地方移住・移住促進政策から考えるモビリティと政治性
―モビリティをめぐる不平等の解消のための試論―
※本研究はJSPS科研費24K22678の助成を受けたものである
要旨
本論考は、日本における地方移住とそれを政策的に促進する移住促進政策を事例に、モビリティ(移動性)と政治性の関連性を紐解くことを目的とする。21世紀以降、社会科学においては移動論的転回が宣言され、人やモノ、資本、情報などの移動から社会を再検討する試みが広く展開されてきた。こうした流れは日本でも徐々に大きくなりつつあり、近年、関連する書籍も多数発売されている。一方で、観光政策や移民難民政策など一部を除いて、政策研究では移動論的転回以降のモビリティ研究の蓄積は十分に反映されてこなかった。そこで本論考では、国境を超えない人の移動である地方移住と、国-自治体が総合的体制の下で地方移住を促す移住促進政策を一例に、モビリティと政治性、そしてモビリティをめぐる不平等と政策の関連性の一端を紐解くことを試みた。
キーワード
モビリティ、移動論的転回、移動の政治性、モビリティ・ジャスティス、地方移住
2024年12月発行