「突破期」に入る国際情報発信:世界に羽ばたくGLOCOMへ
宮尾尊弘
(GLOCOM主幹研究員)
Center for Global Communications,International University of Japan
「突破期」に入る国際情報発信:世界に羽ばたくGLOCOMへ
宮尾尊弘
(GLOCOM主幹研究員)
「出現」から「突破」へ
「国際情報発信プラットフォーム」(www.glocom.org)は、当初の予定の3年間の活動を終えようとしている。この3年間、日本についての正しく信頼できる情報を英語で発信するという活動を日々地道に積み重ねてきた結果、国内外でユニークなサイトとしてそれなりに評価されるようになってきた。公文流にいえば、それは活動の「出現」局面にあったといえよう。
しかしこのところ、その変化は急に加速してきている。海外のいろいろな組織、たとえば国連のような国際機関、米国の主要な大学、アジアを代表する新聞社などから、リンクや記事の交換、共同プロジェクトなどの提案が次々と舞い込むようになっている。国内的にも日本を代表する有名サイトである「日経ネット」からのリンクや、著名な英字新聞「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン/朝日新聞」などで大きく取り上げられるようになった。
リンク数も1,500ほどになり、毎月50〜60ほど増え続けている。ここ3ヵ月で、リンク数を減らしている国際大学のホームページを抜き去って、ちょうど逆転してしまった。また、2,000弱であまり増えていないGLOCOM本体のホームページのリンク数を超えるのも時間の問題であるようにみえる。したがって、もはやこれまでの延長線上で活動を考えることができなくなっている。
公文流にいえば、いよいよ「突破」局面に入りつつあるようにみえる。
世界に広がる活動のネットワーク
そうであれば一気に大きな飛躍を遂げる可能性、つまり「大化け」するかもしれないことを意味する。そのような時にはできるだけ夢を膨らませて、高く遠くを目指して飛び上がるべきであろう。その夢としては、以下のように世界中に羽ばたく活動を展開することである。
@英語の発信だけでなく、一気に多国語での発信のサイトとなる。
実は、すでに日本語での発信は、「日経ネット」からのリンクを通じて行っている。つまり、そのリンク先は英語のトップページではなく、主要な掲載論文の要旨を日本語でまとめたカバーのページに飛んで、そこからそれぞれオリジナルの英語の論文に行けるようになっている。したがって、この日本語のカバーのページだけを、中国語やフランス語やスペイン語に訳せば、オリジナルの論文は英語のままでも形の上では多国語の発信のサイトになりうる。カバーは1〜2ページなので、その翻訳は学生アルバイトにでもネット上で見つけてやってもらえば、明日からでも多言語の発信サイトが出現する。
A世界の主要な地域を網羅して、フォーラムやセミナーを開催する。
これは世界中の協力者や協力団体が主催、ないしはそれらと共催する行事に参加する形で、世界の各地を網羅できる。具体的には2003年度には、すでに米国ではロサンゼルスで、カナダではモントリオールで、さらにオーストラリアではブリスベンでの会合に国際情報発信より代表を送りこむことになっている。このうえ、たとえば中国では上海で、さらに欧州ではロンドンでフォーラムを開催できれば、世界の主要な地域をカバーすることになる。
Bビデオ・オンデマンドや生のストリーミングで、e ラーニングのネットワークを世界中に広げる。
そのためには、GLOCOMのホールにビデオ作成の基地を作り、それを国際大学とつなげて、e ラーニングのプログラムを共同開発すれば、国際大学で利用できるだけでなく、国際大学がアジアで持っているネットワークを使って海外でも活用できる。
国際大学が海外の学生を集めて英語で大学院レベルの教育を行っているという特色が、このような試みの場合には世界へのゲートウェーとして、日本国内では類を見ない大変なパワーを発揮する。
GLOCOM全体も飛躍を
実は、以上のような大きな夢を見てそれを実現するのは、「突破」局面にある国際情報発信活動だけに限ったことではない。GLOCOM全体も、その一部の活動でも、いつでも国際情報発信と一緒に世界に羽ばたくことができるのである。ただしそのためには、以下のような条件を満たすことが必要である。
@自分たちの活動の概要や結果を常に英語で表現して蓄積しておく。
英語のコンテンツさえあれば、その要旨をさまざまな原稿で表現して世界中に発信できる。その手段や場所として、国際情報発信プラットフォームを使えばいい。
A自分たちの活動の成果を世界各地で行われる学会やセミナーで発表する。
行った先々で自分たち活動成果だけでなく、GLOCOMの活動全体と情報発信活動もPRして回れば、GLOCOMからの情報発信力は何倍にも増幅して、ウェブやメーリングリストの活動が活発になる。そして、それがまた活動の成果を補強するという好循環に発展するであろう。
BGLOCOMでの自分たちの活動や研究会をビデオで記録して発信する。
GLOCOM内のすべてのプロジェクトが、ビデオのような共通の手段を使って活動を記録し保存するだけでも大きな価値がある。毎週のようにGLOCOM内で開催される興味深いセミナーをビデオで撮っておき、できればビデオ・オンデマンドで発信すれば、e ラーニングの教材としての価値は計りしれない。
以上のようにGLOCOM全体としても、その名前の通りグローバルなコミュニケーションを念頭において活動を行うならば、国際情報発信プラットフォームを利用して世界に羽ばたくことができる。もし、GLOCOM本体と国際情報発信が歩調をそろえて、国際大学と「共働」していくことができれば、お互いに最大限の能力を発揮することができ、文字通り世界に向かって飛躍することが可能になるであろう。