『令和3年版情報通信白書』読書会【公開コロキウム】

日時:2021年9月7日(火)16:00~18:00
開催形式:オンライン会議ツールZoomにて開催
講師:藤井信英(総務省情報流通行政局デジタル企業行動室長(前 情報流通行政局情報通信経済室長)
コメンテータ:庄司昌彦(GLOCOM主幹研究員/武蔵大学社会学部教授/『情報通信白書』アドバイザリーボード)
主催:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)

概要

2021年9月1日にデジタル庁が創設され、国のDXへの取組が本格的に始まっている。この流れとコロナ禍を背景に公表された『令和3年版情報通信白書』では「デジタルで支える暮らしと経済」を特集し、我が国のデジタル化の現状や課題を国民生活、企業活動、公的分野からまとめている。講演では白書をとりまとめた藤井氏より内容の説明が行われ、続く質疑応答では参加者から白書の内容やDXの課題に関する質問が寄せられ、藤井氏ならびに庄司氏が回答した。

講演1「令和3年版情報通信白書~デジタルで支える暮らしと経済~」(藤井信英氏)

序章 我が国におけるデジタル化の歩み

序章では、我が国におけるデジタル化について振り返っている。2000年代後半、光ファイバやDSLからの乗り換えが進行し、2015年時点でインターネット利用は99%を超え、今の移動通信の契約数は約1.9億に達している。ブロードバンドの普及状況は世界でもトップレベルで、固定系ブロードバンドに占める光ファイバの割合は韓国に次いで2位、モバイルのブロードバンド普及率はOECD加盟国ではトップである。政府のIT戦略で重点分野として取り上げたイーコマースの分野は1998年以降右肩上がりで伸びており、2019年時点で19.4兆円に達している。一方、ICT戦略のなかで人材の育成は重点的な取組だが、2018年時点で20万人不足しているともいわれ、人材不足が深刻化している。

これまでの我が国におけるICT化、デジタル化の評価の指標をいくつか見てみたい。2020年のIMDの競争力ランキングでは63か国中27位で、年々順位が落ちている。IMDのランキングは知識、技術、将来の備えという3つの要素で評価しているが、技術や将来の備えで高いものの、人材面では46位で国際経験が足りないとか、デジタル技術スキルが低いという評価になっている。世界経済フォーラムのランキングでは141か国中6位になっている。インフラ、ICT導入といった指標やイノベーション能力が、特許出願やR&D支出経費によって高評価となっているためだ。さきほどのランキングとは対照的だが、何をもって評価するかで我が国のデジタル化に対する評価が分かれている状況だ。電子政府についても2020年の国連経済社会局の世界電子政府ランキングでは14位だが、早稲田大学の世界デジタル政府ランキングでは64か国中7位という評価になっている。

日本はデジタル化で諸外国に後れをとったといわれている。その理由として、『情報通信白書』では6つの要素を挙げている。まずは「ICT投資の低迷」だ。ICT投資は「業務改革等を伴わないICT投資」として、コストカットのために用いられることが多い。またシステム開発をICTベンダーに依存しているがゆえに、企業内の「ICT人材を育成・確保できていない」状況である。かつて電子立国といわれていた「過去の成功体験」に囚われていることがその後の失敗につながっているのではないか。さらに、インターネット上に溢れるフェイクニュースへの対応やデジタル操作に不慣れな人も多く、「デジタルに対する抵抗感、不安感」も見られる。技術の進化によりクリアしていく要素も大事だが、使う側の「リテラシー」の引き上げがうまくできていないとも考えられる。

第1章 デジタル化の現状と課題

第1章では国民生活におけるデジタル活用の現状と課題について書いている。スマートフォンの世帯保有率は2009年以降急速に増え、9割を超えている。インターネットで利用するサービスは、ショッピングなどの消費の利用が多い。これに対して公的サービスの利用は低く、サービスによって利用のバラつきがある。世代間で見ると、消費関係では差が小さいが、公的サービスは60歳以上の利用率が比較的高く、年代により利用状況に差が見られる。

