認知症の人にやさしいまちづくりに関する研究


経団連が求めるデータの種類と所在

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が2013年にまとめた「公共データの産業利用に関する調査結果」には、①行政機関が保有する公共データに関する要望と、②公共データの具体的な利用事例の調査報告がなされています。この調査は、電子行政推進委員会、情報通信委員会など、318の企業・団体を対象とし、78の企業・団体から391件の回答を得たものです。以下では、この調査結果を資料として整理しながら「医療・介護」に関わる情報を抽出し、各府省内にあるとされるデータの現状を報告します。

報告書は、まず「ニーズの高い公共データ」についての種類別アンケート結果を報告しています。この種類は事務局側が設定した分類で、「地図・地下」(59件)、「交通」(43件)、「防災・保全・安全」(38件)がニーズの上位を占めています。「医療・介護」に関するニーズは30件で、4番目に関心が高いことがうかがえます。

また、「利用したい公共データ」を保有している機関についてのアンケートもまとめられています(これは、アンケートの回答者から寄せられた情報に基づくもので、実際にデータを保有している行政機関とは異なっている可能性があります)。利用したい公共データの保有機関の上位は、「地方公共団体」(122件)、「国土交通省」(116件)、「総務省」(54件)、「独立行政法人」(35件)、「厚生労働省」(34件)となっています。

以下、この報告書を基に、各府省の「要望の多いデータ」の内訳から「医療・介護」に関する項目を抽出し、要望の「件数とパーセンテージ」、「データの詳細とデータの例」をまとめます。








以上のように、「医療・介護」に関する各府省への要望は、厚生労働省を除くとかなり少ない結果となりました。

続いて、これらのデータが実際に各府省でどのように扱われているかについてまとめていきます。上記の「データの例」を基に、各府省の「サイト内検索」からキーワードでデータを検索し、得られた結果をリスト化しました。リストはこの記事の最下部またはこちらからご覧になれます。

このリストから、求められる公共データのニーズと、その所在についてまとめます。以下、結果を3点にまとめました。

①各府省に求められるデータの所在が不明。
サイト内検索をすると、調査結果について述べたPDFファイルなどは見つかりますが、データそのものは検索に引っかかりません。つまり、ニーズに合ったデータは現在のところ公開されていないといえます。
②統計データは、府省のサイトではなくe-Statに載せられている場合が多い。
③データは府省をまたがって活用されており、探すのは簡単ではない。
例えば、内閣官房は「高齢者の所得」の分析結果を公表していますが、これは総務省が出している「全国消費実態調査」に基づいているようです。

2017-02-27