G8ドット・フォースと国連情報社会サミット
DOT Force & Beyond : Political Participation from Developing Countries in ICT Policy Development Activities
アダム・ピーク(GLOCOM主幹研究員)
前田充浩(政策研究大学院大学助教授/GLOCOM客員研究員)
山内康英(GLOCOM主幹研究員)
沖縄憲章からジェノバ・アクション・プラン
山内 本日はGLOCOMのアダム・ピーク主幹研究員をゲストにお招きしました。ピークさんは、ここ2年間、「ドット・フォース」(DOT Force: Digital Opportunity Task Force)関連のプロジェクトを担当しています。先進国首脳会議(G8)が2000年の沖縄サミットで設置したドット・フォースは、国際社会のデジタル・デバイドに対処するためのアクション・プランを策定しました。まず、ピークさんにドット・フォースとは何であるのか、その時系列的な展開、最近の動きについてうかがいたいと思います。
ピーク 2000年の沖縄サミットが起草したドキュメントとして、「情報社会に関する沖縄憲章」があります。この「沖縄憲章」には、ドット・フォースが国際社会のデジタル・デバイドを解消する活動を主導すべきことが盛り込まれています。沖縄憲章は、ドット・フォースの活動を1年間と定めていて、その成果を2001年のジェノバ・サミットで報告することになっていました。実際には、ドット・フォースの活動は1年間延長になり、今年のカナナスキス・サミットで終了します。
ドット・フォースは、G8の機関としては非常にユニークなものです。その理由は、多様なステークホールダ(利害関係者)が代表者を構成しているからです。具体的には、全部で40の機関がドット・フォースを構成しています。その内訳は、G8の政府、産業界、およびNPOですが、この他に、九つの発展途上国の政府が代表を送っていました。GLOCOMは日本のNPOの代表として選ばれたわけです。
さて、昨年のジェノバ・サミットに向けての活動ですが、ドット・フォースは、第1回の会合を2000年11月に東京、第2回を2001年3月に南アフリカのケープタウン、さらに第3回を2001年4月にイタリアのシエナで開催しています。
前田 日本やアジア・太平洋諸国からは、どのような参加者があったのですか?
ピーク GLOCOMでは、公文俊平所長の指示により、私と会津泉主幹研究員、土屋大洋主任研究員、上村圭介主任研究員が担当になり、昨年1月から日本の大学研究者などに対するコンサルテーションを始めました。そして、草野厚・慶應義塾大学教授、佐賀健二・亜細亜大学教授、高橋徹・インターネット戦略研究所会長、信澤健夫・BHNテレコム支援協議会理事長、村井純・慶應義塾大学教授、原田至郎・東京大学東洋文化研究所助教授などに参加をお願いすることになりました*1。われわれの基本的な考え方として、GLOCOMのアイデアだけではなく、国内やアジアのNPOと幅広く接触し、その意見を代弁することも志向したわけです。アジアからの参加者としては、APRICOT(Asia Pacific Regional Internet Conference on Operational Technologies)やオープンフォーラム・カンボジアなどがありました。2001年3月にクアラルンプール、4月にメルボルンで会合を開きましたが、これはAPRICOTのひとつのセッションとして専門家の意見を集めたものです。しかし実際には、メーリングリストに参加してくれた個人の役割が、とても大きかったと思います。なお、この一連の活動については、私が担当しているWebページ(http://www.glocom. ac.jp/dotforce)にまとめています。
NPO代表としてのわれわれの活動には、日本の外務省と総務省から多大なご支援をいただきました。2000年の11月に、沖縄サミットのフォローアップとしての会合があったのですが、これを受けて、GLOCOMをドット・フォースの日本側NPO代表に推してくださったのは野上義二・外務審議官(当時)でした。
アクション・ポイント5と8に発揮された GLOCOMのイニシアチブ
山内 ジェノバ・サミットに向けて、具体的にどのような課題があったのでしょうか?
