国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)

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渡辺 智暁(わたなべ ともあき)

page2_image_01.jpg / Copyright Laboratory / CC-BY 2.1

私はオープン化の概念を手がかりに様々な分野で生じる産業・社会の変動を研究しています。

具体的には、ひとつにはプラットフォームと呼ばれるような、ウェブサイトや通信インフラ、技術標準など、人と人、モノとモノなどを「つなげる」鍵になるネットワーク資源を広く提供して多様な人が使えるようにするオープン化があります。コンテンツなどの情報資源のオープン化が典型です。コンテンツ分野ではオープンデータ(政府等のデータを提供)や、MOOCsをきっかけに知られるようになってきているオープン教育、参加型の百科事典であるウィキペディアや、そうした一連の「オープンX」の発端となっているソフトウエア分野の運動などがあります。

こうしたオープン化に典型的に見られる特徴は、権利や影響力などを従来よりも多くの人に与えることです。こういうアプローチは、当事者にとっては自分が決定・支配する領域を狭め、見知らぬ他人の影響力に身をさらし、委ねることですから不安や警戒を伴うものです。ですが、ICTは様々な人や組織が連携・協調するコストを下げるため、オープン化は従来よりも「安い買い物」になり、広く他人の知恵を借りる方が特定少数で物事を進めるよりも優れた選択になっている場面も多く出てきています。また、企業間競争の文脈ではこのような戦略があるプラットフォームや作品の普及や関連市場の拡大を大きく左右することがあるため、競争戦略や競争環境を考える上でも重要な要素です。オープン化は政策によって強制することもできます。政府をオープン化するオープンガバメントやオープンデータ、通信インフラをオープン化するアンバンドリング政策やネットワーク中立性政策などがそのわかりやすいものですが、こうした政策の成否を分ける要因について考え、政策論議に貢献することも私の研究関心のひとつです。また近年では、特に情報資源分野のオープン化を担う人々にも興味を持っています。彼らの分野横断型の国際ネットワークや先進的なICT・ネット利用の普及に担う役割、価値観や活動の動機などがその主な焦点です。

より大きな視点からは、オープン化などの社会変動を手がかりに社会の未来を考えています。オープン化は不特定多数の人に(典型的には万人に)資源を提供し、影響力や権限を分散するものですが、分野によっては特定少数に資源を集約するアプローチが優れた成果を生み出すこともあります。また、ICTの発達・普及と共に、アルゴリズムに処理や意思決定を委ねて人間の関与を減らす動きもあります。経済の高度化や効率性改善の上ではここにも無視できないメリットがあります。あるいは広く資源をオープンにしてしまうと望まれない者まで参加して来るので、参加者の範囲を信用できる人の範囲に限定するためにICTを活用する動きも多くあります。(「ソーシャル」と名前がついているものは概ねそうした機能があります。)社会的なつながりは、一方では個々人の拠り所となる帰属感や連帯意識を与え、個々人の利害にとらわれない行動やイノベーションや知識の普及ももたらす効果があることが知られていますが、分裂や排除をもたらすこともあります。われわれはどこへ向かおうとしているのが、それは望ましい変化なのかを、こうした概念を手がかりに考えています。

主幹研究員(併任)

博士(Ph.D.,マスコミュニケーション) 修士(MA, テレコミュニケーション) 

研究分野

情報学, 図書館情報学・人文社会情報学, 新領域法学, 公共政策

学歴

2009年 インディアナ大学ブルーミントン校 博士(Ph.D.,マスコミュニケーション)
2000年 インディアナ大学ブルーミントン校 修士(MA, テレコミュニケーション) 

経歴

2008年1月- 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 客員研究員
2008年6月- 同研究員
2009年4月- 同主任研究員、講師
2012年7月- 同主任研究員、准教授
2013年4月- 同主幹研究員、准教授、研究推進部長
2014年4月- 同主幹研究員、准教授、研究部長

他に、インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校、国際大学、東京大学情報学環教育部、聖心大学、東京大学情報学環大学院横断デジタル・ヒューマニティーズ・プログラムで非常勤講師などを歴任。

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