2021.03.24

DISCUSSION PAPER_No.20(21-001)「個人情報保護利活用仲介機構 ―保護と利活用をともに達成する方法―」

個人情報保護利活用仲介機構 ―保護と利活用をともに達成する方法―

田中辰雄(慶應義塾大学経済学部教授)

 

要旨

本稿では、個人情報の保護と利活用をともに進めるためのひとつの制度の提案をおこなう。個人情報については保護を強めたいという人と利活用を進めたいという人がおり、双方ともに最適な状態になっていない。保護を強めたい人は現在利用可能なオプションを行使しておらず、利活用を求める人はその意図を企業に伝えられてない。これは保護と利活用についての同意を得る費用が高いためと考えられる。この費用は一種の取引費用であり、これを下げる制度的工夫として保護利活用を仲介する機構を考える。機構は消費者にアプリを提供し、保護利活用を5段階程度に縮約して集中処理することで取引費用を下げる。この機構がどれくらい国民に受け入れられるか見るためにコンジョイント分析を行うと、5割から6割程度の人が利用意向を示しており、国民に受け入れられる可能性は十分にあるだろう。

キーワード

個人情報、プライバシー、データ経済、情報銀行、GDPR

 

2021年3月発行

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