一人暮らし老人がいて、地域のボランティアにも取組んでほしい旨の連絡があったそうです。この団体が地元にまだまだ馴染んでいないこと、ホームがオープンしたばかりで2000年問題どころでないこと等、いくつかの問題はあるようですが、2000年問題におけるボランティア活動の条件を備えている環境のようです。全国のボランティアのためにモデルになっていただければと思いました。この取り組みが進んで、新聞などのマスコミを通じて全国のボランティアに発信できたらなんてすばらしいか。これが、インターネットのホームページを通じて全国に発信できたら、どれほど多くのボランティアが2000年問題に取組めるか。夢が膨らみます。 <目次に戻る>今明らかになっているのは、「社会的弱者の救済支援」ができるということです。これを具体的に説明してみましょう。
<目次に戻る>6. もし、2000年問題で大したことが起こらなかったら、騒ぐだけで随分無駄なことをすることになるのではないですか? 言われるように、ボランティアの活動対象とすることが起こらない可能性は十分にあります。 しかしながら、それでも準備しなければならないのは、「2000年問題が、ほんとに起こるかどうかよく分からないのですが?」のQ&Aで述べた通りですが、ボランティア団体が2000年問題に取組むことで、次のような大きな収穫を期待することもできるのです。この副産物だけでも、今の日本のボランティアにとっては、10〜20年かかっても得られるかどうか分からないすばらしいものです。
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1999 GLOCOM Y2K Project. All Right Researved.