『令和5年版情報通信白書』読書会【公開コロキウム】

講師: 吉田宏平(総務省 情報流通行政局 情報通信政策課長)
コメンテータ:庄司昌彦(GLOCOM主幹研究員/武蔵学園データサイエンス研究所副所長/『情報通信白書』アドバイザリーボード)
日時:2023年8月30日(水)16:00~18:00

概要

昨年、大幅な改訂が行われた『情報通信白書』だが、2023年7月に『令和5年版情報通信白書』が公表された。講演では、データ流通の増加の背景となるデータ利活用の進展と企業・国民のICT利用の現状、偽・誤情報の生成、デジタル社会への信頼の構築などの課題について、現状の説明が行われた。続く質疑応答では政府が進めるデジタル化、生成AIなどをめぐる諸課題に対してどのように対応すべきか、また、G7を経た日本の国際的な役割についての質問が寄せられた。

講演1「令和5年版情報通信白書~新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて~」(吉田宏平氏)

特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて

白書の第1部では毎年テーマを設けているが、今年は「新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて」と設定した。これまでも白書で触れてきた重要なインフラとデータ流通の現状、それからGAFAのプラットフォームなどで様々な課題が生じている現状に触れ、今後の展望をまとめている。第2部では「情報通信分野の現状と課題」として、デジタルサービスへのユーザー目線での評価が重要になっていることも踏まえ、国内外のデジタル活用の現状を国民生活、企業活動、公的分野に分けて紹介している。

インターネットはWeb3まで進んでいる。そのなかでモバイルのデータトラヒックが大幅に増加している。また国境を超える「越境データ流通量」について2017年と2021年で比較すると、データ量は増えており、国境を超えるデータ流通も活発化している。EU諸国は域内各国とのデータのやり取りも含まれてくるので多いのは当然だが、それ以外の国、例えばシンガポールや中国でも増えている。日本はもともと国内で完結するコンテンツが多かったものの、対米国、対中国でデータ流通量が増えている。

データは様々なところで活用が進んでいる。例えば教育分野ではGIGAスクール構想で1人1台端末が小中学校で配布されているが、白書ではMicrosoftの教育データの事例を載せている。学校での教師と生徒の間のデータのやり取りだけでなく、例えば渋谷区ではウェルビーイングについて子どもの状態をダッシュボード化して把握するということも行われているので、レベルは様々だと思う。学校内での教師と生徒の間でのやり取りだけでなく、データ分析、あるいはその見える化まで進めているところもあろうかと思う。

全世界で各分野のデータ活用が進められているという実態を見るため、国別のデータの活用状況をまとめてみた。中国では92.6%という高い数字が出ている。日本は52.8%、それでも2019年の25.2%から倍増している。他方でGAFAプラットフォームのデータの集中は続いており、全体のモバイルデータトラヒックの大半を占めている。それと比例するように売上も非常な勢いで伸びている。

このプラットフォーマーに対して、パーソナルデータを提供していることへの認識や不安感の有無を調べてみた。日本はプラットフォーマーへのパーソナルデータ提供に関する認識が非常に低い。それに関連していると思うのだが、不安感の有無については米国やドイツよりも低くなっている。データの漏洩や提供への不安が低いのは、便利で日々使うサービスだからということもあろう。また、パーソナルデータを提供するときに重視することを聞くと、日本はセキュリティの担保が突出して高い。そうすると、やはり心配なのではないかということになるのだが、プラットフォーマーへの認識と若干ずれて出ている状態だと思う。

また、偽・誤情報の課題はG7高崎でのデジタル担当大臣会合、広島サミットでもAIの文脈で非常に大きく取り上げられた。偽・誤情報への接触頻度を聞くと、直近1カ月でフェイクニュースに触れているという認識はある。また、検索などで表示される情報が自分自身に最適化(パーソナライズ)されていることの認識を見ると、欧米や中国、特に米国は非常にその認識は強いが、日本は非常に低い。そもそも、米国の大統領選などでデータの操作が政治的に話題になったことも影響してくるのかもしれない。欧州の場合はビッグテックに対する警戒が働いていると思う。

