DISCUSSION PAPER No.1(16-001)
インターネット上の情報シェアによる消費喚起効果実証分析(*1)
要旨
人々がインターネット上で情報をシェアすることによって、消費行動が変化していることが指摘されている。そこで本研究では、口コミサイトやECサイトレビューの利用によって消費がどの程度喚起されているか、計量経済学的な手法を用いて推計を行う。具体的には、アンケート調査データをベースに、外食分野等10の分野それぞれについて、口コミサイト・レビューの利用が支出額に与えている影響を分析したのち、日本全国における消費喚起効果を推計する。
記述統計量分析では、支出額と口コミサイト・レビュー利用時間に正の相関関係が見られた。しかしながら、これには内生性問題が考えられるため、操作変数法を用いて分析を行った結果、10分野中6分野(パソコン・家電等、書籍、ゲーム、ホビー、外食、生活雑貨・キッチン用品)で有意に正の影響が見られた。つまり、これらの分野において、口コミサイト・レビュー利用時間が増えると、支出額が増加するといえる。
次に、得られた分析結果をもとに、日本全国における消費喚起効果を推計した結果、特にパソコン・家電分野と外食分野の2分野で大きな消費喚起効果が見られ、それぞれ約5,500億円と約6,800億円であった。さらに、全分野を合計した消費喚起効果は、約1兆5,200億円となった。加えて、潜在的消費喚起効果は、約11.7兆円にのぼることが明らかになった。
*1 本研究は、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターが、グーグル株式会社と共同で行っているプロジェクト「Innovation Nippon 2016」における研究成果の一部となっている。
キーワード
消費喚起効果,経済効果,実証分析,口コミサイト,レビュー,情報シェア
2016年12月発行