「インスタ映え(SNS映え)」の経済効果に関する実証分析
要旨
近年、若者を中心としたSNSへの投稿行動が、マーケティング・経済的な意味で注目を浴びている。それは単純に、消費したものをSNS上でシェアすることによる販売促進効果が着目されているというだけのことではなく、ソーシャルメディア上で自己表現したり、「いいね!」をもらったりするための消費、いわゆる「発信するための消費」が着目されている。
そこで本研究では、SNSへの投稿がもたらす経済効果について、アンケート調査データを用いて定量的に検証を行う。検証の対象とするのは、SNS投稿による「消費の押し上げ効果」である。
分析の結果、SNS投稿(SNS映え)は年間消費額を約7,700億円押し上げていた。これは、年間家計消費額約285兆円の0.3%を占める額である。また、内訳では、単価が大きく、かつ、SNSでよく投稿される「旅行・アウトドア・レジャー」が最も消費押上げ効果が大きく、2,377億円にのぼる。次いで「外食」が1,649億円で、この2つが非常に大きいという結果となった。また、年代別には、10代、20代が突出してSNS投稿を行っており、中でも20代は消費押上げ効果が約2,227億円と、最も高くなった。
以上より、ただ消費したものをSNSでシェアするというだけでなく、SNSでシェアするために消費を行うという「発信するための消費」が少なからず存在し、それが経済効果を生み出していることが示された。
キーワード
SNS投稿、インスタ映え、SNS映え、経済効果、消費喚起効果、SNSマーケティング
2019年3月発行