2020.03.31

デジタル地域経済化の促進に向けた論点整理とパイロット事業構想のためのデジタル地域経済研究会の主催および調査業務

Photo by henry perks on Unsplash

地域の経済活動のデジタル化促進に向けた研究

少子高齢化や過疎化による市場の変化や人手不足など、地方経済圏に与える影響が深刻化しています。特に地方経済を支える中小企業ではその影響が顕著で、多くの地方自治体は医療・介護費用などの支出増による財政難で苦しんでいます。こうした状況において、中小企業の活動をアップデートし民間の経済活動を活性化させることで地方経済圏を持続可能にしていくことは、日本全体にとっての大きな社会的課題です。

この課題に対し、情報技術の進展を踏まえた「社会のデジタル化」は大きな貢献をするものと期待されています。近年は電子商取引の一層の普及、決済手段のデジタル化などを背景として、人や企業の経済活動に関する多種多様なデータを蓄積・分析・活用するプラットフォームの構築をめぐる企業間の覇権争いが世界規模で進展しています。

地域の経済活動のデジタル化を進めることによって、消費者も中小企業も、決済の効率化・高度化やデータ活用が可能となります。各個人の購買履歴データや各企業の取引履歴データを自ら分析して役立てたり、地域全体でリアルタイムかつ詳細な統計データを生成したりすることができ、ビジネスや地域経済の自律的な活性化に向けた施策立案に役立てたりすることも可能となります。

本研究会では、「デジタル地域経済」化の促進に向けた論点を整理し、実際に特定の地域で構想の具体化・実証実験・実装にまで結びつけるためのパイロット事業構想を進めました。研究会の過程で、飛騨、熊本などさまざまな地域の事例を参照して議論を深めることができました。

2018年度は計5回の研究会の開催、および文献調査・現地調査を実施し、地域の中小企業をつなぐサブスクリプションモデルなどビジネスアイデアの知見を得ました。
2019年度はサブスクリプションモデルを軸とした「車社会」におけるMaaSのあり方を具体的に検討しました。初回から参照し最終回にヒアリングを行った九州産交の公共交通無料化実験の事例からは、高齢化の進展など「車社会」の見直しによって公共交通のあり方が変わりつつあり、それに伴い中心市街地のあり方も変化する可能性があることを学びました。中心市街地の物理的な再設計やサービス連携の仕方によってはバスを軸とした都市圏交通の最適化を、MaaSによって実現していく可能性を見出だすことができました。

名称 デジタル地域経済化の促進に向けた論点整理とパイロット事業構想のためのデジタル地域経済研究会の主催および調査業務
形態 委託研究
プロジェクトオーナー 株式会社フィラメント
デジタル地域経済研究会
プロジェクトリーダー 庄司昌彦
活動内容
  • デジタル地域経済化の促進に向けた論点整理
  • パイロット事業構想のためのデジタル地域経済研究会の主催・調査
  • デジタル地域経済研究会の概要・活動記録・配布資料をとりまとめた報告書作成
実施期間 2018年~2020年3月
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