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2005年12月20日
(関連ニュース)IT調達情報の管理のあり方を考える
■「公募」によるIT調達の情報収集
本日、第三次調査を開始するというお知らせをしました。さっそく、地方自治体IT調達協議会では、公募によって行われたIT調達について、入札参加業者や落札金額などについて調べるという調査を開始しています。
■北海道庁の情報は入手できない?
多くの都道府県では 「公募」を行うという情報は都道府県が発行する公報に掲載されています。しかし、 そのような運用が行われていない都道府県については、どのような公募が行われていたのか、ということを把握するだけでも非常に困難が伴うことがあります。
北海道では、平成16年度より一部の入札案件は公報に掲載しておらず、道公式ウェブサイトと道庁に設置している(オンラインではなく物理的な)掲示板に紙に印刷された告示・公告を掲示することで公募を行っています。調査をする側としては、全ての一般競争入札・企画提案協議について情報を収集したいわけですが、このような運用が行われている場合、ウェブサイトの過去ログか掲示板に張り出された告知文書からIT調達案件を探し出さなければいけません。
しかし北海道庁に問い合わせたところ、掲示板のみの告知となっている企画提案協議と一部の一般競争入札については、原則文書管理課が一元的に取り扱いをしているが、掲示物提出期限内に文書管理課に届出がないものは関知していないという回答が帰ってきました。また支庁で調達し支庁のみに掲示されているものについては県庁文書管理課は関知していないそうです。さらに、文書管理課には平成16年8月以降については掲示した入札公告・告示一覧データが保管されているものの、4~7月についてはデータが残っていないとのことでした。掲示板の掲示内容と同じ内容をウェブサイトにも掲載しているとのことで、ウェブサイトの過去ログについて担当のIT推進室の方にも確認していただきましたが、残念ながらそれも残っていないとのことでした。つまり、過去に北海道庁が掲示板やウェブサイトで公表した情報を後から手に入れることはできませんでした。
■IT調達情報の管理のあり方を考える
情報システムに限らず一般に公共調達は、適正な手続きによる公正な競争入札で 行われなくてはなりません。しかし、同じ「公募」であるのにもかかわらず場合によって公報に載ったり載らなかったりするというということは、新規参入者にとっては公平な機会が提供されているとはいえないかもしれません。また、実際に掲示板やウェブサイトに掲示・掲載されていたとしても届出がなければ担当課は情報を把握することができないという業務プロセスや、ウェブサイトと掲示板に公表された文書が保存されていないということについては、情報の管理が適切に行われていないと評価せざるを得ません。第一次・第二次調査を通じて、他自治体でもこのような不適切と思える情報管理・業務プロセスが散見されましたが、調達に関する情報を一元的に把握し、必要に応じて外部に公開にできるよう、業務プロセスを見直す必要があると考えられます。
庄司昌彦
shoji@glocom.ac.jp
(協議会からのお知らせ)第三次調査が始まります
地方自治体IT調達協議会は今月より第三次調査を実施します。今回の調査では、対象を中小規模の市・町村に拡大した上で、落札率評価の導入、地方自治体担当者向け情報共有プラットフォーム構築にあらたに着手します。詳しくは下記プレスリリースをご覧ください。
プレスリリース(2005年12月20日)「地方自治体IT調達協議会 第三次調査 今月始動」
投稿者 glocom_yumi_kawada_old_author : 12:16
2005年12月18日
(関連ニュース)競争入札の導入によりコストダウンを実現(大分県宇佐市)
■競争入札の導入によりコストダウンを実現
公共部門の調達は本来、オープンな競争の下で行われなくてはならない。だが実際のIT調達は、業務に精通した業者に随意契約で委託されることが多く、競争入札が行われることは多くない。だが大分県宇佐市では、随意契約から指名競争入札へと調達方式を変更することで、当初よりも23%(約6000万円)のコストダウンを実現した。
■議会の問題提起
宇佐市は当初、戸籍電算化について3社に見積もりの作成を打診し、A社が2億5,800万円、B社が2億6,000万円の見積書を提出したため(1社は辞退)、市はA社と随意で仮契約した。だがこの随意契約の承認を議会に求めたところ、「130万円を超える契約は原則として競争入札に付すべきであり、高額の随意契約は問題がある」と総務委員会の指摘を受けた。またA社が、戸籍のデータベース化業務などを約2億4,000万円でB社に再委託していることが判明し、委員会は談合や丸投げの疑いを指摘した。市は、業者選定は検討委員会を設置して厳格に行ったことなどを説明し理解を求めたが委員会側は承認せず、市は結局、議案を取下げ指名競争による再入札を実施することにした。取下げの理由について大園清一郎助役は「来年度中に事業が完了しないと国の合併補助金が出ない。少しでも早く作業に着手したいため」と話した。
■やり直し入札の効果
