情報社会学とは、近代化の第三局面である情報社会を研究対象とする新しい学問です。つまり「情報・社会学」ではなく、「情報社会・学」です。
情報社会学研究グループは、GLOCOMにおける情報社会学研究の中核を担います。裾野の広い情報社会学の研究領域をカバーするため、本グループは異なる志向性を持つ複数の「ユニット」を持ち、プロジェクトベースで活動を進めていきます。各ユニットは、若手研究者がリーダーとなり、国際、共働、地域などドメインをある程度絞り込みながら、公官庁からの受託調査研究や、自主研究、実践活動を中心としたユニークで大胆な活動を展開していきます。
現在、国際ユニットでは、世界各国の情報通信政策動向を中心に研究を進めています。また、共働ユニットは、教育の情報化やトレーサビリティ研究などが中心です。地域ユニットでは、CANフォーラム(http://www.can.or.jp/)や各地域の団体等と連携しながら、地域情報化の研究と実践、IT調達改革などの電子自治体研究を進めています。
ised@glocomは、学際的・組織横断的な情報社会研究を支援する、新しいプラットフォームの試みです。現在第一線で活躍している、あるいはしつつある20~30歳代の起業家、研究者、技術者、官僚、ブロガーをGLOCOMの内外から招き、新しい情報社会論のパラダイムを探っています。なお、「ised」とは、「情報社会の倫理と設計についての学際的研究 Interdisciplinary Studies on Ethics and Design of Information Society」を意味しています。
ised@glocomでは、まず第一期のプロジェクトとして、2004年10月より2006年1月まで、「情報社会と倫理」と「情報社会と設計」を主題とした二つの研究部会をそれぞれ隔月で開催し、その講演・共同討議の記録をウェブ上で公開すしていきます。発信形態には、株式会社はてなの協力を経てブログ形式を採用し、幅広い読者からの意見を迅速にフィードバックするシステムを導入しています。ised@glocomが支援する研究は、一部の専門家ではなく、ネットワークを思考の舞台とした「智民」たちに開かれています。研究会の開催概要や委員の略歴などは、公式サイト(http://www.glocom.jp/ised/)をご覧ください。
本グループは、情報社会が中長期的には、インフラストラクチャーからアプリケーションサービス、さらにコンテンツを推進力として進展する局面へ移行していくという観点から、これまでGLOCOMが手掛けてこなかったメディア・コンテンツやホップカルチャーなどの領域と、GLOCOMが得意としてきたインターネットを中心としたIT領域とのニッチにおいて、研究事業を展開していきます。
その範囲は、コンテンツの制作、表現、創造のための環境、技術、人材の条件作りにはじまり、メディアと通信の収斂によって生じる産業構造の変化、ベンチャー、関連する知的財産権、コンテンツ、メディアほかの法・政策、さらには国際メディア資本の活動や各国のメディア・文化政策を見据えての、グローバル化と情報社会の中でのコンテンツ、ポップカルチャー関連産業の方向性や、それを受容する国内外の社会、文化、政治上の課題の検討まで、広範囲に及びます。
GLOCOMは、設立当初から研究成果を社会に問う提言活動を重視してきました。日本政府の情報通信政策分野、産業界・企業の戦略分野、学会における新たな知見・方法論の提案など、その分野は多岐にわたっています。
1995年には「情報通信政策研究会」を設立し、NTT分割問題に集約される日本の通信行政のあり方について提言活動に力を注ぎました。また、コンピュータの西暦2000年問題では「2000年問題研究会」を組織し、業種や組織を越えた情報交流による意識啓発・対策推進に努めました。他にも、ワールドワイドビジョン・イニシアティブ(WWVI:〜2001年3月)や、先進8カ国(G8)のデジタルデバイド問題タスクフォース(DOTフォース)、インターネットのドメイン名管理組織ICANN、国際電気通信連合(ITU)の世界情報社会サミット(WSIS)など、国際的な政策分野の提言活動にも参加してきました。
そして現在、バラエティに富んだ政策NPOが活動を始めるなど、日本においてもようやく智業による政策マーケットが萌芽しつつあります。GLOCOMは、これまで以上に政府、マスコミ、政策NPOなどと競争と連携を強めながら、情報通信政策を中心とした政策提言を進めます。
GLOCOMは、智業の先駆けであるGLOCOMと、産業界、国および政界などさまざまな分野の人たち結びつける試みを実践しています。