ピーク それぞれの会合を振り返ってみますと、まず、2000年11月の東京会議では、主なトピックが四つありました。まず第1に、「政治と規制のフレームワーク」、第2点として「インフラストラクチャと情報通信のアクセス」、第3点は「知識と人材開発」、第4として「地域に適切なサステイナブル(維持可能)な技術とは何か」ということです。この四つのテーマは、GLOCOMが参加する前にドット・フォースの委員会で決定されていたものです。
われわれの参加した12月以降に浮かび上がってきたアジェンダが二つあります。まず、第1点としてインターネットのガバナンスに関する途上国の代表権の確保、第2点としては、デジタル・コンテンツのローカライゼーション、具体的にはコンピュータが扱う文字、つまりフォントや入力メソッドの問題です。ケープタウン会合では、この二つの課題も報告書に含めるべきとの合意ができました。シエナ会合で策定した「ジェノバ・アクション・プラン」は、ICT(Information and Telecommunication Technology)に関してG8の取り組むべき九つの課題を挙げたものです。この中の「アクション・ポイント5」には、上述の第1点、つまりインターネットの諸問題についての議論に、すべての国が参加できるような体制の構築という内容が入っています。これについてリーダーシップを発揮したのは、GLOCOMとアメリカのマークル財団でした。
山内 マークル財団とともに推進した課題というのは、発展途上国やNPOなどが、インターネットに関するグローバルな決定プロセスに参加する権利を保障するものであると考えてよろしいでしょうか?
ピーク その通りです。近年、インターネットに関するガバナンス、あるいは技術標準などを含む決定が、主として大企業によって、閉じられた産業界のサークルの中で行われるようになってきたという点を、多くの専門家が懸念していることにわれわれは気がつきました。具体的には、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)、W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)、ITU(国際電気通信連合)、さらにWTO(世界貿易機関)など、ICTに関する近年の国際的な会議においては、発展途上国の参加が制度的に保障されていないのです。このような会議で、将来の世界情報インフラのルールを決めるわけですから、発展途上国の参加は非常に重要です。
前田 2番目のデジタル・コンテンツとしての文字の問題はどうなりましたか?
ピーク こちらは「アクション・ポイント8」として「ジェノバ・アクション・プラン」に入りました。「アクション・ポイント8」は、発展途上国が自国のローカル・コンテンツとの整合性をもって、適切な技術を発展させていくべきとの原則を提起したものです。われわれの基本的な考え方は、言語に関する技術標準が、社会としてその言語を使っている人々の意見を、まず反映すべきであるということです。クアラルンプールの会合などで現地の政府やNPOと議論したのですが、カンボジアやミャンマーなどではユニコードなどの文字コード体系が不適切なために、自国の文字をデジタル利用する際に不便が生じています。言うまでもなく、これは専門家の間では広く知られていた問題だったのですが、われわれの活動は、G8のプロセスの中でこれを再度提起したということです。文字がコンピュータ上で適切に表記されないことは、その言語が正しく表現されないことになってしまいます。多くの文化財はデジタル化されているわけですから、将来的には、その言語は死に絶えてしまうかもしれません。
山内 ジェノバで取り上げられた他の七つのアクション・ポイントについても説明してください。
ピーク 第1のアクション・ポイントは、各国政府が、自国の情報基盤戦略(eストラテジー)を立案すべき、ということです。第2は、国民のICTに関するアクセスの問題で、具体的にはコミュニティ・アクセス・センターなどの建設です。第3は、人材の能力開発ということで、知識の共有や知識の創造を促進すべき、ということです。第4のアクション・ポイントとして、アントレプレナーシップ(entrepreneurship)、ベンチャーや起業家の支援を取り上げました。第5は、情報技術の標準化・政策決定に関する途上国を含む普遍的参加(universal participation)です。第6は、最貧国におけるICTの発展に関するイニシアチブの確保と、先進国からの協力の促進です。第7は、HIV(ヒト免疫不全ウィルス)などの医療や福祉のためにICTを活用すべきということで、具体的には医療に関する教育や情報提供、啓発活動です。第8は、すでにお話ししたローカル・コンテンツについてです。第9は、ODA(政府開発援助)プログラムの中のICTの強化、具体的には、ODA政策を再編して、情報技術関連に焦点を当てるべき、ということでした。
ドット・フォースは、以上のようなアクション・プランを2001年7月のジェノバ・サミットに提出し、G8の首脳はこれを採択しました。当初のマンデイトを達成したドット・フォースに対して、G8のメンバーは感謝の意を表しています。
山内 このアクション・プランは、きわめて理想主義的に見えますが、各国の首脳は、本当にドット・フォースの活動の意義を理解していたのですか?
