キャッシュレス決済普及に関する政策介入の効果-インセンティブが消費者の決済選択行動に与える影響の実証分析-

キャッシュレス決済は消費者と小売業の双方の効率性を高めることが期待されており,普及率向上を目指した政府の介入が盛んに行われている。そこで本研究では,政府の金銭的なインセンティブ介入による,キャッシュレス決済の普及促進効果に関する評価を行った。分析には,82,139回(6,460人)の購買行動が記録されている消費者パネルデータを用いた。決済選択行動をロジスティック回帰モデルで分析した結果,介入前に比べて約14.9%キャッシュレス利用確率が増加し,普及が進んだことが示唆された。また,元々利用率が高かった高齢や高年収の人達だけでなく,利用率の低かった若年層や平均的な年収の人達にも介入が効果的であったことが確認された。さらに,インセンティブの付与をやめても,消費者のキャッシュレス決済選択確率は戻らず,持続性があった。本研究は消費者視点でキャッシュレス決済の普及を捉えたものであり,政府や実務家の消費者理解への応用を期待する。

イベント名 2020年度秋季(第43回)情報通信学会大会
主催者 情報通信学会
開催日 2020/12/05

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