『GLOCOM Review』 1999年1月号(第36号)

情報通信分野への都市経済学の応用

宮尾 尊弘
要約

このところ情報通信分野における「ネットワークの経済性」が注目このところ情報通信分野における「ネットワークの経済性」が注目されている。本研究の目的は、「都市経済学」の分野での研究成果を応用して、情報通信分野でのネットワーク経済性に対する洞察を得ることである。

特に都市の集中を説明する要因としての「集積のメリット」の分析特に都市の集中を説明する要因としての「集積のメリット」の分析が進んでいるが、それを「ネットワーク化のメリット」と読み替えることによって、情報通信ネットワークの性質をよりよく理解することができる。また、都市経済学では、都市内で2種類の(例えば所得水準や人種の異なる)住民が共存せずに、同じ種類の住民が集まってしまう傾向がなぜ起こるかについても研究が蓄積されているが、それを特定の情報通信ネットワークの「独り勝ち」の現象を説明するために応用することができる。さらに、都市の集中分散構造の最適デザインを分析することも進んでいるが、それを通信ネットワークの構造の最適デザインを分析することに応用できないかどうかも検討する。

都市経済学を応用することの利点は、現実に起こっていることを単に説明するだけでなく、そのような現実が社会的に望ましいかどうかを判断する手がかりを与えてくれることにある。

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