4社による指名競争入札の結果、A社が当初より約6,000万円安い1億9,900万円で落札し、再び契約することとなった。この金額についてA社は、随意契約の際に盛り込んでいた付加価値分を削ったためと説明している。だが23%も価格が下がったことで、A社が当初提示した金額の妥当性に疑問を呈する議員もいる。大園助役は「妥当性の判断は難しいが、結果として安くなったのはよかった。今後は随意契約でも金額が適正か検討していく必要がある。専門性が高い分野についても、競争入札を視野に入れる」と述べている。さらに、入札制度だけではなく運用管理などPDCAサイクル全般の見直しや職員のIT調達能力の向上に取組むことも検討するという。本件は議会の問題提起がIT調達改革のきっかけとなった好例といえるだろう。
庄司昌彦 (shoji@glocom.ac.jp)
2005年12月15日
(関連ニュース)「市町村の業務システムの導入及び運用に要する経費等の調査」結果
総務省とLASDECが地方自治体のシステム導入・運用の費用についての調査結果(「市町村の業務システムの導入及び運用に要する経費等の調査」)を公表しました。28種類のシステムに関する、1965市のデータ、という非常に貴重な情報です。このニュースを報じた日経BPの記事によると、「小規模自治体ほど相対的に費用が割高になる」「人口規模や産業構成などが似たような団体でありながら、時にはベンダーが同じでも、システム費用に大きなばらつきが見られる」(総務省自治行政局自治政策課の牧慎太郎情報政策企画官)という傾向が見られるようです。
投稿者 shoji : 12:45
(関連ニュース)総務省「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」第6回会合の資料
総務省「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」(自治行政局自治政策課)が、第6回会合(H17・12・1開催)の資料を公開しました。埼玉県川口市におけるEAへの取組みをまとめた詳細な資料が公開されており、参考になります。
==============QTE
「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」第6回会合
日時 :平成17年12月1日 15時00分~
場所 :総務省 4階 401会議室
議事次第
開会
議事
(1) 各事業の状況説明
ア 市町村における業務システムの導入及び運用に要する経費等の調査について
イ 共同アウトソーシングの推進について
・共同アウトソーシング推進協議会の検討状況等の報告
ウ 自治体EA事業について
・平成17年度事業の推進状況報告
エ データ標準化の取組について
・ワーキングの検討状況の報告
(2)川口市が進める行政経営とEA事業について
(3)意見交換
閉会
【配布資料】(PDF)
資料1-1 市町村の業務システムの導入及び運用に要する経費等の調査について
資料1-2 市町村調査票
資料1-3 ダウンロードファイルのイメージ
資料2-1 共同アウトソーシングの推進について
資料2-2 成果物照会先事業者一覧
資料3 自治体EA事業の概要と進捗状況
資料4-1 データ標準化WGの全体像
資料4-2 国・地方連携事業におけるXMLタグとスキーマ
資料4-3 データ型についてのガイドライン(案)
資料4-4 共通部品スキーマについてのガイドライン(案)
資料4-5 類似するスキーマの開発ガイドライン(案)
参考資料 地域情報化プラットフォーム
資料3添付資料
○ 川口市作業における成果物
1) 基本方針の提示
添付資料1-1 市長インタビュー
添付資料1-2 マニフェスト
添付資料1-3 平成15年度市民満足度調査概要
添付資料1-4 検討体制図
2) 刷新化の方向性策定(1)
添付資料2-1 作業日誌(午前):IT推進会議SWOT分析
添付資料2-2 作業日誌(午後1):IT推進委員会SWOT分析
添付資料2-3 SWOT分析図(IT推進会議)
添付資料2-4 SWOT分析図(IT推進委員会)
3) 上下横断的な対話
添付資料3-1 市長報告(メモ)
4) 刷新化の方向性策定(2)
添付資料4a-1 作業日誌
添付資料4a-2 行動成功要因分析図
添付資料4a-3 行動成功要因優先度付リスト
添付資料4b-1 作業日誌
添付資料4b-2 行動成功要因分析図
添付資料4b-3 行動成功要因優先度付リストの更新版
添付資料4b-4 目的-手段リスト
添付資料4b-5 3段階工程表
5) 刷新化の方向性策定(3)
添付資料5-1 作業日誌
添付資料5-2 SWOT分析図
6) 業務分析(1)
添付資料6-1 作業日誌
添付資料6-2 機能分析表(DMM)(研修における試行作成)
添付資料6-3 機能情報関連図(DFD)(研修における試行作成)
7) 業務分析(2)
添付資料7-1 作業日誌
添付資料7-2 業務説明表
添付資料7-3 機能分析表(DMM)
添付資料7-4 機能情報関連図(DFD)
8) 業務分析(2)
添付資料8-1 作業日誌
添付資料8-2 作業日誌
添付資料8-3 機能分析表(DMM)
添付資料8-4 機能情報関連図(DFD)
添付資料8-5 業務要件定義表
添付資料8-6 情報実体一覧表
○ 市川市ヒアリング
○ 横須賀市ヒアリング
○ 西宮市ヒアリング
○ 浜松市ヒアリング
2005年12月09日
(関連ニュース)自治体情報システム間のオープン連携仕様書を作成へ
自治体情報システム間のオープン連携仕様書、2007年度の公開を目指す (Enterprise Watch)より。全国地域情報化推進協議会は11月17日、地方自治体の情報システムをオープンに連携させるための基盤作りを目的とした技術専門委員会を開催し、「地域情報プラットフォーム」の仕様書を2007年度に公開することを決めた。
投稿者 shoji : 10:58