産学官民共創型プロジェクトのマネジメント知見の体系化と継承に関する研究

本研究会は、JSTの「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」をはじめとする、産学官民連携による地域共創型プロジェクトを対象に、その組成・推進において蓄積された実務的な知見(ノウハウ・ナレッジ)を収集・客観視し、次世代へ継承可能な「知識」として体系化することを目指しています。
国際大学GLOCOMをはじめ、複数の研究教育機関や共創拠点のマネジメントメンバーが中心となり、現場のナラティブ(語り)と既存の理論を融合させる実践的な研究活動を展開しています。

設立の背景と目的

現在、社会変革やイノベーション創出を目的とした大規模な共創型プロジェクトが各地で展開されています。これらのプロジェクトは、地域の特性や拠点ごとの特徴に応じた多様なプロセスを経て推進されていますが、その過程で得られた貴重なマネジメントの知見は、担当者個人の経験やノウハウとして留まってしまうことが少なくありません。

本研究会では、複数の拠点運営に携わるメンバーが連携し、以下の3点を主な目的として活動しています。

  • 現場知の可視化: 各拠点が直面した課題や克服のプロセスをナラティブとして抽出し、客観的に可視化する。
  • 一般化と理論化: 抽出された情報を既存の経営理論や組織論と結びつけ、他拠点でも活用可能なツールやメソッドへと昇華させる。
  • 次世代への継承: 体系化された知見を、次世代のプロジェクトリーダー(PL)やマネジメント層が活用できる形で発信する。また、文部科学省・経済産業省の「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」などをベンチマークとし、大型の共同研究を「組織」対「組織」で実施するための大学マネジメントの在り方についても探究します。

研究のアプローチ

本研究会は、単なる理論構築に留まらず、現在進行形の拠点をフィールドとした動的なアプローチを特徴としています。現場の実践と理論を行き来しながら、各拠点の取り組みの特徴を先鋭化するとともに、拠点間の共通項を見出します。

  • ケース(ナラティブ)の共有と収集: 参画する各拠点が歩んできたフェーズごとの固有の進め方や、現場の活動・手順・成果などをケースとして収集し、地域特性に根ざしたマネジメント手法を共有・分析します。
  • 対話を通じた知の抽出と構造化: 定期的な議論の場を通じて、成功要因だけでなく、失敗からの学びや暗黙知を言語化します。それらの情報を分類・構造化し、課題とその解決方法を整理します。
  • 知の社会還元: COI-NEXT全体の質の向上、さらにはイノベーション創出による社会変革に寄与する議論を深め、その成果を広く公開することを目指します。

目指す出口(成果物)

本研究会の活動の出口として、次世代のPLがプロジェクトの組成や拠点形成を行う際に活用できる「推進ハンドブック」の作成を目指しています。このハンドブックには、一般化された情報やツールとして以下の内容が含まれる予定です。

  • 共創、産学連携に取組むために必要な教養、フレームワーク
  • 市民インターフェースのデザイン
  • 次世代PL、URA等の共創型人材の素質、スキル
  • 大型プロジェクト組成、拠点形成するために必要な情報
    ……など

メンバー・関連共創拠点

本研究会は、以下の機関・拠点に所属する実務家・研究者の連携によって運営されています。

  • 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)
  • 慶應義塾大学 COI-NEXT(地域共創分野) 「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」
  • 東北大学 COI-NEXT(共創分野) 「『みえる』からはじまる、人のつながりと自己実現を支えるエンパワーメント社会共創拠点」
  • 大阪大学 COI-NEXT(地域共創分野) 「住民と育む未来型知的インフラ創造拠点」
  • 名古屋大学 COI-NEXT(地域共創分野) 「地域を次世代につなぐマイモビリティ共創拠点」
  • 北海道大学 COI-NEXT(地域共創分野) 「こころとカラダのライフデザイン共創拠点」

関連成果物

  • 董 芸「トランスフォーマティブ共創 ─技術移転の先にある持続可能性への「移行」という新たな産学官民連携の枠組み」(GLOCOM OPINION PAPER_No.37(25-003) )
    https://www.glocom.ac.jp/publicity/opinion/11236
  • イベントレポート「COI-NEXT拠点横断クローズド・セッション「技術と社会の共進化~トランジション・マネジメントの視点から~」」(2026年2月2日開催)
    https://www.glocom.ac.jp/events/report/11384
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