偽・誤情報の真偽判断に関して、リテラシーが高ければ偽・誤情報と気付く確率は高く、拡散する率は減っていく。我が国にも昨年10月に日本ファクトチェックセンターが設立されているが、現状、認知度も低い。偽・誤情報対策は業界団体の取組も含めて、我が国全体として後押ししていかないといけない。

このプラットフォームの市場の影響、それから偽・誤情報の拡散といった課題に対する認識をいかに広げていくか。総務省では長年、青少年対策を行っており、継続、強化していく。その上の働き盛り世代や高齢者に対しては、デジタルについていきにくい人を後押しするというデジタル活用支援推進事業という取組も進めている。それ以外のリテラシー向上の手段と、どういうものをどういう形でリーチさせるのかということも含めて考えることが喫緊の課題だと考えている。そして、生成AIに関してはサミットでも大きく取り上げられ、現在進行形である。我が国もAIの活用のバランスを見ながら、様々なレベルでのリテラシーと行動規範まで考える必要があると思う。

第2部 情報通信分野の現状と課題

利用者目線で見た時のデジタル活用の実態を、いくつかデータを元にご紹介させていただく。まずは、国民生活のインターネット利用率について1年前と比較した変化を見たところ、若年から69歳ぐらいまでは高止まりしている。ただ、その上が割と伸びている。70歳以上の方々のガラケーからスマホへの乗り換えも含めた動きが、インターネット利用率の高さにつながっていると思う。しかし、利用者の70%は何らかの不安を感じている。特に40歳以上になると不安は強くなり、60~79歳に至って8割以上となる。その理由は個人情報の漏洩が突出して多い。漏洩が怖いということと先ほどのプラットフォーマーに対する不安感がそれほど高くない点、そしてパーソナルデータ提供の際のセキュリティ不安とどう関係してくるのかという点は是非、皆様にも読み解いていただきたい。

また、企業がいつからデジタル化に取り組んでいるかを聞いてみた。日本で2019年以前から取り組んでいるのは30%で、以降は毎年1桁だ。米国は2019年以前が32.4%、それからは10%以上になり、これらを足すと78.6%になる。2019年以前、少なくとも日本と米国のスタート地点はほとんど同じだ。しかし、その先の伸びが全然違う。デジタル化に対しての意識や体力があるような大企業は早くから着手していた。ただ、そこから先、中小企業等になるに従って、こぼれ落ちている状況だと推測している。

デジタル化推進における課題を聞くと、人材不足と知識、リテラシー不足は非常に多い。ただ、各国にも同じ課題があるのかもしれない。組織間の連携が取れていないとかDXの役割分担や範囲が不明確、この辺が大きな課題ではないか。DXはおそらくお試しでやってみる企業が多い。資金や理解の問題もあるかもしれないが、一部で進めたとしても全体最適になっていないということもあるし、全体のメリットの実感にも至らないこともあろう。こうしたところで止まっているのが我が国なのではないか。

専門的人材の確保について各国の状況を聞くと、軒並み日本が低い。特に、AIデータ分析の専門家確保に向けて、何も取り組んでいないという結果だ。IMDの国際競争力のランキングでは、特にデータ分析に関して日本が最下位に近い。

電子行政サービスの利用状況については他国と比較して大きく落ちている。理由として最も多いのが、使いたいサービスがない、使い方が分からない、それからセキュリティに不安があるということになる。マイナンバーカードへの不安につながっていることを考えると、セキュリティだけではなく、行政サービスを電子的に行うこと自体への信頼を上げていかないといけない。ただ、これに関して日経新聞の世論調査を見ると、全世代で行政のデジタル化は必要だという意見が寄せられたようだ。デジタル化は信頼を確保した上で、ということだが、その前提となるデータ入力をきちんと行う。それから、こちらがきちんと説明することでリテラシーを高めていただき、その上で安心して利用していただくということに尽きるだろう。

