2022.12.22

【提言書公表】デジタル社会を駆動する『個人データ保護法制』に向けて(GLOCOM六本木会議)

このたび、GLOCOM六本木会議は、個人データの保護と利活用に新しい道を拓き、よりよいデジタル社会をつくるための提言を公開しました。

AI・ビッグデータ時代に対応しつつ社会全体のDXを推進するためには、これまで以上にデータを利活用することが求められます。とりわけ個人データの利活用は医療、教育などの分野では重要でありながら、保護と利活用を両立できるルールや考え方が定まらず、議論は袋小路に迷い込んでいる感があります。

この混乱を解消するためには、保護と利活用の「バランス」をどうとるのかを調整するのではなく、そもそも個人情報保護法の「保護」とは何なのかを明確にすることが重要です。そこで、個人情報保護法が制定されるきっかけとなった1980年のOECDガイドラインの制定趣旨に原点回帰し、保護すべき「個人の権利利益」とは何なのかを明らかにして、迷路から抜け出すためのロジックと解決策を提言として取りまとめました。

提言の要旨

  • 個人情報の保護と利活用の議論が袋小路に迷い込んでいる原因は、保護すべき対象を見失っているからである。(保護すべきものは「個人情報」ではなく「個人の権利利益」である。)
  • 保護すべき「個人の権利利益」の中核的要素は、個人データ処理による個人に対する評価・決定の適切性確保である。
  • 個人情報保護法は、自己情報コントロール権を実現しようとするものではなく、個人データ処理に基づく他者による評価・決定が本人の自己決定を阻害し得ることに対して、本人が防御する権利を確保し、予防措置を講ずるための制度である。
  • 医療分野で仮名加工情報の提供制限を緩和する「仮名加工医療情報」制度を創設すべきである。個人に対する評価・決定を伴わない「非選別利用」を条件とし、提供の範囲を限定する「統制」を法定することにより、個人の権利利益を害さない範囲で、医療分野での仮名加工情報を用いたデータ分析を促進する。
  • 個人情報保護法が元より「個人情報ファイル」「個人情報データベース等」を中心とした規律であることを再確認し、個人データ処理の適切性確保のため、OECD 8原則が求めるデータ品質の「関連性」原則を保障する規律を個人情報保護法に組み込むべきである。

※2023年1月に、本提言書について解説を行うオンラインイベントも開催予定です。詳細は後日、GLOCOM六本木会議および国際大学GLOCOMのウェブサイトにて公表いたします。

問い合わせ先

GLOCOM六本木会議 事務局(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター内)
担当:小林・小島
app[at]glocom.ac.jp ※[at] を小文字の @ に置き換えて送信してください。

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