「IECP(Intelprise Enterprise Collaboration Program:智業・企業共働研究プログラム)」は、1992年以来、GLOCOMと会員企業が協働して、インターネットなど情報通信技術を最大限に活用しながら新しい知的な共働空間(プラットフォーム)を構成するために推進してきたプログラムです。研究会、コロキウム、読書会などを活発に行うほか、会員には随時、GLOCOMが発行する情報誌、研究論文、書籍などを提供しています。
2004年度から開始された「ブロードバンドの次世代技術・ビジネス講座」は、本格的なブロードバンド時代に、最新技術をバランスよく体系的に習得しながら、同時に新しいビジネスモデルの提案力の習得を目指す人材育成を目的に設立されました。それぞれの分野をリードする第一人者を講師に迎え、充実したプログラムをご用意しています。
通信産業グループの活動には所内研究員のほぼ全員が参加している。今年度は、通信産業がデフレスパイラルから抜け出し新たな成長を始めるにはどうすればいいのか、情報社会は今後どのような発展を遂げるのが望ましいのか、という問題意識を出発点として、以下の3つの研究テーマに取り組んでいる。
第一は、イノベーションを起こすような新たなビジネスモデル構築の参考となる研究である。といっても通信企業の新ビジネスモデルづくりを行うのが目的ではなく、企業の新事業展開の参考となる産業や社会の分析に焦点を当てている。第二は、放送と通信の融合および新たなコンテンツの供給・流通に関する研究である。そして第三は、プライバシーやアクセサビリティ等の社会的問題の研究である。
これらのテーマに沿って研究会を開催したり、各研究員が論文を執筆するなどの活動を行い、成果を上げつつある。
〈クリエイティブ・コモンズ・ジャパン〉
クリエイティブ・コモンズは自由に共有できるコンテンツ・ドメインの創出を目指し、世界各国で展開されている国際的な活動です。国際大学GLOCOMは、2004年4月よりクリエイティブ・コモンズ・ジャパンをホストし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの国際化(iCommons)などを行なってきました。
〈地域情報化研究会〉
地域情報化研究とは、これまで地方あるいは地域といわれてきた空間的・地理的辺境において発現されつつある智民アクティビズムを対象に行われる学際的研究であり、情報社会学の一翼をなす研究領域です。
2002年、GLOCOMは地域情報化研究の国内の拠点として異分野の研究者や全国各地域の実践家を集め、「地域情報化研究会」を組成しました。本研究会では、あくまでも創発の現場を重視して事例研究を中心に据えるとともに、研究者自身が深く現場に身を置くことで、研究活動そのものを現場に置くという既存の研究会とは全く異なった研究手法をとっています。
〈学校プロジェクト〉
いま教育は、市場化情報化あるいは自治体への権限委譲の影響を受け、従来の枠組みから大きく変貌しようとしています。情報社会における教育を展望するには、教育関連産業、教育行政や現場にとどまらず、むしろステークホルダーとしての保護者や地域までを広く視野にいれた検討が今後必要とされます。
GLOCOMでは1995年から教育情報サイト「i-learn.jp」を独自に運用、全国約3万件の学校サイト活動状況を逐次把握しています。また、これらの豊富なデータリソースを背景として「全日本小学校ホームページ大賞(通称:J-KIDS大賞)の企画実行に直接関わるなど、より実践的課題解決と社会的貢献を通じて知見を深めることを重視しています。
〈空港プロジェクト〉
GLOCOMでは、2002年より「モノのインターネット」などと形容され今後の普及が期待されている、RFID(無線ICタグ)技術の標準化動向、政策動向、ビジネスモデルの動向などについて調査研究を行っています。また、その応用分野として有力な航空手荷物搬送については、成田国際空港を中心に実証実験を行っている次世代空港システム技術研究組合(ASTREC)に参加しています。
〈情報政策史〉
GLOCOMでは2004年3月から情報政策および情報産業の歴史調査を手がけている。はじめに、1950年代からのおおまかな経緯を「情報政策総合年表」の作成によって整理した。その後、経済産業省の歴代政策担当者や産業界・学界の主要人物へのインタビューを行い、口述記録を残す作業を進めている。今後は脇役として政策面で重要な役割を担った人、政策の影響を受けた側の人などにも調査を広げ、官と民との相互作用の分析を深める方針である。
〈個人情報研究会〉
2005年4月の個人情報保護法の完全施行に先立ち、個人情報やプライバシーに関する議論が活発になってきた。こうした背景からGLOCOMでは2003年秋に「個人情報研究会」をスタートさせ、毎月1回程度のペースで勉強会を開催している。立場や意見の異なる人が参加し、「個人情報」「プライバシー」「監視社会」「住基ネット」などをテーマに、法律・政治・経済・経営・社会・技術のさまざまな観点から議論を行っている。
〈WSIS+インターネットガバナンス〉