総務省単独でデジタル化を進めるという時代ではない。政府で進めるデジタル田園都市国家構想、 あるいは関係省庁のデジタル化推進に対し、インフラ面や利用者保護の観点から取組の一翼を担うのが、成熟したデジタル社会における総務省の役割だと考えている。

写真1 吉田宏平氏

講演2「令和5年版情報通信白書から考える」(庄司昌彦氏)

私がいつも定点観測をし、注目している情報通信端末の世帯保有率というグラフを見ると、今年、スマホがついに90.1%に達した。パソコンはコロナで下げ止まったと思ったが、再び低下傾向に入り7割を切って69.0%だ。固定電話も7割を切って63.9%、ファックスは30%になっている。また、総ダウンロードトラヒックは急激な増加が続いている。日本の総ダウンロードトラヒックはコロナ前から上がっているが、コロナで急増し始めていて、2022年11月は前年11月と比べて23.7%増加となっている。移動通信より固定系ブロードバンドの方が急増しているのが興味深い。

次に紹介するのは世界における「アプリケーション別モバイルインターネットトラヒックの割合」だ。皆さんはGAFAに目が行きがちだが、現在、Facebook、Google、次にTikTokという順位になっている。Amazon、Appleの前にTikTokとNetflix、Microsoftがいるという事実は抑えたほうが良い。モバイルインターネットトラヒックで見るとTikTokはかなり大きい。我々はTikTokについてあまり議論してきていないが、今後は関心を持っていく必要があるのではないか。

このように我々の生活は情報通信インフラに依存を強めているが、白書には通信インフラ停止などの出来事が日々起きているということも触れられている。そういうことが起きたときの影響範囲は以前と比較して格段に大きくなっている。これからますます行政のデジタルに依存せざるを得ないし、そうすべきだと思うのだが、通信インフラが安定的、安全に運用されるかどうかというのは非常に重要なテーマだと思う。また、政府などによってインターネットが遮断されるケースが増加していることも紹介されている。インターネットが戦争にも使われているかもしれないという状況で、これをどうするのかということを私たちは事実ベースで把握して議論していく必要があると思う。

第4章の一節に日本の情報化投資として、1995年を100として指数化すると、日本は横ばいに近い状態で緩やかに伸びているのだが、米国が大きく伸びているというグラフが出ており、この大きな差に驚いた。日本の情報通信産業は企業研究費、企業研究者数においても割合が低下しており、暗い話題が続いている。また、売上高に対する研究開発費比率がGAFAMと比べて低いことも紹介されている。インターネット依存、デジタル依存が強まるという話をした後にこういう数字が出てきてしまっていて、困ったことだと思う。

最後に、今後議論する上で参考になると思ったのが、「「2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方」最終答申」である。このページは参考になると思う。

写真2 庄司昌彦氏

質疑応答

―― 情報漏洩ばかりが問題化されているのは思考停止。情報セキュリティの啓発でも情報をどう活用または悪用しているのかを実質的に問う議論を深めてはどうか。

吉田:今回のマイナンバーカードの総点検の話で皆さんの不安が高まっていることに対して、こんな取組や再発防止をやりますというコミュニケーションは当然やっていかなければいけないのだが、マイナポータルで自分の情報は自分で見られる状態になっているということを分かりやすく説明し、ここに誘導することを考えていかなければいけない。渋谷区のダッシュボードのように、分かりやすく見えるようにするということは様々なところで進めていかないといけないと思う。

庄司:マイナンバーカードでもあったが、他の人に見られるとすぐに闇市場に出ていくかのように捉えられてしまうのが残念だ。その可能性はあるのだが、そうして漏洩ばかり重視していると、漏洩以外の大きな問題が見えなくなる。また、次の質問では倫理面の議論もしっかりやっていただきたいということだが。