ピーク ジェノバ・サミットが、歴史的に見てきわめて異例な、つまり反グローバリズムの暴力的な示威行為をともなったサミットだったということは否めません。このサミットの報道についても街頭での暴力沙汰が中心となり、具体的な内容について十分な報道がなされなかったのは残念です。実際にはG8の決定として、ドット・フォースの活動のうち、いくつかのプログラムをパイロット計画として先行的に実施し、その成果を2002年のカナナスキス・サミットで報告することになりました。
前田 余談ですが、今年のサミットは、ジェノバのように暴力的なサミットになるのでしょうか?
ピーク 今年の開催地であるカナナスキスは、ロッキー山脈の奥の小さな町なので、一般の人は入れないのではないでしょうか。例年だとサミットには各国から200人くらいの人が行くのですが、今年は各国最大30名ということになっています。ドット・フォース関係者も招かれていません。例年、なぜ何百人もの官僚が随行したのかというと、最終コミュニケの一語一句をチェックしていたからです。今年のサミットは、最終コミュニケは廃止することになりました。
クメール文字のユニコード化をめぐる活動の成果
山内 ドット・フォースが取り上げたパイロット計画の内容や成果はどのようなものですか?
ピーク まず、「自国の情報基盤戦略(eストラテジー)の立案」から説明します。途上国の政府が「eストラテジー」を策定し、インターネットなどを利用してトランスペアレントな形で公表するようになったというのは大きな成果です。これまで発展途上国のリーダーたちは、ICT問題の重要性をほとんど理解していなかったばかりでなく、デジタル・デバイドとは何なのかということを、リーダーに直接説明する機会もほとんどありませんでした。G8が行っているICTや、その政策の重要性に関する一連の広報活動が功を奏したと考えられます。これがドット・フォースの活動の第一の成果です。
次に、ローカル・コンテンツの例をご紹介します。カンボジアの標準言語であるクメール語ですが、国際標準の文字コードであるユニコードと実際の表記法との間に若干の齟齬がありました。つい1週間程前ですが、国際標準機関であるユニコード・コンソーシアムは、クメール文字のコーディングの一部を変更することに同意しました。具体的には必要なフォントを追加し、不適切なキャラクターの仕様を段階的に変更することになっています。これは非常に大きな変化です。さらに重要なことは、ISO(国際標準化機構)とユニコード・コンソーシアムが、最初にクメール文字コードを導入したプロセスが不適切であったということを認めたということです。クメール文字と同様に、国際的な標準化活動の過程で、その言語を実際に使っている社会の要請を十分に反映させる必要があるというのは、重要な教訓であり、他の東南アジアの言語のみならず、今後、アフリカなどの言語についても起こりうる問題です。
現在、ドット・フォースは、カナナスキスのサミットに最終報告書を提出する準備を行っています。このとりまとめの作業には100以上の組織が参加しています。この中には、たとえばバングラデッシュの沿岸地方の例ですが、インターネットでとってきた気象情報を漁業関係者に拡声器で通報するといった例も含まれています。参加組織はドラフティングの最中なので現状を見ることはできませんが、やがてそれは出版されるでしょう。
5月6、7日の両日、ドット・フォースはカルガリーで、このとりまとめに関する最終会合を開きました。そこでも話題になったのですが、多様なステークホールダが集まって協議したというプロセス自体が、きわめて貴重な、これまでになかったG8の活動であったという点で、関係者の評価が一致しました。
“The DOT Force multi-dimensional and multi-stakeholder model of participation and representation was an extremely positive development in terms of previous G-8 initiatives and is an experience to be built upon in other subsequent mechanisms dealing with global ICT for Development issues.”
(source: Statement From DOT Force Developing Countries, Canada, 20 May 2002.)
