渡辺智暁研究員と菊地映輝研究員は、アプリストアをめぐる欧米の政策論議を、学術論文における議論を中心にレビューし、主要な争点の在り処をとりまとめたレポートを公開しました。プロジェクトの概要はActivities>プロジェクトのページにも掲載しています。
プラットフォーム規制をめぐる議論は世界中で起こっており、これまでの競争法や経済分析に根本的な疑問も投げかける「新ブランダイズ学派」がメディアや政治から注目されることも増えています。
日本でも競争法の専門家でない幅広い方々がこの主題について理解・議論することに意義があるとの考えに立ち、本レポートは特定の政策を提言するものではなく、また、読みやすさ・理解のしやすさにも配慮してとりまとめたものとなっています。
欧米それぞれについての論文等の学術研究資料を主な対象としながら、規制の賛成・反対それぞれの主要な論拠をとりあげたほか、それらが政治・立法の領域で持っている影響力に触れ、また、両地域で起きている主な訴訟などの簡単な一覧を付しています。
これらのレビューを通じて浮かび上がってきた主要な論点には、次のようなものが含まれていました。
- 通常競争法の訴訟で問題になるような論点(市場の範囲をどう定義するか、抱き合わせなどの経済への効果をどう見るか)
- 競争法の目的達成のための改革の必要性に関する論点(支配的なプラットフォームに、競合するプラットフォームとの相互運用性などを義務付けるべきか、など)
- 公正な競争とそれを通じて達成される経済的な効率性といった競争法の専門家の間で広く共有されてきた政策目標自体を問い直し、民主主義の健全な機能などの目的のために競争法を活用するべきか否か、といったより広い視野からの論点