吉田:開発者側からすると、データが使えて、様々なことができるということをどうしても見せたくなってしまうということもあるし、それが世の中の可能性を広げるとも思うのだが、そこで踏みとどまらないといけないこともある。開発の段階でのピアレビューのように、きちんとチェックされるという仕組みはあってもいいと思う。ダメなものはダメだというのはあるのだが、それが芽を潰すことになりかねない。そこがすごく難しい。ダメで止めないで、じゃあこういうふうにやろうよとか、目的はこっちでも達成できるんじゃないかとか、建設的に発展させないといけない。

――日本が産官学民の総力を結集しAIの社会実装に関する議論で世界をリードする立場となることを期待している。政府の議論や活動はそれにふさわしいものになっているか。

吉田:ChatGPTを含めた生成AIの状況を見ても、メガプラットフォーマーのコストのかけ方、研究者の集め方は桁が違う。ただ、課題感は各国共通なので、日本としてもできることはやっていかなければいけない。これからNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)も含めて政府全体で計算資源も確保しながらやっていくが、開発競争だけではなく、それを使うときの原則、あるいは、使い勝手を良くしていくといった議論を引っ張っていく。それは今回のG7でも行っていたが、これからもやっていかないといけないと思う。

庄司:米国やEUと比べ、日本は投入できる資源も限られていると思うのだが、DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)という思想はそれ以外の国々とも一緒にやろうということだと思う。一国が議論をリードするという形にならないよう、バランスを取れるようなポジションにいてほしい。

――電子行政で使いたいサービスがないというのはある意味当然で、電子化にかかわらず行政サービスはそう頻繁に使うものではない。マイナンバーカードを毎日何回も使うような社会というのはあまり想像できない。

吉田:程度問題とも思うが、行政回りの話は市役所に行く以外も図書館や公民館の予約で、マイナンバーカードで簡単に手続きしようという話も出てくる。また、図書館や公民館だけではなく、例えばイベントの入退場とか、民間銀行サービスのアプリを導入するときの最初の本人確認など、マイナンバーカードを使った民間活用の局面は増えていく。マイナンバーカードで便利になる社会というのは、目指すべき1つの形だと思っている。

――企業のデジタル化について、2019年までのデジタル化の内容や体制、ROI(Return On Investment)、コスパの違いにより、会社の規模を問わずデジタル化への取組を躊躇している企業も多い。

庄司:会社規模を問わずというのが心配な点だ。むしろ、デジタルのレバレッジを効かせて、小さな企業でも急成長できるという利点もあるわけだが。

吉田:何をやればデジタル化なのかというところだと思う。会計ソフトを使うとか、地方の八百屋さんでも便利に感じるところから始めてもらうということだとは思う。これからの少子高齢化とか労働力不足を考えると、取り組まない選択肢は考えられない。

――パーソナルデータを活用したサービスに倫理的な課題やリスクがあるかどうかを上流で相談できる倫理委員会みたいなものはないだろうか。チェックリストはあるか。

庄司:パーソナルデータを使った事業を行うときのガイドラインや映像情報はあるが、それをもっと分かりやすく、使いやすくするものはあってもいいと思う。最近、企業内に外部有識者委員会を作り、弁護士や消費者団体等の専門家を入れて議論するというケースはある。

――エネルギー自給率が極端に低い状態でインターネット依存度を高めることは大きなリスクだと思う。この辺りも他の省庁と調整しながら進めてほしい。

庄司:高性能になればなるほど、AI用のGPU(Graphics Processing Unit)も膨大な電力を食う。AIだけではなくデータセンターも電力関係の立地が大きな判断要素になっているので、通信だけでなく電力との関係は考えていかなければいけないし、そこは大きなテーマだと思う。

吉田:総合調整というか、デジタル庁が音頭を取ることもあり得るかと思う。拡張、連携しないと進まない話だとは思う。

――インドのように政府側でDX化をして民間にシステムを解放するという考え方はないのだろうか。

吉田:一定程度あると思う。本人認証の基盤、JPKI(公的個人認証サービス)を国がつくる、それを民間のアプリと連携し、民間サービスとして活用することもあろう。ただ、政府がフロントサービスをきちんと作り込んで、かつ、ニーズに合わせてバージョンアップしていくことやり続けるということはないのでは。認証やデータ連携のパーツは政府が用意するとしても、フロントのサービスは企業が作るほうが使い勝手のいい、長続きするものになるのではないか。

