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About / 2006年01月04日

 「コンピュータ・ゲームのデザインと物語についての研究会」(RGN)というタイトルには、二つの意味がこめられています。

 まず一つは、コンピュータ・ゲームの「デザイン」の側面を主軸にすえた「コンピュータ・ゲームのデザインをめぐる物語」についての議論です。これはたとえば、ここ数十年間の間につくられてきたコンピュータ・ゲームを精査しつつ、「ゲーム性」や「自由度」といったコンピュータ・ゲーム自体が自立的なアーキテクチャとして生み出していった概念の発展史を探るなどといったことが想定されています。
 そしてもう一つは、コンピュータ・ゲームの「物語」の側面を主軸にすえた「物語をめぐるコンピュータ・ゲームのデザイン」です。これは、日本において隆盛をきわめている物語表現を重視したノベルゲームや、RPGなどの作られ方に対する議論からまずは幕を開けます。また、近年にかぎらず、コンピュータ・ゲームにはさまざまな物語/思想が関係してきました。たとえば、2002年から米軍によって配布されている"America's Army"は、軍事目的との関係性の中で作られてきたゲームです。また、おおきくシミュレーション・ゲームといわれる分野においては、コンピュータ・ゲームがシミュレーションとしての再現性を重視すべきか、娯楽的な面白さを重視すべきか等の観点によってゲームの作られ方そのものが大きく変わってくるということは珍しいことではありません。この視点には、ゲームにおいて何を表現したいか/すべきかといった形でコンピュータ・ゲームそのもののアーキテクチャとは別の観点によってゲームが作られていくような現象をとらえるようという意味がこめられています。

 従来のコンピュータ・ゲームを論じる枠組みは、いかにゲームデザインを行っていくかという開発現場からの議論、あるいはアカデミック側からの既存のディシプリンの枠組みでどのようにゲームを扱うかという問題意識に拠ってきました。この両者は「デザイン」に主軸をすえるか、「物語」に主軸をすえるかという発想と対応します。しかし、この前者と後者の枠組みは互いに独立した言説空間の中で完結しており、これらを統一的に扱う議論が大きく焦点を浴びたことはありませんでした。

 そこでRGNは、「デザイン」のみ、あるいは「物語」のみの議論によって完結することなく、両者の融合的な議論を模索する研究者、開発者たちを集め、コンピュータ・ゲームを語るための新しい枠組みの提示を目指します。前者の「デザイン」に着目した観点からは実証性に即した議論も行いつつ知見を蓄積していき、後者において「物語」という観点をとることによってコンピュータ・ゲームの未来の設計までを射程にすえた、ダイナミックな議論を行っていく予定です。

 国際大学GLOCOMの主催で、2006年春に始動します。