認知症の人にやさしいまちづくりに関する研究


日本認知症ケア学会でのポスター発表が石崎賞を受賞

神戸で開催された日本認知症ケア学会で発表した河野禎之氏ほかのポスター発表『「認知症の人にやさしいまち」に関する指標づくりの試み ~先進地域のインタビュー調査をもとに~』(河野禎之、岡田誠、横須賀道夫、荒川直美、張珉榮、田中克明、吉田雄一、横山玲子、徳田雄人、庄司昌彦)が「石崎賞」を受賞しました。

本発表の内容は、2015年度の厚生労働省老健事業の成果等を踏まえたものです。

本発表の概要は下記のとおりです。

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【目的】「認知症の人にやさしいまち」を具体的に実現するため,取り組みの目安となる指標を予備的に作成すること。

【対象者】認知症支援に地域視点で取り組む先進例として2市町村を取り上げ,そこで取り組みに携わる17名(行政,医療,介護,認知症の本人,商店街等の関係者)を面接調査の対象とした。

【倫理的配慮】対象者に調査の目的や内容,個人情報への配慮等について文書または口頭で説明を行い、同意を得た。

【手続き】対象者1名につき1時間程度、各自の取り組みの目的や経緯,現状や課題等について自由に発言を求めた.その後,逐語録に基づいた面接記録を分析対象とした。【分析方法】グループインタビュー法やGrounded Theory Approachによる分析法を参考に,面接記録から重要な要素を複数人の合意を得ながら抽出した。次に,要素をカテゴリにまとめ,地域毎に指標化するカテゴリを3つずつ選択した。さらに,要素の内容を精査しつつ,Consensus Methodによる合意形成の手続きを踏みながらカテゴリ毎に指標の軸となる項目を設定し,それぞれに取り組みのレベル(5段階)を作成した。

【結果】分析の結果,「本人の声と行動」「ひとのつながり」「子どもと高齢者」「商店街の参加」「地域密着型の複合サービス」「SOS模擬訓練」の6カテゴリ105項目の指標が作成された。

【結論】各先進地域での取り組みを指標化することにより,どのような目的を共有して取り組めばよいのか,どのような人を巻き込めばよいのか等の「認知症の人にやさしいまち」の具体的な要素や留意点が明確化された。今後さらに項目の充実を図るとともに,現場での実証的な調査研究により有用性を検証したい。

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2016-07-06