――日本企業のICT業務は外部ベンダーへの依存度がとても高いという調査結果だが、原因は人材不足か。あるいは、新人一括採用の慣習による人材の流動性や給与体系に問題があるのか。

吉田:これまでの大量・終身雇用の方々がリカレントでエンジニア、デザイナーの役割を担うこともあると思うが、やはり外部からの人材を雇わないといけないのではないか。ジョブ型でジョブディスクリプションを作り、それなりの待遇で来てもらう。プロトタイピングまでできるとか、あるいは仕様書が書ける人材を集めるといったことを進めていかないと、外部ベンダーへの丸投げは減っていかないと思う。

庄司:人手不足も進んでいくので、流動性は高まっていく。奪い合いになるかもしれないが、それで、給与体系も変わったり中途で動く人も増えたりする方向に変わると思う。

吉田:デジタル庁も進めているが、民間企業でも秘密保持の話をきちんとやっていただいた上で、非常勤で採用するということは、これからもあると思う。

――越境データ流通量で、シンガポールやオランダといった小さな国が日本より多い理由は、データセンターの立地なのか。

吉田:日本が少ないのは、日本語環境もあると思う。オランダはEUで、周りとのやり取りが多いのでは。ネット閲覧だけではなく企業間のデータ流通もあるので、地理的な状況はあるだろう。シンガポールは国際的な金融も含めたセンターになっている。海底ケーブルなどインフラのハブということもあるが、情報自体のハブになるのは大事なことだと思う。

庄司:これからは安全保障面も考えて、どこに情報、ハブを設けるか、どこにバックアップをとるかということも重要になってくる。

――情報銀行は 国際的にどのように訴求し、どのように受け取られているのか。

吉田:情報銀行は、銀行というコンセプトの是非は別として、基本的にはパーソナルデータの自己情報コントロール権という仕組みも含めて活用する仕組み。かつ、そのデータを企業間でやり取りするというコンセプトでまとまっている。情報銀行というコンセプト自体は世界的にないと思うが、パーツはグローバルで必要とされていると思う。個人情報の管理・活用は、データ利活用を進める上で避けては通れない。情報銀行の要素自体は、これからも使っていくことにはなると思う。

庄司:マイナポータルで自分の情報をチェックするという概念は今、広まってきているし、企業もパーソナルデータのコントロールページを作っていて、それに近い概念は普及している。国際的にどれだけ日本が先端をいけるか、これからの実装次第ではないか。

庄司:私から質問を一気に読み上げさせていただく。吉田さんにこれは答えたいというものについて、最後にご発言をいただこうと思う。

吉田:いくつかあったのが、AIも含めた偽情報対策だと思う。プロバイダー責任制限法の法改正で開示請求、裁判手続きの規定を簡略化したので、裁判の手続きとプラットフォーム事業者などの自主的な取組で救済していく。実際に投稿の削除は裁判を通じたものよりもプラットフォーム事業者が行っている数が格段に多い。これがきちんと機能するような形で、政府としても見ていくことが偽情報対策の仕組みとして必要だと思う。また、IOWNに関しては1つのゲームチェンジになると思う。光電融合で、電気でやっていたものを光に変える。これは通信だけではなくてチップまで行くという非常に大きな話だ。今後の通信政策を考えるうえで不可欠なもので、これからもフォローしていきたい。
来年どうしても避けられないのがAIだ。AIで世の中がどう変わっていくのかということは、まだ白書で書いていない。ご指摘にあったSlerも含めた産業構造にも触れていくような白書というのは、なかなか難しいが、デジタル化全体を見通せるような白書にしたい。

執筆:井上絵理(国際大学GLOCOM客員研究員)

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