コロナ禍においていろいろな分野でデジタル活用が進んだが、コロナが収まったあとにも定着するのだろうか。アンケートでは、全体として消費分野は定着するという回答が多かったが、他の分野はやや慎重さが見られる。この見方にはインターネットショッピングや電子決済、テレワークなどのデジタルの利用経験が大きく影響を与えており、継続的な利用経験がデジタル利用の定着に必要だと考えられる。また、デジタル化が進んでいないと答えた人からは、情報セキュリティやプライバシー漏洩への不安、リテラシー不足、様々な分野におけるデジタルでの業務利活用が不十分だといった答えが多くなっている。

内閣府の昨年の調査によると、スマートフォンやタブレットの利用は70歳以上になると急激に下がる結果になっている。利用しない理由としては、そもそも自分の生活にデジタル機器が要らない、使い方が分からない、使う必要があれば同居している家族に任せ、自分で操作する必要がないという答えが上位を占めている。高齢者のデジタル活用が進まないという課題は海外でも同じで、デジタル活用支援の取組が海外でも実施されている状況だ。

以上が個人だが、企業のデジタル活用について取り上げているのが第1章第2節になる。2019年時点で日本の労働生産性は76,000ドルで、アメリカの約6割に留まる。産業別に見ると、情報通信産業の生産性は上昇傾向にあり、全体の生産性向上に寄与している。ICTは労働生産性の向上に有効であるということで、クラウドやテレワークの利用と労働生産性の関係に関する通信利用動向調査の結果を載せているが、DXは単なる業務効率化だけでなく、新たな価値の創造、産業構造の変革として求められるのではないかと考えられる。

白書ではDXを「デジタル技術の活用による新商品等の提供、新たなビジネスモデルの開発を通して、社会制度や組織文化なども変革している取組」と位置づけている。企業でDXにどのように取り組んでいるか、どのような効果を得たのかをまとめてみた。

  • AIなどの最先端技術の活用目的は業務効率の向上、負担軽減で、新製品やサービスの開発、サービスの付加価値向上を目的とした企業はそれほど多くない。
  • DXの効果については、日本は業務効率という回答が多いのに対して、米独では既存サービスの販路拡大、新製品・サービスの創出などで効果が出たという回答が多い。さらに、DXを目的として掲げたほうが、その効果も出やすいということがわかる。
  • ICTを働き方改革の関係で導入しているかどうか。コロナ禍の影響で持ち運び可の端末の支給や社外から社内へのアクセスなど、日本企業が結構、他国を上回る結果になっている。一方で社内・社外の手続きの電子化について、社内稟議、決済処理などで電子化されていると答えている企業は多いが、社外に関する取組に関する電子化はあまり進んでいない。
  • また、日本ではICTベンダーが7割に集中している構図で、この傾向は今も変わっていないと思う。DXを進める際に、やはり人材不足が課題であると答えている企業が多い。

以上から、DXに取り組むうえで必要な変革について、社内の意識改革や推進体制の構築、人材育成、新たなデジタル技術の導入などが必要ではないかとまとめている。

オンライン利用率は国の手続きで6割、地方では52.6%だ。これはオンラインで実施可能な手続きにおけるオンライン利用率で、すべてではない。自治体内部におけるクラウドの導入状況は2018年4月時点で1,000団体を超え、23年末までに1,800団体の導入を目指している。その他の市町村ではなかなかAI、RPA(Robotics Process Automation)の導入が進んでいない。自治体DXの課題としては、デジタル専門人材の確保を挙げている団体が多い。人材をどう確保するかが公的機関、民間企業関わらず、大きな課題になっている。

民間の調査によると、オンラインの行政手続を利用したいと思っている方は結構多い。しかし、実際の利用率は2割程度で伸び悩んでいる。利用しない理由として、電子申請に対応しているものが限られている、電子申請ができることを知らない、使おうと思うとシステムの使い方が複雑で嫌になったなどの答えが上位を占めている。

