イベントレポート
岡崎市では「中心市街地を元気にすること」を掲げたスマートシティを推進しており、都市再生の全工程でデータ利活用を積極的に進めている。鈴木氏が強調するのは事業構築の礎となる、「将来どうありたいかを合意できているか」という視点である。この上で市内・広域での仲間づくりやデータ活用、「きっかけ」づくりや多分野連携成長といった方策を意識して、持続可能な事業へと挑戦するダイナミズムが生まれている。講演では人口減少を迎える将来をどう捉えるか、商店街や地元企業等とどう連携するかといった工夫や、市街地を支えるデジタル利活用の事例も豊富に提供された。
国際大学GLOCOMでは、2024年夏から調査研究「ECの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」を推進し、全国10万人を対象としたアンケート調査をもとに報告書をとりまとめ、公表した。さらに、同調査研究の成果をインプットとしながら、日本の地方創生を目指す地域経済の活性化に向けて、どうすればより多くの中小事業者がオンライン販売に乗り出すことができるようになるのか、またどのような制度や政策、あるいは官民の連携施策が求められるかについて議論するシンポジウムを2024年12月に開催した。本稿では、調査研究の成果について解説した基調講演と、パネルディスカッションの内容についてレポートする。
日本における偽・誤情報の現状や生成AIの活用状況、そして選挙イヤーとなる2024年の国内外の偽・誤情報の状況を軸に、政府や企業、ファクトチェック団体、アカデミアによる取組と今後の課題を整理した。2024年時点で、生成AIの選挙への影響はほとんど見られないものの、技術発展による偽・誤情報生成や社会的分断等への影響が懸念されている。パネルディスカッションでは、今後に向けてマルチステークホルダによる連携やAIを含めた技術的対応の必要性のほか、日本語環境における偽・誤情報対応の透明性といった課題が提起された。
基調講演1「日本の消費者のEC利用動向と、小売業の未来:大規模調査からの示唆」
Neil Saunders, Managing Director of retail division, Global Data
基調講演2
「地域内連携の必要性と、ウェルビーイング指標の役割:データ連携基盤の支えるデジタル田園都市国家」
村上敬亮(デジタル庁 統括官)
パネルディスカッション「地域の未来とECの役割」
田中辰雄(横浜商科大学 商学部 経営情報学科 教授)
南雲岳彦(一般社団法人スマートシティ・インスティテュート専務理事)
村上敬亮(デジタル庁 統括官)
緩鹿泰子(宮城大学 食産業学群 講師)
若生幸也(日本政策総研 理事長 兼 取締役)
渡辺智暁(国際大学GLOCOM 主幹研究員/教授/研究部長)★モデレーター
2023年7月に出版された『eスポーツ社会論(同友館)』の筆者3名によりeスポーツの現状や課題を踏まえ、eスポーツがこれからの社会をどのように変えるかについて発表・パネルディスカッション、質疑応答を行った。eスポーツは興行型ビジネスとして広まったスポーツだが、現在、地域活性化や教育・福祉など多分野への広がりを見せている。イベントでは書籍の内容を振り返りつつ、eスポーツの社会的位置づけや韓国等海外との比較、「ゲーム実況」等の新たな動きや他分野への展開の可能性等について、活発な議論が行われた。
昨年、大幅な改訂が行われた『情報通信白書』だが、2023年7月に『令和5年版情報通信白書』が公表された。講演では、データ流通の増加の背景となるデータ利活用の進展と企業・国民のICT利用の現状、偽・誤情報の生成、デジタル社会への信頼の構築などの課題について、現状の説明が行われた。続く質疑応答では政府が進めるデジタル化、生成AIなどをめぐる諸課題に対してどのように対応すべきか、また、G7を経た日本の国際的な役割についての質問が寄せられた。
2016年は「フェイクニュース元年」と言われます。その年の米国大統領選挙で、多くのフェイクニュースが拡散されたためです。その後も問題は収束するどころか、むしろ世界中で拡大する一方です。2020年から始まった新型コロナウイルス・パンデミックでも多くの偽・誤情報が拡散され、WHOは「Infodemic」として警鐘を鳴らしました。
さらに、今話題の生成AIの普及により、フェイクニュース流通量が急速に増加することが懸念されています。誰もが自由に、簡単に、偽のテキストや画像を作成できるようになったためです。
このような懸念のもと、長年にわたり情報社会研究をしてきた国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)では、グーグル合同会社のサポートを受けて実施しているInnovation Nipponプロジェクトにて、2019年より、フェイクニュースの研究に取り組んできました。研究では、フェイクニュースを見聞きした人のうち、実に7~8割程度の人が誤っていると気づいていないことや、フェイクニュースは人々の考えを変える力があり、選挙に影響を与えている可能性があることなどが明らかになっています。
本イベントは、年々問題が拡大しているフェイクニュースについて、多くのステークホルダーが一堂に会して議論することを目的に、G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合に合わせて開催されました。主旨について多くの企業や政府機関に共感していただき、後援や協力という形でご支援いただきました。講演とパネルディスカッションでは、フェイクニュースが蔓延する社会で一人一人が何をすればよいのか、そして社会全体としてどのように対策をすればよいのか、多様な視点で濃い議論を行いました。
このレポ―トは、そのシンポジウムの記録となります。本稿が政策策定・経営戦略に関わる皆さまの諸活動の糧となり、日本全体のITを通じたイノベーション促進への一助となれば幸いです。
インターネットの登場により近代工業モデルの上に成り立っていた近代文明が「サイバー文明」へと変化している。本読書会の前半では、経済モデルや所有権に対する考え方の変容、「持ち寄り経済」や「東洋的価値観」、「忠実義務」などの概念からサイバー文明への理解を深めた。後半はWeb3からサイバー文明との関連性を考察。Web3の認証やルールに関する課題や、実現される世界観への期待に関し、国内外の最新トレンドを交えつつさらに議論した。
9月に出版された『ソシオテクニカル経営~人に優しいDXを目指して~』の共著者による輪読形式の対談を行った。DX時代における「ソシオテクニカル経営」の再考を提起。一人ひとりの生活の質の向上に向けて、文脈に即して社会システムと技術システムを統合するデザインプリンシプルを定めること、データセントリックの設計を行うことなどについて、「多様性」や「標準化」、「レジリエンス」などをキーワードに内容を紹介した。
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター、株式会社サイバーエージェント、株式会社セールスフォース・ジャパンが2022年6月に実施した「デジタル社会意識調査」の報告と、結果を踏まえたパネルディスカッションを行った。報告では調査により明らかになったデジタル社会に対して異なる意識を持った4つの層に向けたサポートの在り方の検討を提起した。パネルディスカッションでは、パネリストがデジタル化を阻む意識的・文化的障壁について指摘。「理想の暮らし」やフェアな社会に向けて失敗を恐れない組織文化の醸成、行政・民間の強みを生かした協力・協働関係の構築などの重要性が提起された。
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