G8から国連へ:カナナスキス以降の展開
ピーク 現在、国連の「ICTタスクフォース」からG8にオファーがでているのですが、それは、ドット・フォースの九つのアイテムを国連の傘の下で継続したいということです。参加者の中には、すべてを国連で引き取るのではなく、G8の活動として続けたいという希望があるのも確かです。しかしながら2年間というのは、G8にとって最大限の継続期間なのです。いずれにしても、G8の傘の下からドット・フォースの活動が離れることは間違いありません。
前田 国連の「ICTタスクフォース」について説明してください。
ピーク 国連ICTタスクフォース(UNICT: United Nations Information and Communication Taskforce)は、アナン事務総長の特命によってつくられたもので、3年間のマンデイトを与えられています。デジタル・デバイドを専門に扱う部局が国連内には存在しないので、既存の縦割り組織を横断するタスクフォースをつくったわけです。具体的には、ユネスコ、UNDP(国連開発計画)、ITUといった国連機関は、それぞれの組織の中にデジタル・デバイドを担当する部局を持っているわけですが、これらを調整し、相互に協力するメカニズムをつくる任務が、この国連ICTタスクフォースに求められているわけです。
国連ICTタスクフォースの取り上げる問題は、ドット・フォースのアクション・ポイントとほぼ同じです。国連ICTタスクフォースの組織ですが、一番上に国連の傘があって、政府に加えて産業界、NPOなど外部の活動とも密接に連携し、それぞれの地域ごとにネットワークがあります。地域ごとのネットワークには各種の組織が参加しますが、個人も参加できるようになっています。
このように地域ごとの取り組みを可能にするわけですから、一見、実施のためには良いように見えますが、現在のところわれわれは、官僚的な取り組みによって活動が重複してしまうのではないか、という危惧を持っています。
山内 国連というのは世界最大の官僚組織なので、ドット・フォースの始めた活動が、今後、どのように進展するのかについては予断を許さないというわけですね。ドット・フォースは、当時の小渕首相のイニシアチブにより日本が始めたものですから、これが国連の傘の下でどのように実施のフェーズに移っていくのかは、日本としても注意深く見守るべき課題だと思います。その中で地域ごとの取り組みについて、独自の貢献の可能性も生まれているわけですね。それでは国連のデジタル・デバイドに関する将来の取り組みについて、どのようにお考えですか?
ピーク 国連は「世界情報社会サミット」(WSIS:World Summit on the Information Society)の開催を決めています。開催地は、2003年がジュネーブ、2005年にチュニスです。1992年に国連は、リオデジャネイロで地球環境に関するサミットを開催しました。国連はICTサミットを、世界環境会議と同じ程度に重要なイベントとして位置づけたいと考えています。そこでは二つの課題が主要なテーマとして取り上げられるでしょう。
まず第一に、アナン事務総長は途上国の開発問題に強い関心を持っています。たとえば国連は、2000年に「ミレニアム・サミット」を開催して、「ミレニアム・プログラム」を策定しています。ここでは国連が取り組むべき課題として、とくに貧困問題に焦点を当てることになっています。均衡のとれた開発を促すツールの一つとしてICTに注目しているわけであり、これが国連ICTサミットという発想につながっていくわけです。これについては、次の文章に記されたとおりです。
“The Summit is expected to adopt a Declaration of Principles and an Action Plan to facilitate the effective growth of the Information Society and to help bridge the Digital Divide.” (source: ITU/WSIS Secretariat<http://www.itu.int/wsis/basic/basic01.htm>)
二番目として、国際社会がどのように情報化をとらえるのかという問題です。世界情報社会サミットの開催は、1998年のITU総会でチュニジア政府が提案し、2001年12月の国連総会で決定したものです。現在、サミットの準備を進めているプレーヤーは、一つはジュネーブのITUであり、もうひとつはチュニジア政府です。これについては、具体的に次のように述べています。
“To develop a common vision and understanding of the Information Society, to better understand its scope and dimensions and to draw up a strategic plan of action for successfully adapting to the new society.” (source: ITU/WSIS Secretariat, UNESCO preparatory meeting for Civil Society, 22-23 April 2002, Paris, France.”)