海外では行政サービスのデジタル化に取り組む国が多い。共通するのは、ユーザー体験の向上を重視し、政府のポータルサイトでコロナの給付金の申請など、いろいろな手続きがワンストップで可能になっている点だ。我が国でも、諸外国と重なる部分も多いが、デジタルガバメント実現のためのグランドデザインとしてユーザー体験向上、データファースト、クラウド、スマート化などを掲げている。

第2章 コロナ禍で加速するデジタル化

第2章ではコロナ禍によるデジタルに関する動きをまとめている。外出が抑制され巣ごもり需要が伸びた結果、インターネットショッピングや有料動画配信サービスの利用率は2020年3月以降急増している。2020年の4月と9月で比較すると、外食、交通など外出自粛の影響を受けやすいサービスの落ち込みが続いた一方で、小売業ではオンライン販売が軒並み増加している。これまで毎年2割のペースでトラヒックが増加していたが、コロナによるオンライン消費やテレワークなどで一気に6割近く増え、大幅な増加になっている。こういった状況を受け、公的分野においても給付金の支給やコロナ対策のサイトを立ち上げて、デジタル技術を活用した取組を実施している。だが、制度や慣習等による制約、プロジェクトマネジメントにおける課題が顕在化している。

テレワークは緊急事態宣言時に実施率が上昇したが、実施経験は業種別、地域別にばらつきがみられる。大企業か中小企業かで実施に差があるほか、中小企業では大企業に比べて社内施設の不足の傾向がみられる。テレワークの障壁として、適していない仕事がある、制度化されていない、会社に行かないと利用できない資料がある等の課題が挙げられている。先進事例として、永久在宅勤務制度の導入、オンラインコミュニケーションツールの導入などを紹介している。だが、これらを導入すること自体がテレワークの目的ではなく、実施手段として捉えることが重要だと思う。

コロナ禍で浮上した課題としてセキュリティの話がある。テレワークやオンライン教育におけるセキュリティ被害も出ている。この課題を解決するために、リテラシーの向上が必要だと思われる。COCOAなどの位置情報取得もあったが、個人情報保護とのバランスを考えることも必要だ。また、デジタル活用の進展に伴い、通信インフラの増強やアクセシビリティの確保も課題である。デジタル化を前提とした業務・慣習の見直しを行い、新しい生活様式への移行を進める必要がある。

第3章 「誰一人取り残さない」デジタル化の実現に向けて

3章ではコロナ後に求められる社会像についてまとめている。感染症への対応や、災害、グリーン・カーボンニュートラル、ウェルビーイングが重要視されている。国民生活や生産性の向上、都市地方の格差などの課題が山積しているなかで、あえて集約するとしたら、持続可能な社会、レジリエントな社会、多様な幸せが実現できる社会が求められると考えられる。
少子高齢化・人口減少に加え、コロナの感染拡大によって生活や社会・経済活動の脆弱性も明らかになった。生産性の向上、新たな付加価値の創造に加えてレジリエンスの確保がデジタル化を社会に定着させるために重要であると考えられる。

デジタルを社会に定着させ、誰一人取り残さないデジタル化をどう実現していくか。そのためには、それぞれのレイヤーにおいてデジタルデバイドの解消、デジタルリテラシーの向上だけでなく、デジタルサービスのUXを変えることや、使い勝手の改善が必要だ。公的分野と民間企業のデータ連携、専門人材の確保育成も大事だろう。民間にはデジタルプラットフォームができているが、デジタル活用を進めるための下支えとして、公共のデジタルプラットフォームの整備が重要だ。そのために、総務省では5Gなどの整備、ベースレジストリ、安心してサービスを使ってもらえるサービスセキュリティ、個人情報の保護など様々な取組を戦略的に進める必要がある。これによってデジタル化が進展していくと考えている。


写真1 .藤井信英氏

講演2「令和3年版情報通信白書から考える」(庄司昌彦氏)

