y2kとは前例のない情報化社会のインフラストラクチャーに関するシステム上の機能障害である。筆者は、この問題の本質は、このようなシステム上の機能障害への対処においては、(情報化社会前の)産業社会のガヴァナンスに広く用いられていた方法が有効ではなく、新しい原理に基づく社会システムのガヴァナンス方法が必要とされることにある、と考える。
国民国家中央官庁(テクノクラート・システム)は、従来の産業社会のガヴァナンスにおいて広く用いられていた「知の分有と統合処理」の原理が具体化したものであるが、y2kへの対応においては、原理上の問題により、機能不全を引き起こす蓋然性が高いと筆者は考える。その中でも、とりわけ原理上の機能不全を起こす蓋然性が特に高い分野として筆者が考えるのは、y2kによって生じる分配(distribution)問題である。
本稿では、y2kによって生じるこの問題を回避するためには、従来とは別の原理、すなわち「知の通有と分散処理」に立脚し、ネットワークによって結びついた「ネティズン」を主体にしたガヴァナンス方法が必要となると考え、その具体的な実現方法を論じる。