国連ICTにおけるNPOの役割
ピーク デジタル・デバイドについて、国連で中心的な役割を果たしているのはITUですが、ITUのトップは内海善雄事務総局長(元郵政大臣官房審議官)です。
国連やサミットは、要するに国家間のものなので、国民国家が重要な役割を果たすのは間違いないのですが、実際にはサミットの準備の段階から、NPOや企業が参加していくことになります。しかし、サミットにおいて、NPOや企業がどのような発言力を持つのかということは明らかではありません。企業やNPOが、はたしてアジェンダについて提案することができるのか、総会で発言する権利が与えられるのかどうかについてはまだ決まっていません。通常、国連のメカニズムでは、そういうことは許されないことになっています。
しかし、ドット・フォースの経験によれば、ICTや情報社会に関する問題については、マルチ・ステークホールダ(多様な利害集団の参加)の形式がうまく働くことが証明されているわけです。
これから2003年までに3回の準備会合を予定していますが、そこでアジェンダを設定し、議論の方向性を示してアクション・プランを決定することになります。また地域会合も認められていて、アフリカ、ヨーロッパ、南米、アジアで個別に会合を開くことになっています。アジア地域では、来年1月に東京で会合を開きます。この準備会合は、国連の異なった部局が担当することになっていて、市民社会の部門については、ユネスコの担当です。
すでに第1回の準備会合として、2002年4月23、24日の両日、ユネスコがパリで会合を開きました。これはオープンの会合だったので、150名ほどのNPO代表が参加しました。この会合の目的は、次の四つのテーマを議論することでした。まず第1点として、発展途上国がICTに関するグローバルな決定プロセスに参加する権利です。第2点として、文化の多様性の保障、第3点は、情報社会における知的所有権問題、第4点は、ICTに関する人材と教育問題です。残念ながらパリ会合は、世界情報社会サミットにおいて市民社会の代表であるNPOがどのように参加できるのかというプロセスの問題に終始し、具体的な内容にまで立ち入ることはできませんでした。
山内 それでは、これで直近の経緯までたどりつきましたので、日本として、とりわけアジア・太平洋ということになると思いますが、どのような取り組みが可能かということを挙げていただければと思います。
ピーク ここで指摘したいのは次の2点です。まず第1点として、2003年1月に東京で開く会合は、アジア・太平洋地域の最初の「コンサルテーション・ミーティング」と位置づけられています。ドット・フォースに参加していたグループは、アジア・太平洋地域のICTの領域で、どのような問題があるのかという情報や知識を蓄積しています。つまり、このコンサルテーション・プロセスにドット・フォースの知見を利用することができるでしょう。他方で、世界情報社会サミットは、ICTにとらわれることなく、社会全体の広い活動、たとえば政治参加ですとか、教育、福祉厚生なども含まれるということに注意しなければなりません。
次に第2点として、GLOCOMが進めている情報社会についての研究を土台にして、アジア・太平洋のICTコミュニティの議論に資することができるのではないかと期待しているわけです。世界情報社会サミットは、国連の活動ということもあり、各国別に事情を集約してこのサミットに持ち込むわけです。いずれにしても、日本国内の取りまとめをどこかが行わなければなりません。具体的には、研究ワーキングループを日本国内とアジア・太平洋地域で組織し、東京での準備会合に備えることができれば最善と考えています。
山内 今回のインタビューを通じて、グローバルなレベルでも、情報社会の進展にともなって政治参加が進んでいるということが明らかになったと思います。G8のドット・フォースについては、情報通信の技術的な問題について、全体からみれば些細な領域ではありますが、従来は国際的な決定過程にアクセス・ルートを持っていなかった発展途上国が、発言の意図を明らかにしたという点で、後世に残ることになるかもしれません。その際、それぞれの領域で専門知識を持つNPOが、政府や企業と協働して、政治的なルートを開拓することに一定の役割を果たしたという意味でも、注意すべきケースかと思います。本日はお忙しいところをありがとうございました。
(2002年5月22日GLOCOMにて収録)
*1 会津泉「デジタル・デバイドと日本の課題:ドットフォース(DOT Force)参加の教訓と課題」国際大学GLOCOM『GLOCOM Review』2001年4月号。(http://www.glocom.ac.jp/odp/library/62.pdf)