いくつか話題にしたら良いと思ったグラフを紹介し、コメントしたい。図表1-1-1-1情報通信機器の世帯保有率では、スマホが86.8%と伸びており、一家に一台という状態が実現しつつある。一方で、パソコンは世帯保有率が69.1%から70.1%でわずかに上がっているように見えるが誤差かもしれない。仕事や授業でもっと上がっていると思ったが、長期的に見ると減少傾向で、パソコンはない家が3割ぐらいあると考えなければならない。

次に図表2-5-2-2はメディアに対する信頼に関するグラフで、結構話題になっていたものだ。テレビ・ラジオに対する信頼は高い。次いで、ポータルサイトやソーシャルメディアによる配信、専門情報サイトの2つはオンラインでも比較的信頼性が高い。ただ、偽情報を入手したメディアとしては圧倒的にテレビがトップである。次いでポータルサイトやソーシャルメディアの配信も多い。信頼されているメディアで偽情報が広がっている部分もあるという状況で、これをどうしていくかが課題である。

2-1-3-21はインターネットトラヒックの利用だが、コロナの影響で家庭からのアクセス、しかも、動画の視聴やオンライン会議等が増えてトラヒックが大幅に増加している。例年、年間2割前後で推移していたが、対前年比5割以上の増加だ。総務省インターネットトラフィック研究会の資料によると、昨年の5月から11月、その後も伸び続けている傾向が見える。これだけ私たちのインターネットへの依存、利用が進んでいることだと思う。

デジタル庁を作るにあたり、IT基本法も改正された。20年ぶりの基本法の改正ということで話題となったが、ITの前提が変わったといえる。使える人が使えばいいという段階から、「全員に必要なもの」に変わったということだと思う。

「誰一人取り残さない」ということを考えるために必要なものは、4つに分けられるのではないか。まずは「通信インフラ」は津々浦々に広がっているが、動画視聴が前提となると、ブロードバンドとして、皆が快適に使えるような「性能」にしていかなければならない。そして、新しいサービスを使っていくため、すべての人に「リテラシー」が必要になる。また、高齢者が家族に手伝ってもらうという話があったが、せっかくデジタルを使えるようになってもやり取りする「相手」がいない、手伝ってくれる人がいないことも問題だと思う。

最後に、デジタルの使い方だ。デジタルは「冷たい」といわれるが、拡大、読み上げ、印刷や人の癖の学習など、「人にやさしい使い方」もできる。また、教員、介護職、窓口の職員など、デジタルを使えない人と対峙する人にデジタルを使ってもらうことで、効率的に働ける環境をつくることもできる。「人をデジタルで支える」ということが、誰一人とり残さないデジタル社会になるのではないかと思う。


写真2 .庄司昌彦氏

質疑応答

――「デジタル化やDXを目的化」してしまうよりも大切なのは「そもそもこれは必要なのか」という視点ではないか。また、順位だけが一人歩きするのは危険だと思うが。
藤井:まず、その企業が達成することがあって、その手段としてDXをやる必要があるかを考えてもらう必要がある。考える過程でデジタル化が必要ではないという結論もあると思う。デジタル化しなくても代替手段によって達成できることがあれば、それで良いのではないか。一方で、いろいろなサービスや環境ができているなかで、やり方を検討する際にデジタルで置き換えたらどうなるのかと考えることは必要ではないかと思う。それが結論になるのかということではない。日本の状況を示すものとして順位を書いているが、順位だけが一人歩きするのは危険だというのはおっしゃるとおりだと思う。

――行政手続自体の複雑さや不要なものを見直したうえで、利便性を向上するのがDXではないか。そのような改革についてのデータや事例は掲載されているか。
藤井:行政手続自体の複雑さを見直すというのはおっしゃるとおりだと思う。業務改革、同じことは行政、公的機関にも当てはまると思う。白書では海外の事例として載せているものもある。国内の事例はそこまで集まっていない。

――超高齢化社会への対応として、今後、統計の数字は70代と80代以降が区分できるようにしていただきたい。
藤井:今回、白書では民間の調査にご協力いただいた調査の結果を載せているが、モニターとして登録されている高齢の方が少ないため、60代以上としてまとめてしまっており、調査をするうえでの制約もある。政府統計でできているものもあるが、高齢者の状況を把握するうえでは、70代と80代以降の区分は必要なのかもしれない。

