GLOCOMフォーラム2002
地域から見直す情報化
─ポストe-Japan戦略への提言─
石橋啓一郎(GLOCOM研究員)
12月12日に、2002年度のGLOCOMフォーラムが、「地域から見直す情報化─ポストe-Japan戦略への提言─」というタイトルで開催された。e-Japan戦略は、情報社会を拓いた最初の国家戦略であるが、「2005年までに世界最先端のIT国家となる」という目標を掲げた追いつけ追い越せ型の政策であり、また中心的課題である情報通信インフラ整備では、市場主導で既存電話網を活用した合理的な整備手法がいくつかの問題を生んでいる。さらにe-Japan戦略は、社会のあらゆる場所にITを導入したが、ITの特徴を引き出しきれていないという指摘もある。本フォーラムでは、こうしたe-Japan戦略の功罪を検討し、地域情報化の視点から今後の方策について議論を行った。
今回の議論のキーワードは、「縁(ヘリ≒地域)の人々の視点」であった。そもそもインターネットは「何を運ぶのか」という決定を、ネットワークの縁に委ねる。インターネットは社会インフラのひとつとして定着しつつあるが、それが(東京も含めた)各地域の活性化に十分に生かされているとは言えない。縁を活性化することが需要を生み、技術革新を促す。縁(地域)の活性化が、情報化の大きな目的といえる。こうした視点から本フォーラムでは、情報化による地域活性化について検討を行った。
本フォーラムでは、開催に先立ち、GLOCOMとしての考え方をまとめたポジションペーパーを発表した。また、本フォーラムは日経デジタルコア*1と協力しており、本フォーラムに先立つ11月22日、23日に『e-Japanと地域情報化を考える三重合宿』として開催された日経デジタルコアの合宿の成果を受ける形での開催となっている。
本フォーラムでは次の5つのセッションを設けた。
◎基調発表「地域情報化とポストe-Japan戦略」
丸田 一(GLOCOM主幹研究員 )
◎日経デジタルコア三重合宿からの申し送り
坪田 知己(日経デジタルコア事務局)
◎村井・公文対談「ポストe-Japan戦略に向けて」
村井 純(慶應義塾大学環境情報学部 教授)
公文 俊平(国際大学GLOCOM所長 )
◎パネルディスカッション1
「今後の情報通信インフラのあり方」
・モデレータ
関口和一 (日本経済新聞社 編集委員兼論説委員)
・パネリスト
浅羽 登志也 ((株)インターネットイニシアティブ常務取締役 技術本部本部長)
中川 郁夫( (株)インテック・ネットコア取締役CSO)
三須 久(関西ブロードバンド(株)社長)
◎パネルディスカッション2
「情報化による地域産業振興」
・モデレータ
國領 二郎(慶應義塾大学ビジネススクール 教授)
・パネリスト
赤尾 正彦(小樽情報ネットワーク事業協同組合 理事長)
神成 淳司(岐阜県情報技術顧問)
高野 勝則(阿蘇テレワークセンター 所長)
基調発表と三重合宿からの申し送りでGLOCOMと日経デジタルコアでのこれまでの「縁からの地域活性化」の議論や事例について発表し、対談・パネルディスカッションではそれを受けて活発な議論が行われた。
GLOCOMフォーラムについては、『智場』2月号の特集で詳しくレポートするので、そちらをご参照いただきたい。