認知症の人にやさしいまちづくりに関する研究


【連載】高齢者ドライバーと免許証に関する分析-認知症700万人時代に備えてー(3)

4.高齢者ドライバーと免許
では、高齢者ドライバーの免許保有状況はどうなっているのでしょうか。ここでは、行政が公開している資料から、その実態を明らかにしていきます。

警察庁発表の最新の運転免許統計(平成28年版)によれば、全免許保有者82,205,911人の内、65歳以上は17,680,387となり、全体の約5分の1の割合を占めています。

(『運転免許統計平成28年版』をもとに作成)


次に都道府県別の状況を確認してみましょう。次のグラフは、上記の資料を基に平成27年と平成28年の全国の高齢者の免許保有状況を表したものです。各項目の上位10件にマーカーで着色しています。

(警察庁「運転免許統計(平成27年)補足資料2」、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成27年1月1日現在)」より作成)


(警察庁「運転免許統計(平成28年)補足資料2」、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成28年1月1日現在)」より作成)


平成28年の65歳以上のドライバー全体の割合は21.5%でした。これを基準とすると、36の都道府県が基準を超えていることになります。最も高い割合が高知県の27.5%で、次いで島根県27.3%、長野県27.2%となっています。高齢者ドライバー率が最も低いのは東京の14.7%で、次いで沖縄16.6%、大阪府17.7%となりました。
また、平成28年における各都道府県の全人口に対する高齢者の免許保有率については、東京が最も少ない8.6%で、長野県が最も多い18.9%でした。約2.5倍もの差があります。また、人口が減少している都道府県でも、高齢者ドライバーが増えているということが理解できます。

これらをグラフ化すると、以下のようになります。
●都道府県別高齢者ドライバー(免許保有者に対する比率)

●都道府県別高齢者ドライバー(総人口対する比率)

【作成:杉内寛幸】

2017-04-28