――国際ランキングそれぞれの信頼性や評判を知りたい。
藤井:白書では、比較的いろいろなところで引用されているものを選んで取り上げた。ランキングの作り方には、いろいろな視点があると思う。ひとつだけのランキングを取り上げて、今こういう状況だと決めつけるのはやはり危険なのかもしれない。個人的にはそういったものを見ながら、多角的にどう捉えていくかということも大事ではないかと考えている。
庄司:このランキングはよく参照されているもので、そんなに問題はないと思う。ただ、評価はそれぞれ異なる。いろいろな統計データを組み合わせて指標化しているものも一見、公平に見えるが、どういうデータで指標化しているのか、評価に使う情報が英語でたくさん流通しているかということも重要ではないかという印象を持っている。ランキングは簡単に作ろうと思えば作れるが、実態を反映しているかというところは難しいのではないか。

――セキュリティやプライバシー漏洩不安は大事な問題だが、それは不安な「イメージ」であって、実際は経験不足からくるリテラシーの不足なのではないか。
藤井:日本のデジタル化が進んでいないと指摘した箇所でも、デジタル化に対する抵抗感、不安感を増幅させているのではないかと書いている。そこについては、サービスを提供する側の対策だけではなくて、利用者の方々のリテラシーの向上と両輪でやっていかないと問題は解決しないのではないかと思う。
庄司:実際に、日本でセキュリティ問題が顕著に多いかというとそうでもなく、ただ不安が高いという状態なので、この点はもう一段掘り下げていく必要があると思う。

――白書の「誰一人取り残さないデジタル化」という標語と、日本のネット利用率8割はどう両立されるのか。関連して、白書P11のネット利用率は2019年が9割、2020年が8割となっているが、より正確な数字の把握が重要ではないか。
藤井:ネット利用率8割を引き上げるという取組は「誰一人取り残さないデジタル化」で必要ではないかと思う。リテラシー向上の一環で「デジタル活用支援員」という取組を行っている。こうした高齢者の方のネット利用の引き上げも含めて、皆がデジタル化の恩恵にあずかれるための取組をやっていく必要があるかと思っている。また、利用率が違っているという指摘については、調査票の設計で2019年の数字が高く出てしまった。今後も注意しながら、ネット利用率の把握を続けていきたい。

――低所得世帯を含めて、全国民にモバイルアクセスを保証できないか。
藤井:現在、中山間地や離島で光サービスを使えるように予算措置を講じて整備を進めている。現時点で制度上、携帯電話はユニバーサルサービスに指定されていないが、携帯電話が必要不可欠なインフラであるということであれば、今後、そのような議論が出てくる可能性もあるかもしれない。津々浦々に行き届くようにするという方向性になっていくと思う。
庄司:所得の問題も出てくるだろうと思うが、重要な指摘だと思う。

――2020年4月頃、Web会議・遠隔講義の増加でトラフィックが爆発的に増えたが、その後1年でパンクした感はない。これはインフラの増進が間に合ったのか。
藤井:当初パンクするのではないかと心配したが、結局、今のインフラでなんとか間に合った。今後もこのままで大丈夫だという保証はないので、インフラの増強は中長期的には必要だと思う。

――COCOAの費用対効果について総括、説明される機会はあるのか。
藤井: COCOAを開発した部署で、どう総括するのかということになると思う。
庄司:接触確認アプリは世界的な動きでもあったので、一段落した辺りで他の国でも評価レポートは出てくると思うが、日本はどうだったのかを見ると良いのではないかと思う。

――次年度以降、白書の管轄はデジタル庁に移管されるのか。
藤井:『情報通信白書』は引き続き総務省が担当する。デジタル庁でなにかしらのものをつくるかどうかはデジタル庁で考えることになると思うが、何らかの可能性はあると思う。

執筆:井上絵理(国際大学GLOCOMリサーチアシスタント)

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